“演歌師”渥美二郎が名曲に新たな息吹を!~『新・演歌師2~渥美二郎弾き語りラテンメロディー コンガと共に~』
渥美二郎は16歳から8年間、酒場をギターで歌い歩く「演歌師」として生活していた。レパートリーは1000曲以上に及んだ。その後、渥美は1976年に歌手としてデビューし、「夢追い酒」「忘れてほしい」「釜山港へ帰れ」などのヒット曲で知られるが、2011年、デビュー35周年の記念アルバムとして『演歌師Part1』をリリース。演歌・歌謡曲の名曲の数々を集め、自らのギター一本での弾き語りによる作品はシリーズ化され、幅広い年代のファンに受け入れられている。
2019年には、演歌・歌謡曲の枠を超え、ポップスやニューミュージックなど、いわゆる“流行歌”を歌う『新・演歌師~歌とギターとパーカッション〜』を発売。その続編となるアルバムが、最新アルバム『新・演歌師2~渥美二郎弾き語りラテンメロディー コンガと共に~』だ。ギターとコンガの伴奏による弾き語りで、幅広いジャンルの名曲と自身のヒット曲までを厳選したアルバムの第2弾。かつて人々に愛された名曲が新たな息吹を得て甦り、そこには渥美ならではの独特のムードが漂い、唸らされる。
「ラテン調の心弾む雰囲気を楽しみながら、名曲の詩の素晴らしさを感じてほしい」・・・渥美二郎
演歌師シリーズは、16歳から北千住を流しとして歩いた私の原点を忘れないために、アルバム制作としてできるかぎり続けたいと思っています。“新・演歌師シリーズ”からはニューミュージックなどにも選曲を広げ、今回はラテンメロディーを中心にまとめました。流しの時代から、トリオ・ロス・パンチョスの曲が好きだったからです。
とくに彼らがカバーしているラテン音楽のスタンダードナンバー「ある恋の物語」(HISTORIA DE UN AMOR)が好きで、今回の収録曲に入れています。トリオ・ロス・パンチョスの楽曲はギターの音が素晴らしいので、これに負けないようにと意識しましたね。ギターの音色、テクニックを精一杯がんばりました。
「異邦人」(久保田早紀)や「チャンピオン」(アリス)といったニューミュージックも収録されていますが、こちらはギターとコンガだけの演奏で、かなりのスピード感と迫力が加わり、とてもいい雰囲気に仕上がったと思っています。また2年前にリリースした最新シングル「永遠鉄道」は、今回、新リミックス盤としてハモリを入れたことで、より身近に、温かく感じられました。
コンガを担当するのは、桝谷マリ(※)さんです。前回に続いての参加ですので、気心は知れています。マリさんの音楽を楽しんでコンガを打つ姿はとても好感が持てます。たくさんおしゃべりするわけではありませんが、いつ会ってもステキな笑顔と音色。若い彼女からたくさんのエネルギーをもらっています。
『新・演歌師2』はシンプルにギターとコンガだけの伴奏で歌いました。楽器が少ないほど、歌詞が前面に出てきます。ラテン調の心弾む雰囲気を楽しむと同時に、名曲の詩の素晴らしさをあらためて感じていただければと思います。
そして、このシリーズは今後も続けていきたいと思っています。ただ今次作を思案中ですが、より密度の濃い作品にしていきたいですね。コロナ禍で、なかなか人前で歌う機会が得られませんが、いつお呼びがかかってもベストコンディションでステージに上がれるよう、体調管理には気を配っています。自宅から歩いて2分ほどのところにトレーニングジムがあるので、体を鍛えながら、皆さんの前に立つ日を待ち望んでいます。
※桝谷マリ/1984年9月23日、大阪生まれ。打楽器奏者。12歳の時、父・桝谷イクを師としてドラムを始める。2011年に上京後し、ポップスやロックからジャズ、演歌やメタルまで様々なアーティストのライブコンサート、歌番組、CD等をドラムやパーカッションでサポートする。
まとめ=藤井利香
2021年4月7日発売
渥美二郎の人気アルバムシリーズ
『新・演歌師2~渥美二郎弾き語りラテンメロディー コンガと共に~』
咽び泣くギターと情熱的なコンガのコラボレーション。渥美二郎が自らのギターと、桝谷マリのコンガのみの伴奏による弾き語りで名曲をカバーしたアルバム。演歌の名曲からニューミュージック、ラテンスタンダードまで幅広いジャンルの楽曲を、演歌師・渥美二郎の歌声で届ける。『新・演歌師〜歌とギターとパーカッション〜』に続く第2弾。
収録曲
1.酒は涙か溜息か(藤山一郎)
2.浪花夜景(セルフカバー)
3.ある恋の物語〈HISTORIA DE UN AMOR〉
4.霧の港町(セルフカバー)
5.再会(杉田二郎)
6.異邦人(久保田早紀)
7.ベサメ・ムーチョ〈Bésame Mucho〉
8.シクラメンのかほり(布施明)
10.チャンピオン(アリス)
11.永遠鉄道(2021年新リミックス)(岩渕まこと)
( )内はオリジナル歌手
2019年10月23日発売
渥美二郎「永遠鉄道」
「永遠鉄道」は2019年10月、渥美二郎の令和第一弾シングルとしてリリースされたジャズテイストの演歌。1989年にシンガーソングライター・岩渕まことが発表した曲をカバーした。「涙色のタンゴ」は演歌師50周年を記念し、2018年にリリースした曲。タンゴをフィーチャーし、昔を知る人には懐かしい、知らない人には新鮮なリズムが感じられる。千寿二郎の名前で、渥美が作曲した。「奥の細道」は、渥美が松尾芭蕉の「奥の細道」のスタート地点でもある千住宿(現・足立区千住)出身であることから、「奥の細道」をモチーフにした作品として2014年に発表した曲。「奥の細道」の句を渥美なりに解釈し、スケール感のある楽曲として仕上げている。
profile
渥美二郎(あつみ・じろう)
1952年8月15日、東京生まれ。16歳の時、地元・北千住で流しの世界へ。演歌師として8年間活動する。その後、作曲家・遠藤実氏に師事し、1976年「可愛いおまえ」で歌手デビュー。1978年発売の「夢追い酒」が大ヒットし、1979年、日本レコード大賞・ロングセラー賞を受賞。同年、『NHK紅白歌合戦』初出場。その後、「忘れてほしい」「他人酒」等のヒット曲に恵まれ、1983年には13人による競作「釜山港へ帰れ」を大ヒット(競作の中で売上トップ)させる。1995年に「人仁の会」を結成し、阪神淡路大震災チャリティーコンサートを毎年開催。1997年には、1989年のがんとの壮絶な闘病と奇跡的克服を綴った自伝作品「なみだの花」(千寿二郎のペンネームで渥美が作詞・作曲)をリリースし、感動を呼ぶ。2019年、演歌道50年を記念したファイナルコンサートを東京・浅草公会堂で開催。現在は、オリジナル曲のリリースのほか、演歌師時代の経験を生かし、得意の楽器演奏を取り入れた音楽活動にも精力的に取り組む。
外部リンク
日本コロムビア 渥美二郎ページ
渥美二郎 公式HP