松原のぶえの太陽のような歌声~新曲「花〇(マル)あげる」~

一昨年の2019年に歌手生活40周年を迎え、その円熟した歌唱力と明るい人柄で人気を誇る松原のぶえが、新曲「花〇(マル)あげる」をリリースした。カップリングに収録されている「つゆのあとさき」とあわせて、松原が歌うことを前提に公募された、日本音楽著作家連合が主催する「第35回・藤田まさと記念 新作歌謡作品コンクール」の最優秀賞受賞作品だ。

「『花〇あげる』は奥さんや彼女が旦那さんや彼を元気づける応援歌。気持ちがふさぎ込んでしまうような時に、この歌を聴いたり歌っていただいて自分自身を励まして、そしてまた身近な人も励ますことができるような一曲になってくれたらいいなと思いながら歌わせてもらいました。こんな状況の中でも頑張っている自分に花〇あげちゃお!って思える、そんな一曲に出合うことができました」

松原がこれまでの歌手人生の中で手にしてきた数々の楽曲の中でも、応援歌というのは思いのほか少ない。1996年にリリースされた、松原の代表曲のひとつである「演歌みち」。吉岡治氏の手による男の生き様を描いた応援歌で、男唄だけに松原の勇ましく力強い歌唱が印象的な作品だが、今作は慈愛に満ちた松原の歌声と朗らかな笑顔が相まって、優しさに包み込まれるようなとても心地良い一曲に仕上がっている。

「花〇というと、小学校とかで先生が“よくできました”って花〇を書いてくれたりしたじゃないですか。郷愁を誘うというか、幼い頃の思い出も蘇ってくる温かさがあって、まさに今はこんな時代なので今一度こういった元気な曲で音楽の力を皆さんに届けたいし、夢や元気を与えたい。幸せな歌を歌うと、幸せな気持ちになりますよね。私もこの歌を歌っていると、自然と笑顔になっちゃうの。これまで色々おしゃれな歌も歌ってきたけれど、今回は原点に戻った感じの歌ですね」

大分県で生まれ育った松原の歌手人生は、中学3年生の時に現在でも師匠である北島三郎の事務所にスカウトされたことで幕を開けた。その後高校生で上京してデビューを果たし、40年以上本格派女性演歌歌手として第一線で活躍し歌い続けてきた。

そんな松原をずっと故郷から見守り、支えてきてくれた母が先日80歳を迎えた。このコロナ禍でしばらく顔を合わせることもかなわないが、母が持ち前の明るさと笑顔で元気にしてくれているということ。それがまた、松原にとって歌を歌うことへの活力のひとつになっている。

「私が花〇をあげたいのは母かな。子どもたちはみんな独立しちゃって、母はひとりで九州に住んでいるんですけれど、お正月とお盆になれば息子や娘たちが帰ってくるからと家を守って気丈夫で頑張ってくれているんです。本当はひとりじゃ寂しいと思います。実家にはお庭があるんですが、自分でやらないと気が済まない性分なのと、いなかでもとりあえず“ここは松原のぶえちゃんの実家なんだって”って来てくださる方もいたりするみたいで、そういうところは見られても恥ずかしくないようにきちんとしておかないと、と言って全部自分で手をかけてやってくれているんです。そういうのを見たり聞いたりすると、もう母親には頭が上がらないなと改めて感謝ですね」

母から受け継いだ太陽のような明るさと笑顔。そして温かな歌声で、この曲を人々に届け、心を照らす。

 

カップリング曲「つゆのあとさき」Q&A
Q 「つゆのあとさき」を初めて聴かれた時の印象は?
松原 「花〇あげる」は明るい歌だけど、それとは真逆の歌、でもこの曲もなかなか雰囲気のある歌だなぁって思いました。実は、もともとはこちらがA面候補だったんですよ。キー合わせの時はそういう話だったんですけれど、いざレコーディグしてみたら、“やっぱり今こんな時代だから、世の中を明るくできるような、みんなにエールを送るような曲がいいのでは”ということで意見が一致しました。この曲のほうが、聴きようによっては歌うのがちょっと難しいかなと思います。

Q 歌う際のワンポイントアドバイスをお願いします。
松原 メロディーの行き方がちょっと変わっていて、イメージとしては芸妓さんみたいな方が歌ったらこんな感じじゃないかなというのを思い浮かべて歌うと歌いやすいのかなと思います。私もそうイメージして歌いました。鼻に当てるような歌い方というか、シナを作って歌うような感じというか……。私も今までに歌ったことのないタイプの歌なんですが、また新らしくて珍しい引き出しを開けてもらったなと思っています。そういう意味ではとても新鮮でしたね。

 

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2021年5月19日発売
松原のぶえ「花〇(マル)あげる」

「花〇あげる」
作詞/長山たかのり 作曲/藤田たかし 編曲/伊戸のりお
c/w「つゆのあとさき」
作詞/有賀とおる 作曲/辻宏樹 編曲/伊戸のりお
徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-91348  ¥1,350(税込)

 

Profile
松原のぶえ(まつばら・のぶえ)
1961年7月18日、大分県生まれ。中学生の時、北島音楽事務所にスカウトされ、高校生になり上京。1979年「おんなの出船」で歌手デビューし、この年の第21回「輝く!日本レコード大賞」新人賞を受賞。1985年に『第36回 NHK紅白歌合戦』に初出場を果たす。2005年、徳間ジャパンコミュニケーションズに移籍。2019年には歌手生活40周年を迎え、その飾らない明るい人柄と円熟した歌声で実力派女性演歌歌手として人気を集める。