松前ひろ子

“夫婦演歌”の松前ひろ子~新曲「春隣り」を軽やかに~

「今度の曲、いいわね。歌いやすいわ」

三山ひろしと一緒にMCを務める音楽番組『あさうたワイド』で、一足先に披露した新曲を聴いたファンの言葉に、手ごたえを感じた。

松前ひろ子の約1年半ぶりの新曲「春隣り」(はるとなり)は、たかたかしが作詞、弦哲也が作曲を担当した。松前にとってはどちらも初めての先生による作品だった。

「新曲については、私から何も注文は出しませんでした。新曲の相談に来られたディレクターには、私を見たまま、素の私に歌わせたい歌をお願いします。どなたにお願いしてくださっても構いません。よろしくお願いします、とだけ伝えました。そうしてできあがってきた曲が『春隣り』でした。そして、いただいたまま、何も変更することなくそのまま歌いました」


松前ひろ子
夫婦演歌と言えば、松前ひろ子

従兄の北島三郎がその歌声に「なかなかやるな」と発したひと言に、「歌手になれるかもしれない」とその気になった松前は、高校を卒業すると家出同然で北海道から上京。北島に弟子入りを志願し、修行を積んだ。こうして1969年、「さいはての恋」でデビューを果たすが、わずか2年後、交通事故に遭い歌手生命を絶たれる。

事故後、北島のすすめなどもあり、松前は作曲家・中村典正と結婚し一男二女の母となる。中村の一目惚れだった。中村は“ママ”がそばにいてくれるだけでいいと思っていたが、松前は歌手復帰をあきらめていなかった。事故から8年後、リハビリによって歌声を取り戻した松前は再デビューを果たす。

復帰第1弾は岡千秋が作品を提供してくれたが、第2弾「浮草慕情」は、当時、日本クラウンと専属契約を結んでいた夫が“山口ひろし”名義で作曲してくれた。松前はその後、岡の作品を2作品歌っているが、1987年以降、夫の作品を歌い継いできた。

なかでも松前が、門脇陸男のヒット曲「祝い船」(作詞・千葉幸雄/作曲・中村典正)のような歌を歌いたいとリクエストして完成した、1990年の「祝いしぐれ」は大ヒットし、松前の代表曲となった。

「祝い船」と同じ、千葉と中村(名義は山口ひろし)による作品。明日には嫁いでいく娘に寂しさを感じながら、夫婦水入らずの夜を過ごす“夫婦演歌”だ。

2019年2月、歌手生活50周年を迎えた松前は記念曲第1弾として、松前の人生を彷彿とさせる力強い作品「女一代 演歌船」をリリースすると、9月には第2弾として「夫婦鶴」を発表する。30年以上、ずっと中村典正/山口ひろしの作品を歌ってきた松前に、北島三郎(原壌二名義)が初めて授けた作品。中村・松前夫婦をイメージして作り上げたプロデュース作品だった。

9月24日、松前は「夫婦鶴」の発売を翌日に控え、新曲発表会に臨んだ。約1カ月前に、47年間連れ添った中村を亡くして以降、初の公の場でもあった。

「泣いてしまって歌えないかもしれないと伝えました。そうしたらサブちゃんが、『ひろ子、そんな時は無理して歌わなくていいから』と言ってくれました。その言葉で救われました。それじゃあいけないと思い、歌い込んでいくうちに、うまく気持ちを切り替えることもできました。自分史ではなく、一般のご夫婦の愛として歌ってきました」

松前ひろ子「春隣り」

「あたたかい夫婦の愛を軽やかに歌う」

1年半ぶりの新曲「春隣り」は男性目線の夫婦演歌だった。たかたかしと弦哲也は川中美幸の幸せ演歌「ふたり酒」のヒットでも知られるゴールデンコンビ。「春隣り」も苦労はしたが、だからこそ幸せな今があると夫婦の姿を描いている。

「たか先生からは、貧しかった時代からだんだんと幸せに向かっていく夫婦の歌。苦労があっても今がある、という内容だとお聞きいました。ですから、そこを意識して歌いました。一方、弦先生からは、すごく気合いを入れて書きましたと言われまして、うれしかったですね。キー合わせの時からウキウキしていました。ドキドキじゃなくて、ウキウキ。レコーディングは先生によるデモテープを100回は聴いて臨みました。緊張はしませんでした。何度か歌ってみて、先生、どうですか?って聞きましたが、とくに修正もなく、そのままで歌ってくださいと言われました。春らしく、明るく楽しく、軽やかなイメージで歌いました」

歌手として売れない時代に、北島の公演にギタリストとして帯同したことが切っ掛けとなり、作曲家としても活動するようになった弦。番組の企画で作曲して歌った「与作」が、北島のカバーによって大ヒットした。弦にとって北島は歌謡界のおやじだった。

2021年4月7日、この日、松前にとっては初めての作詞家、初めての作曲家の作品「春隣り」がリリースされた。

「早いもので、主人が亡くなってからまもなく(8月には)三回忌になります。今までは主人が書いてくれていました。あ・うんの呼吸とはいえ、自宅で作業している時に、『ママ、ここは上がった方がいい?』って聞かれたら、自分の意見を言いますよね。ですから今回は、これまで作品を書いていただいたことのない先生に、自由に作っていただき、『これを歌いなさい』と言われた方がいいと思いました。歌手生活の50周年を終えて、次の一歩の曲になります。素晴らしい曲です。感謝しています」

新曲「春隣り」のリリースを控え、「ウキウキって、こういう感じなんですね」とも話した松前に、「春隣り」の歌詞でいちばん好きなところはどこかと聞くと、サビ手前の「なア、おまえ」だと教えてくれた。

「このひと言に、夫の優しさが感じられます。俺が一目惚れして一緒になったんだよなっていう男性の思いが感じられます。とってもいいお祖父ちゃんになっていくんでしょうね(笑)」

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2021年4月7日発売
たかたかし&弦哲也によるゴールデンコンビが送る夫婦演歌

松前ひろ子「春隣り」
松前ひろ子 春隣り

「春隣り」
作詞/たかたかし 作曲/弦哲也 編曲/南郷達也
c/w「一本の道」
作詞/たかたかし 作曲/弦哲也 編曲/南郷達也
徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-91342 ¥1,350(税込)

前作「夫婦鶴」のアンサーソング的な「春隣り」(はるとなり)。男性目線の夫婦演歌で、たかたかしと弦哲也によるゴールデンコンビによる作品。「新しい先生が松前ひろ子をイメージして書いてくださったので、そのイメージをどうやってお客様に伝えるかを考えて歌いました」(松前)。
カップリング曲「一本の道」は“胸をはれ 上を向け”と歌う応援歌。「前奏から『春隣り』とは違う力強い歌です。コロナ禍でみんなが戸惑っていますが、少しでも勇気と元気を届けたい曲です。マイナー曲ですが、ワルツのメロディーに乗せて強いメッセージを歌います。私はとっても好きです。両A面になってくれたらいいのにな、と思ったほどです」(松前)。


INFORMATION
松前ひろ子「春隣り」発売記念カラオケ大会&体験レコーディング

「春隣り」の発売を記念して、カラオケ大会が開催される。応募音源(CDかカセットテープ)を審査の上、合格者を選出し、東京・青山の「Live レストラン青山」で本選を行う。大会は全3回行われ、各回のグランプリ受賞者は、後日都内のスタジオでレコーディング体験ができる。体験レコーディングは2021年10月下旬ごろに実施予定。

From 松前ひろ子
「ただ、歌うだけじゃなくて、まずはCDを聴いて聴いて、自分なりにこう歌いたいというのをチェックしてから歌うといいと思います。録音して聴き直すと、課題も見つかります。モノマネはしなくていいですが、いいところは盗んでいただいて、あとは皆さん、自分の節で歌っていただければいいと思います。ただ、メロディーは間違えないように。CDを聴かずに、友達の歌を聴いて応募するとろくなことにならないので気をつけてくださいね(笑)。あと、応募券を入れ忘れるのもダメですよ。皆さんの生歌を聴かせていただくのを楽しみにしています」

課題曲:「春隣り」「一本の道」
審査員:徳間ジャパンコミュニケーションズ(プロデューサー&ディレクター)ほか。

カラオケ大会日程
第1回大会:2021年7月24日(応募締切:2021年5月28日)
第2回大会:2021年8月21日(応募締切:2021年6月28日)
第3回大会:2021年9月18日(応募締切:2021年7月23日)

会場Live レストラン青山
東京都港区南青山2-4-4 南青山コアビル 地下1階

※審査結果は審査に通過した人にのみ徳間ジャパンより連絡。
※カラオケ大会および体験レコーディング会場までの交通費・宿泊費等は自己負担。
※カラオケ大会会場に着替え等の楽屋はない。
※大会での歌唱は2コーラス。
※Live レストラン青山への入場料として1000円(ソフトドリンク付き)が別途かかる。

応募方法は2つ
課題曲をCDかカセットテープに録音(フルコーラス)し、シングルCD「春隣り」に封入されている応募券と、住所・氏名・年齢・電話番号・歌唱曲名を記載した用紙を同封し下記まで送付する。当日消印有効。

〒141-8564
東京都品川区北品川6-5-27 御殿山ビル4F
徳間ジャパンコミュニケーションズ
第2制作部「松前ひろ子“春隣り”カラオケ大会」係

DAM★とも応募:「DAM★とも動画・録画」ができるカラオケ店舗から応募する。

詳細はシングルCD「春隣り」に封入される応募要項を確認してください。

問い合わせ先
徳間ジャパンコミュニケーションズ
TEL:03-6432-5406
ミイガンプロダクション
TEL:03-6231-1481


profile
松前ひろ子(まつまえ・ひろこ)
1月28日、北海道生まれ。恵まれた家庭に育つが、歌手を夢見て上京。従兄の北島三郎のもとで修行し、1969年にデビュー(当時は松前弘子)。しかし2年後、交通事故に遭い歌手生命を断たれる。歌手活動休止中に、作曲家の中村典正氏と結婚、一男二女の母となる。中村は1963年、北島三郎の「田舎へ帰れよ」で作曲家デビュー。「祝い船」や「むらき雨情」「男の港」などのヒット曲多数。三山ひろしの師匠でもある。松前は事故から8年後に再デビューし、夫が作曲を手がけた「祝いしぐれ」「初孫」などのヒット曲に恵まれる。2019年、歌手生活50周年を迎え、6月には「歌手人生50周年記念コンサート」を浅草公会堂で開催するが、8月16日に最愛の夫・中村を亡くす。2021年4月、たかたかしが作曲、弦哲也が作曲した「春隣り」をリリース。音楽番組「あさうたワイド」(BS日本テレ)で、弟子の三山ひろしとMCを務める。

最近、猫を飼いまして、猫の世話をしているんですよ。昨年はコロナ禍でキャンペーンができなかったので、事務所の若いスタッフが『YouTubeをやりましょう』って言ってくれて、私自身は何もわかりませんが、ミイガンチャンネルを立ち上げました。また毎年恒例の11月22日、“いい夫婦の日”のディナーショーも、コンサート形式になりましたが、ライブ配信を行うハイブリッドコンサートとして行うことができました。三山君との新しい試みでしたが、今まで都内の会場まで来ることができなかった人が、『初めて味わうことができました。次回も配信してほしい』という声をくださいました。三山君のファンは、『三山君があるのは松前さんのおかげ』とも言ってくださいます。三山君のファンが私のファンにもなってくださっているので、感謝しかないですね。

弦先生からはこんなことを言われました。「たくさんの歌い手さんがいらっしゃいますが、歌声を聴いて、誰だろうって思うことも多い。でも、松前さんは声を聴いただけでわかります」って。濁声でごめんなさって言ったんですが(笑)、「得していますよ。素晴らしいことです」と言ってくださいました。

歌手生活も50周年を終えましたが、「8年間、休んでいたんですから、本当の50周年まで頑張ってください」とエールもいただきました。そんな先のことまではわかりませんが、今を大切に歌っていきたいと思っています。

2020年11月18日発売
DVD『松前ひろ子 歌手人生50周年記念コンサート~私が愛したすべてに~』
松前ひろ子

徳間ジャパンコミュニケーションズ TKBA-1275 ¥5,000(税込)

歌手人生50周年を迎えた2019年6月、浅草公会堂で行われた「松前ひろ子 歌手人生50周年記念コンサート」の模様を収録した映像作品。師弟関係となる三山ひろし、中村仁美とデュエットした「中村典正コーナー」や、それぞれのソロパートも収録! ボーナストラックには「夫婦鶴」と中村仁美とのデュエット曲「かもめの姉妹」のミュージックビデオも収録されている。

▼こちらは再デビュー25周年を記念して企画されたDVD『メモリアル・ライヴ&ビデオクリップ~いたわり坂~』(2005年)のダイジェスト。昨年、徳間ジャパンの公式YouTubeで公開された貴重な映像だ。残念ながら同DVDの新品は現在(2021年4月)、入手困難になっている。

松前ひろ子 公式HP
YouTubeミイガンチャンネル
徳間ジャパン 松前ひろ子ページ