吉田ひろきの「海の声 森の声」〜成熟した歌声で名曲が息を吹き返す〜
長身のスタイルに端正なルックス。そして“成熟したバリトンボイス”でファンを魅了する吉田ひろきが、1月20日に「海の声 森の声」をリリースする。数々のヒット曲を生み出した昭和を代表する作曲家、故・浜口庫之助氏が、最後の作品としてこの世に遺した深刻な環境問題に一石を投じる今作。シンプルな中に力強いメッセージの込められた名曲が、豊潤で美しい吉田の歌声で現代に甦る。
「僕たち一人ひとりの意識が大切。この曲がそのきっかけになれたら」
――サードシングルとなる新曲「海の声 森の声」のリリース、おめでとうございます。どのような作品でしょうか。
吉田 この曲は、昭和のヒットメーカーのおひとりである作曲家の浜口庫之助先生がお亡くなりになる前に最後に書かれたという作品です。浜口先生は、環境破壊や環境問題にとても心を痛めていらしたと聞いています。この曲は、1991年に開催された、公益財団法人 森林文化協会「グリーン・パワー’91~海の声 森の声~」のテーマソングに起用され、当時は堺正章さんがシングルとしてリリースされ歌われていらした楽曲です。
――地球の温暖化による環境問題に一石を投じる楽曲ですが、歌詞がとてもストレートで、難しい言葉では綴られていないのにとても深く心に響いてきますね。
吉田 先生がこの曲を作られた時と同じく、現代も地球の温暖化による環境問題がまだ世界中や僕たち現代人の課題としてあります。一人ひとりが少しでも意識したり、取り組もうとすることが大事だと思うのですが、この曲がそのきっかけのひとつになったらいいなと思いながら歌っています。
――この曲を歌われることになったことがきっかけで、SDGsの検定を受験されて、先日なんと一回で合格されたとか。おめでとうございます!
吉田 ありがとうございます。SDGs(持続可能な開発目標)というのは、2015年に国連で開かれたサミットで決められた、国際社会共通の目標です。2015年から2030年までに持続可能で、より良い世界を目指すという国際指標。環境問題だけではなく、貧困や飢餓、ジェンダーの平等や経済や産業についてなど、17のゴールと169のターゲットから構成されています。その中から、作品のタイトルにあるように、14「海の豊かさを守ろう」、15「陸の豊かさも守ろう」という目標をメインに、発信していけたらと思っています。この曲を歌うにあたり少しでも知りたいと思ったので独学で勉強したのですが、じつは想像していた以上に試験は難しかったです。合格した時はとてもうれしかったですね。
――とくに「ここをこう心がけて歌った」など、歌唱の際に意識したりしたポイントはありますか。
吉田 歌詞自体はとてもわかりやすいので、誰かに語りかけるようにというよりもこの曲のメッセージがメロディーといっしょに聴いてくださる方にストレートに届くように、思いを込めて歌いました。
――今回はカップリングに2曲収録されていますが、「京都・春めぐり」は京都のお寺などたくさんの観光名所が登場して楽しい気分になりますね。
吉田 曲の出だしが、「そうだ京都へ行こう!」。少し前に鉄道会社が行っていたキャンペーンのキャッチフレーズを思い出しますよね(笑)。作詞作曲してくださっているシンガー&ソングライターの中真生人先生が京都がお好きで、歌詞の中には20もの寺社が登場しています。先生のデビュー曲のカップリングに収録されていた、この美しい京都の風景を閉じ込めた楽曲を今回は僕も歌わせていただきました。
▲「京都・春めぐり」MV
――「貴女の生まれた日に」も、中真先生の作詞作曲された作品ですね。女性はこんなに愛されたらうれしいと思います。
吉田 こちらはとてもまっすぐなラブソングです。中真先生はとても純粋な方なので、このロマンチックな詞やメロディーには先生の人柄や実体験?(笑)も反映されているかもしれませんね。
――今年は予想もできない深刻なコロナ禍に見舞われました。実際に人と会って話をしたりできるような機会が、少なかったですね。自粛期間中はどうしていらっしゃいましたか?
吉田 やっぱり家からあまり出られなかったので、趣味のパン作りもそうですが自宅でできることを考えて、なかなかお会いできないファンの皆さんに少しでも楽しんでいただけたらと、YouTubeの公式チャンネルにいろいろな動画をアップしていましたね。
――「オペラ歌手が本気で歌ってみた」や「イケボ実況」のエクササイズ動画は、つい観入っちゃいました(笑)。バリトンボイスはどんな状況でも素敵ですね!
吉田 ありがとうございます(笑)。不定期ですが、これからもアップしていきたいと思います。
――2021年は歌手活動4年目に入られますが、最後に歌手活動において、今年の抱負などがありましたらお聞かせください。
吉田 昨年の11月から、新たな試みとして僕が通っていた東京藝術大学の近くにある東京・上野のライブハウス「Untitled」さんで、無観客配信ライブ「FRIDAY」を毎週金曜日にお送りしています。オペラやミュージカル音楽だけでなく、最新のJーPOPなどいろんな楽曲を披露していますのでぜひ多くの方にご覧いただけたらうれしいです。これからもクラシックをはじめ僕にしか歌えない歌を、応援してくださっている皆さんに恩返ししていけるように歌っていきたいですね。
2021年1月20日発売
吉田ひろきの歌声で名曲ふたたび
「海の声 森の声」
2018年に「無償の愛」でメジャーデビューを果たした吉田ひろきの3作目となる「海の声 森の声」は、1991年に堺正章さんによってシングルとしてリリースされた、故・浜口庫之助氏の作詞作曲作品。当時、森林文化協会が開催した「グリーン・パワー’91」のテーマソングにも起用された、深刻な環境問題を社会に問う意欲作だ。カップリングの「京都・春めぐり」は京都の美しい風景が目に浮かぶような情緒ある一曲。「貴女の生まれた日に」は友人である女性を密かに恋する気持ちをまっすぐに表現した一曲。3曲とも吉田の成熟したバリトンボイスでより奥深さをまとい、聴く者を魅了する。
Profile
吉田ひろき(よしだ・ひろき)
5月2日、愛知県生まれ。母親がピアノ教室をしていたこともあり、音楽に触れる機会が多い幼少期を過ごす。18歳の時に声楽家の道を志し、東京藝術大学に進学。バリトンを専攻する。卒業後は地元の名古屋にて本格的に音楽活動をするかたわら、モデルや愛知県岡崎市のPR観光事業『グレート家康公「葵」武将隊』のメンバーとしても活躍。その後、私立女子高の音楽教師を3年務め、2018年「無償の愛」でメジャーデビューを果たす。趣味はパン作り。