真木ことみ、新曲「東京しぐれ」〜不器用な男心を、得意の男唄で〜
真木ことみの2021年を飾る新曲「東京しぐれ」。前作「すずらん食堂」に続くファン待望の新曲は、真木の得意とする男唄となった。言葉少なで不器用な男の深い愛情を、芯の太い歌声で真木らしく歌い上げている。
「東京しぐれ」は、いつまでも耳に残り歌いたくなる曲
「“おまえ残して 三十路で逝った〜”と、歌詞の頭から想像をかき立てられる曲だなと感じました。男唄ですが、主人公に寄り添う女性の姿もしっかり見えてくる作品に仕上がっています」
真木が語るとおり、新曲「東京しぐれ」は二人の男女の物語が目に浮かぶような一曲だ。不器用ながらも一途に愛し、一生を”おまえ”と添い遂げようと誓う主人公の男性の思いを、力強くしなやかに歌い上げている。
初めて聴いた時、タイトルにもなっている「東京しぐれ」というフレーズがとても印象的だった。しかし、最初付けられていたタイトルは、この言葉ではなかったという。
「この『東京しぐれ』というフレーズやメロディーがいつまでも耳に残って、すごく歌いたくなりました。でもじつは、最初は違うタイトルだったんです。歌って聴いて、曲を作っていくうちに、先生方やスタッフみんなが“やっぱり東京しぐれがぴったりだね”って意見が一致して、タイトルを変更することになったんです」
作曲を手がけた徳久広司氏からは、低音で歌う部分に「ことみらしさを出して」とアドバイスを受けた。
「 “この瞳(め)の▲中に~”(▲の部分は一拍アキ)の部分が、この曲の聴きどころ。最後まで歌い方を試行錯誤しましたが、徳久先生のおっしゃっていたことが歌っていくうちにわかるようになりました。作詞をしてくださった朝比奈京仔先生は、レコーディングの時も“歌いにくい言葉はない?”と気遣ってくださって、すごく優しい方で安心して楽しくレコーディングすることができました」
一方のカップリング曲「オランダの海」は、ガラリと雰囲気を変えた作品に仕上がっている。歌詞は、これまでにも数々の作品を真木へ提供している、真木のマネージャーでもある浦千鶴子氏が担当。海抜0メートル、地上に一番近い「オランダの海」をモチーフにした少し切ないラブストーリーだが、制作中にはこんなエピソードがあったという。
「歌詞を見た徳久先生が、“まさかことみで、オランダの海がくるとは!”と大喜びで、すぐフォーク調のメロディーが浮かんだそうなんです。先生方も世代的に懐かしい曲調のようで、編曲の石倉重信先生と徳久先生でレコーディングの時もすっごく盛り上がって(笑)。とても楽しんで作られていました」
自分も楽しみながら、皆さんに喜んでもらえることを
今回の新曲は、いまだ収束が見えないコロナ禍での制作だった。誰もが先行きの見えない不安の中、さまざまな工夫を凝らしアイデアを創出して日々を送り乗り越えてきたが、真木にとっても、歌うことや自分自身を見つめ直すのに良い機会にもなったようだ。
「歌う機会が少なくなって、レコーディングまでにのどを戻すためスタジオで何度も歌い込みました。大変なのは皆さん同じ。その中で楽しく生きていく方法を考えようと、好きな編み物をしたりと歌以外にも目を向けながら過ごしていました。いろいろな編み方を組み合わせてみたり、思うように作るのは楽しいですね。昨年はファンの方にスヌードと帽子をプレゼントしたので、また何か皆さんに喜んでいただけるプレゼントができたらと思っています!」
笑顔がとても魅力的な真木。再来年には、大きな節目のデビュー30周年を迎える。
「2021年は状況を見ながらですが、コンサートなどで生の歌をお届けする場を作っていきたいですね。あと、編み物の腕前ももう少しあげられたら……(笑)。歌でも趣味でも、まず自分が楽しみながら、そしてファンの皆さんにも喜んでもらえるようなことができたらと思っています」
まずは、2021年に全力投球。自信作「東京しぐれ」とともに、新しいスタートを切る。
(文=吉田裕美)
真木さんにもうちょっと聞きたい!
「コロナ禍は歌以外にも目を向けて……。今、編み物に夢中です!」
真木さんが編み物を始めたきっかけは、2015年にリリースした「ふるさと忍冬(すいかずら)」。歌詞の中に出てくる「水色の手袋」にあやかり、ファンに贈った手袋が初めて作った作品だったそう。「想像以上に大変で途中で手袋からミトンに変わりました(笑)」というお茶目なエピソードも。ハマるとトコトンタイプだそうで、編みすぎて腱鞘炎になったこともあるとか。真木さんの編み物個展が開かれる日もそう遠くはないかも!?
2021年1月27日発売
真木ことみ「東京しぐれ」
「東京しぐれ」は、一途に思い続ける女性への愛を、男目線で深くしっかりと歌い上げた作品。真木が「歌っていてとても心地良い」と語る、心惹きつけるメロディーに乗せ、純でまっすぐな男女の愛物語を情感込めて紡ぐ。「想像を膨らませながら歌っています」(真木)というドラマティックな歌詞にも注目だ。c/w「オランダの海」は、遠く旅立つ彼に、つい強がってしまった女性の後悔の心を描く。70年代を思い起こさせる懐かしいサウンドとともに、真木の新たな魅力を堪能できる。
Profile
真木ことみ(まき・ことみ)
6月29日、神奈川県生まれ。歌好きの両親の影響で音楽への興味を持つ。初めて出場したカラオケ大会でスカウトされる。1993年「橋」で歌手デビューを果たす。力強い低音を生かした男唄を得意としているが、ポップスやフォーク、その他どんなジャンルも表情豊かに歌いこなす歌唱力で人気を集めている。デビュー当時より真木の応援団長は、元・巨人の中畑清氏が務めており、二人は1995年にデュエット曲「ときめいて乾杯」をリリースしている(アルバム「演歌三昧」に収録)。再来年にはデビュー30周年を迎える。