「サイコー!!」 一条貫太が鳥羽一応に激励を受けた浅草公会堂で初ステージ。新曲「大漁太鼓」では銚子ひびき連合会と迫力のコラボ
一条貫太が11月16日、東京・台東区の浅草公会堂でリサイタルを開催し、フォークから浪曲、よさいこソーランなど幅広い楽曲に初挑戦したほか、新曲「大漁太鼓」では銚子ひびき連合会による「はね込み太鼓」とコラボレーション。迫力のステージを魅せると、「幅広い世代の歌を届け、全国のホールを回りたい」と力を込めた。
「東京での初舞台。しかも浅草公会堂という歌手としての登竜門的な会場でやらせていただくことになり緊張していますが、一人でも多くの方に『よかったね』『また元気が沸いてきた』と言っていただけるように一生懸命歌わせていただきたいと思います」
地元・千葉でのソロコンサート開催の実績はあったが、一条貫太にとって東京でのホールコンサート、それも都内1000人規模の会場でソロコンサートを行うのは初めてだった。リハーサルを終えた一条はこれから始まる本番を前に気持ちを引き締めていた。
2018年に「ふたりの始発駅」でデビューした一条も歌手生活7年目。多くの先輩歌手や歌仲間に恵まれてきた。「皆さんとは切磋琢磨し、演歌歌謡という道を盛り上げたいし、その一人になりたい」。そう強く願う一条は、「一条貫太 2024リサイタル~魅力のすべて~」に現在の“一条貫太”のすべてを詰め込んだ。
「ちあきなおみさんがデビュー55周年を迎えられていますが、かつて『魅力のすべて』というLPアルバムを出されています。そのタイトルがかっこうよくて、今回のコンサートタイトルに使わせていただきました」
昭和歌謡のレコード収集が趣味である一条らしい発想でもあった。演出は日本歌手協会・理事長でもある合田道人氏が手がけており、「一条貫太はこういう歌も歌えるんだ」という挑戦曲が多く選曲された。
「見所は全部です。このコンサートのために書き下ろした『貫太のどっこいソーラン』ではソーラン節を披露しますし、カバー曲『北海の満月』では冒頭部分を、マイクを使わずに地声で歌い、3階のお客様まで歌声を届けたいと思っています。ここが最初の注目ポイントです。またセリフ入りの浪曲にも挑戦し、後半は銚子のひびき連合会の皆様と一緒にコラボさせていただきます。新曲『大漁太鼓』のミュージックビデオでもご一緒させていただきましたが、今日はバージョンアップした演奏を届けていただけるのでその熱気をお客様に感じていただきたいですね。僕もその熱気に負けないように歌います。さらにフォークソングからは『受験生ブルース』などをギターの弾き語りで歌います。父がバンドマンだったんですが、まさにフォーク世代でした。今年、高石ともやさんがお亡くなりになり、その追悼をしたいと初めて挑戦させていただきます」
「貫太のどっこいソーラン」からワンマンコンサートをスタートさせた一条貫太は、「北海の篝火」や「ふたりの始発駅」、「桃太郎一代記」、「やんちゃ船」「男の漁場」などのオリジナル曲のほか、「石松金比羅道中」「走れコータロー」「心友」など幅広い楽曲をカバー。最大の見所はやはり「大漁太鼓」だった。
千葉県銚子市の「銚子正調大漁節保存会 ひびき連合会」は13の団体が加盟し、約230名の会員が銚子に伝わる郷土民謡を継承している。コンサートでは14名がステージに登場し、一条とコラボ。2人1組で大鼓をかつぎながら跳びまわりながら打つ“はね込み太鼓”で会場を盛り上げると、法被姿の一条が新曲を力強く歌った。
そして、終盤には水前寺清子の「いのち知らずにゃ敵がない」、北島三郎の「誠」、美空ひばりの「人生一路」で畳みかけると、アンコールは「無法松の一生」と、もう一度、「大漁太鼓」を聴かせた。
一条貫太にとって浅草公会堂は思い出深い特別な場所だった。同じ日本クラウンの鳥羽一郎から“海の歌”を任されたのが同会場だった。
「鳥羽一郎さんの40周年コンサートが開催されたとき、僕たち後輩歌手もステージに立たしていただき、鳥羽さんの作品をカバーさせていただきました。その鳥羽さんから『最近の俺は陸(おか)の歌を歌っている。海の歌は、これからはお前に任せる。俺の後に海の歌を歌い継ぐのはお前だ』と言っていただきました。そうして出来上がったのが前作『男の漁場』ですが、その会場がここ浅草公会堂でした」
漁師出身の鳥羽は、デビュー曲「兄弟船」をはじめたくさんの“海の歌”を歌ってきた。海の歌といえば鳥羽一郎が思い浮かぶほど、海がよく似合う存在だった。そんな鳥羽から「海の歌は任せる」と背中を押された一条。「男の漁場」に続く「大漁太鼓」もすでに2万枚を超えるスマッシュヒットを記録しており、期待が高まっている。
「僕が“海の歌”を歌うようになってから、海の歌がたくさんリリースされているように思います。とてもうれしくて励みになります。(コロナ禍も落ち着き)ここ最近は地方を回らせていただく機会も増えてきまして、先日は九州を1500キロ横断してきました。僕の歌をはじめて聴いて『よかったよ』とファンになってくださる方もいましたし、漁師町ではものすごい歓迎を受けました」
11月20日に28歳の誕生日を迎える一条は、“海の歌”を引っ提げ全国を津々浦々まで回りたいと願う。
「昭和の時代の28歳というと、僕の中では完成された歌手のイメージがあります。そういう意味では焦りもありますが、その焦りを前向きに考え、一人でも多くの方に歌を聴いてもらってヒット曲を出したい。今日の浅草公会堂にはお子さんも来てくださっていましたが、幅広い世代に歌を届けたいですね。そして、全国のホールでコンサートを開催できるよう頑張りたいと思います」
鳥羽から激励を受けた記念の舞台でコンサートを終えた一条貫太は、この日のブログに「デビュー7年。ようやく浅草公会堂の舞台に立つことができました!! 支えてくださった皆様に感謝、感謝です!! 思わず最後に『サイコー』と叫んでしまいました」と綴ると、「またここからスタート」と大海原を見つめていた。