観客はたったひとり!? 純烈が初の有料配信コンサートでファンに勇気を、そしてファンから希望を!
純烈が11月5日、東京・渋谷区のLINE CLUB SHIBUYAで、約1000人の応募があったファンクラブ会員から抽選で選ばれた曽根優子さんひとりだけを客席に招待して、初の有料配信コンサート「純烈コンサート2020 YOU ARE SUNSHINE!!! 『追われる者より、追う者が強いんじゃ!』」を開催した。
純烈にとってはこの日は、7月8日の大阪・箕面温泉スパーガーデンで行った無観客ライブ以来、約4カ月ぶりのステージとなったが、配信を観る全国のファン2000人と、客席の曽根さんが見守る中、趣向を凝らした純烈らしい演出で「純烈のハッピーバースデー」、「今夜はドラマチック」、「プロポーズ」、そして最新曲「愛をください~Don’t you cry~」など全15曲を歌った。
~コンサート直前~
――今の意気込み、気持ちは?
酒井一圭 お客さんひとりだったら密にならないので、ファンクラブ会員の方からひとりお招きしましたが、あとは配信を観てくださるお客さんに向けてのステージです。ただ、マダムの皆様はメカが苦手で、最初はなかなかチケットが売れませんでした。そこでYouTubeでご案内動画を作って流したら、たちまち販売数が2倍に!! マダムの方にも丁寧に説明すれば配信でもいけますね。今日は2000人の方にご覧いただきます。楽しみです。
白川裕二郎 今年最後のライブになると思うので、全力でやらしていただきたいですね。演歌・歌謡曲のコンサートとしては、純烈しかやらないだろうことをやります。楽しみにしてほしいですね。
後上翔太 おひとりとはいえ、お客様の前でライブをやるのは今年2月以来です。デビューの時じゃないですが、リハーサルをやっていても、初めてやるような錯覚を覚えました。その新鮮さをお客様に楽しんでほしいですし、僕たちも楽しみたい。
小田井涼平 今回、(会場では)お客さんひとりじゃないですか? ぶっちゃけ、お客様の方が緊張するんじゃないですか? 僕が逆の立場だったら、どうしたらいいかわからないですもん。そのお客さんがコンサート中にトイレへ行きたくならないことを祈っています。だって、万が一トイレへ行きたくなっても行けないですもん。(スタッフに向かって)今からでも遅くないので紙おむつの用意をお願いしま~す(笑)。まあ、今回はひとりのお客様ですが、そのお客様の目をフィルターとして、生配信を観てくださる方に、僕たちの思いが届けばいいなと思っています。
――もし、ひとりのお客さんが奥様のLiLiCoさんだったら?
小田井 ガチガチになって身動きできない。体もガチガチになって、心もガチガチになって、(股間を指さし)ここもガチガチになります。
酒井 嘘つくな! フニャフニャなくせに!!
▲客席には、純烈メンバーの等身大フィギュアが置かれた。
――観客がひとりですが、照れませんか?
酒井 やってみないとわからないですねえ。でも、昔の渋谷公会堂、今はLINE CLUB SHIBUYAですが、ここで観客ひとりのコンサートなんて誰もやらないと思います。だからやっちゃおうと。誰もがやらないことが好きなんです。
――採算は?
酒井 採算はとれないんじゃないですか? 赤字ですよ。会場を借りるお金や、スタッフの数も多いので。今日のコンサートは後日、テレビ放送も予定されますが、テレビ局の方に赤字を分散させていただいて……。
小田井 それでもやばかったら、ひとりのお客さんに請求書を送らせていただきます(笑)。
――会場の向かい側はNHKホールです。3年連続の『NHK 紅白歌合戦』出場への期待もあるのでは?
酒井 道路一本渡ったら、僕たちの夢の舞台です。コロナ禍の中でもたくさんの方に応援いただき、CDもたくさん買っていただいています。来月(大みそか)はあっち側で歌えることを夢見て、今日は一生懸命歌います。
▲オープニング曲「純烈のハッピーバースデー」から純烈の“追われる者より、追う者が強いんじゃ!”コンサートが始まった。
「今日は純烈しかやらないコンサートになる」
メンバーの白川裕二郎が開演前に「純烈らしさ」をアピールしていたように、曲間のトークは芝居仕立ての演出で沸かせ、全編を通して笑いあり、涙あり、そして驚きの連続のコンサートだった。
プロレスラーのユニット「準烈(じゅんれつ)」の秋山準による“3年連続紅白出場祈願”の逆水平チョップを酒井一圭と後上翔太が受けたり、白川裕二郎がセクシーな裸を披露したり、小田井涼平がファンから届いたセクシーボイスを含む声を演出に使った「恋のチューリップ」の歌唱をしたりなど。
ファンとの触れ合いを大切にしてきた純烈らしく、Twitterを活用した“純烈オンラインラウンド”では、ファンのつぶやきに、純烈がステージから「いいね」を返していた。
▲たったひとりの観客となった曽根さんとのソーシャルディスタンスを指示された後上は、エアタッチで触れ合い。白川はマジックハンドを使い、小田井はソーシャルディスタンスを保つ2メートルのバトンを利用してコミュニケーション。そして最後はリーダーの酒井が、曽根さんとの共同作業でゴムパッチン!! そして悶絶。
▲カメラを搭載したドローンに笑顔を見せる酒井と後上。しかし、ドローンを操縦していたのは、なんと、プロレスラーの秋山準だった。酒井が紅白出場を祈念して、秋山の逆水平チョップを受けると悶絶。それを笑っていた後上だったが、秋山の餌食に!! 最後は清々しい笑顔を見せるMっ気のふたり。
▲ファンから集めたさまざまな声援を持参した小田井。“ステキ~!”“Go!”の声に混ざって、“あは~ん”のボタンも。嬉々として、ファンの声を音楽に取り入れていた。
▲同じ裸でも、セクシー路線で魅せる白井。「愛は死なない」を歌いながら、ステージ上で、生着替えをみせた。
▲純烈はTwitterを使ったコミュニケーションとして、“純烈オンラインラウンド”というバーチャル客席ラウンドを実施。歌唱しながらファンのつぶやきに「いいね」を押すおもてなし。
「涙の銀座線」から始まった
2010年6月23日発売のデビュー曲「涙の銀座線」を歌った時には、白川が感極まって歌えなくなるシーンも。しかし、それも演出で、Twitterを通じてたくさんの声援メッセージをもらい、それが希望の星、勇気の星となり、全員で「見上げてごらん夜の星を」を披露する。
ところが、コンサートの感想や当時の思いを一人ひとりが話し始める、演出のないトークでは、リーダーの酒井が思わず本気の涙を流してしまった。
▲2010年6月23日。「涙の銀座線」でデビューした純烈。当時は6人のメンバーだった。デビュー曲を歌いはじめると白川の様子が……。歌えなくなり、ついには膝をついてしまう。そんな白川を心配する後上、小田井、そして酒井だったが、ファンからの声援メッセージがツイートされ、4人は元気を取り戻していく。
▲しかし、本当にこの10年を振り返り、感傷的になっていたのは純烈を立ち上げたリーダーの酒井だった。涙を抑えることができなかった。
悲願だった『NHK 紅白歌合戦』への出場も果たし、今年は3年連続での紅白出場を狙う純烈。町を歩いていると、「おばちゃんに声をかけられる機会が増えました」と酒井。おかげで悪いことは何もできなくなりましたと笑っていたが、「スーパー銭湯でのライブにお客さんがぎっしり入っていて、熱気でガラスが曇るぐらいになっても、俺らのことは誰も知らなかった。知っているのは純烈のファンだけ。でも、俺はあの頃が一番楽しかった」という。
ひとり客席で純烈のコンサートを見つめた曽根さんは、「純烈の魅力はファンとの距離が近いこと。癒やしになるし、元気も出ます」と語っていた。
コロナ禍にある現在、“スーパー銭湯アイドル”の純烈らしい、ファンとの密なライブの再開までには今しばらく時間がかかりそうだが、この10年間、純烈を支え続けてきたファンの力をひしひしを感じた、純烈にとって今年最後のコンサートだった。
▲フィナーレでは、客席の曽根さんをステージに招待。純烈と一緒になって「人間だもの」を歌うと、曽根さんはうるうる。
1000分の1の確率で選ばれた曽根優子さん
曽根さんは東京・葛飾区在住の44歳。5人の子どもを持つシングルマザーだ。『百獣戦隊ガオレンジャー』(テレビ朝日系)に出演していた酒井一圭のファンになり、一時期、酒井のファンを辞めていたが、たまたま3年ほど前に機会があって純烈のキャンペーンに参加。そこで純烈にハマってしまったという。
「純烈さんのよさはファンとの距離が小さいことです。普通は言わないことでも、何でも話してくれますし。今は、小田井涼平さんのファンです(苦笑)。面白くて、かっこよくて、優しいくて。全部がそろっています。(小田井の妻の)LiLiCoさんが、うらやましいです。5人の子育てをしていて、子どもはかわいいですが、疲れることもあります。唯一の楽しみが純烈さんです。当選した時はびっくりしました。最初は信じられなくて。『当選しました』というメールを家族にも見せて、これ当たっているよねって確認して、やったーって。ほんと、贅沢すぎますね。でも、今日はめちゃめちゃ緊張しました。このタイミングで拍手していいのかとか悩んだりもして。最初から泣いてしまって、でも、途中で持ち直したんですが、酒井さんが泣いた時にはもらい泣きしてしまいました。純烈さんに会うと癒されるし、笑顔になれるし、女性ホルモンが出て若返ります。子どもは下のふたりが女の子なんですが、純烈さんのファンで、長女は卒業してジャニーズへ行っちゃいましたが(苦笑)、下の子は今も純烈さんのファン。今日は自宅で配信を観ていると思います。最後にステージ上げてもらって、一緒に歌を歌えたのが一番の思い出です。今日は久しぶりに純烈さんに会えました。コンサートの時、酒井さんからは『2年後には純烈のファンをやめているだろう』って言われましたが、これからも純烈さんをずっと応援していきたいと思います」