長保有紀が歌う“艶と粋”を感じさせるバラード

歌手生活35年を迎え、長保有紀はまさに”艶と粋”という言葉がぴったりの、円熟した歌声と表現力でますます輝きを増している。そんな彼女が35年目に放つ「思い出に抱かれて」は、年齢を重ねさまざまな経験を経てきたからこそ等身大で歌える、長保の”今”を感じる作品。大人のための一曲だ。

 

「私が目指していた歌謡曲が完成しました」

長保有紀といえば、艶やかな着物姿で歌う正統派演歌歌手のイメージが一般的だったが、2018年にリリースされた「お酒でワルツ」のジャケットではドレス姿を披露し、それ以降に発表したシングルはすべてドレス姿のジャケット写真が続いている。

「とくにイメージチェンジしたとか、路線変更したというのではないんです。衣装はその作品に合わせてチョイスしていますから、その結果ですね。ただ、『お酒でワルツ』の時には作曲していただいた鈴木 淳先生が『この曲はドレスでいこう』っておっしゃったのを覚えています」

今回の新作は表題曲、カップリング曲ともに作詞をかず 翼氏、作曲を徳久広司氏、編曲を矢野立美氏が担当している。どちらの楽曲も、長保いわく「年齢を重ねてきた今の自分が等身大で歌える作品」と話す。

「『思い出に抱かれて』に関してはもっとおしゃれなイメージで、というのもあったんですけれど、歌っているうちに少し歌詞に私の馴染みのある関西弁を織り込ませていただいて、かず先生も『本人が歌いやすければOK』ということで、少し変えさせていただいたんです。なので、私としては“子どもの頃に聴いた感じ”というか、“自分が目指していた歌謡曲”に仕上がったかなと思っています」

 

大阪出身の長保は、作詞家・もず唱平氏に師事し、修行を重ねた。その当時の教えは今でもしっかりその胸に刻まれている。

「意外と真面目なんですよ、歌に関しては。それ以外、普段の生活はズボラですけど(笑)」

一方のカップリング曲「大阪えれじぃ」は、失恋を歌った作品ではあるがサビの部分でリズムが強調され、明るく転調する。

「この曲は真面目に歌いすぎないように心がけました。とくに、♪男なんかに~♪からの部分は歌い飛ばすって感じですね」

コロナ禍のためにプロモーション活動もステージも制限され、「この時代に合わせた新しい方法を考えなければならなくなった」なかで、長保はこれまでもブログやYouTubeなどで積極的に情報発信を続けている。

「今は、年配の方もスマホを使う方が増えてきていますからね。これからも、もう一歩進んだ形を考えていきたいと思っています」

インタビューの最後に、将来的な目標は? と問いかけた。

「どんな作品を歌っても“日本人らしさ”を感じてもらえる歌い手を目指しています。例えて言うならば、江利チエミさんのような。江利さんの歌われる『テネシーワルツ』には、私たちに脈々と流れている“日本人の血”を感じます。『長保有紀の歌は、日本人くささがあってイイよね』と言ってもらえるようになりたいですね」

年齢を重ね、経験を積んできたからこそ、そう思えるようになってきたという長保。今回の新作「思い出に抱かれて」は、そんな自らの目標に向かって歩みを進める彼女の今を感じられる作品だ。

 


2020年10月7日発売
長保有紀「思い出に抱かれて」

「思い出に抱かれて」  
作詞/かず 翼 作曲/徳久広司 編曲/矢野立美  
c/w「大阪えれじぃ」 
作詞/かず 翼 作曲/徳久広司 編曲/矢野立美  
日本クラウン CRCN-8355 ¥1,227+税

作曲家・徳久広司氏が4年ぶりに長保有紀のために書き下ろした新曲は、作詞家・かず 翼氏とタッグを組んで、大人の“艶と粋”を感じさせる秀逸のバラード曲に仕上がった。長保有紀の歌唱力と表現力が十二分に引き出されている。表題曲「思い出に抱かれて」は、主人公の純愛をあえて偽悪的な言葉にのせて語りかけ、その思いを強く印象づけている。c/wの「大阪えれじぃ」は曲の前半の語りかけから、後半にはリズミックに展開するユニークな作品。どちらの楽曲も鑑賞するだけでなくカラオケでも楽しめる好作品だ。

 

2019年8月17日発売
長保有紀35周年記念アルバム
「夢・うつつ」~はずき作品集~

【収録曲】 1. つよがり 2. 露の花 3. 酒春秋 4. 昭和流行歌 5. 一緒に生きたい 6. 情をかけて 7. 大阪なさけ  
8. 出直したいの 9. 虹の橋から 10. 女磨いてきちゃうから 
日本クラウン CRCN-20461 ¥1,852+税


Profile
長保有紀(ながほ・ゆき)
1959年8月17日、大阪府高石市生まれ。本名:水野直美(みずの・なおみ)。1985年「女の人生待ったなし」でアポロン音楽工業からデビュー。1990年「しのび川」がヒットし、日本有線大賞有線音楽賞を受賞。1994年『第45回NHK紅白歌合戦』に「惚の字傘」で初出場。1998年にアルバム「浪花恋挽歌~近松純愛物語」で第40回日本レコード大賞企画賞を受賞。1999年にビクターエンターテインメントに移籍。2004年、日本クラウンに移籍。昨年リリースした35周年記念アルバム「夢・うつつ ~はずき作品集~」が好評を得ている。

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