瀬口侑希、新曲「片恋しぐれ」で新たなステップへ

ドラマチックな恋の歌に定評のある瀬口侑希が新曲「片恋しぐれ」で聴かせるのは、酒場でひとり、ホロリとしつつもどこか明るく前向きな女心とその姿。作曲を歌手の大先輩であり作家としても活躍する大川栄策が、「瀬口侑希をもうひとつステップアップさせる世界観を作ろう」と渾身の力を込めて手がけた、瀬口初の酒場演歌だ。

初めての酒場演歌は「とても新鮮」

Q 新曲「片恋しぐれ」は、2月に発売された「冬の恋歌」に続く二作目となりますね。

瀬口 そうなんです。前作の「冬の恋歌」はこのような状況の中でも多くの皆さんに歌っていただき、応援していただいてとても好評でした。でも、イベントやキャンペーンもなかなか行うことができず、お客様の前であまり披露することができなかったので、私的にはもっとこの曲を歌いたいな、と思っていました。そんな中、夏から秋にかけてもう一作出したい、というお話を5月くらいにいただいて、最初は「え!」と思いましたけれど、新曲を出すことができるのは本当にうれしいことですね。

Q  「片恋しぐれ」はどのような曲でしょうか。

瀬口 私にとって表題曲としては7、8年ぶりとなるメジャー調の作品です。実は酒場演歌は初めてなので、とても新鮮です!

Q  切ない内容ではありますが、とてもカラッとした明るさを感じるメロディーですね。

瀬口 同じ詞の切なさでも、メジャーとマイナーでは表現方法が違うんです。今回はすごい新鮮で、悲しい歌に思えないんですよね。

Q 主人公の女性は、意外にあっさりと吹っ切っているというか、前を向いているように感じます(笑)。

瀬口 そうなんです(笑)。酒場でひとりでお酒を飲みながら、ふと彼のことを思い出す。お酒を飲むと少し寂しくなるな……くらいなんですよ。どうしようもなくお酒に頼っているような、未練がある感じではないですよね(笑)。私の中でも、気合いが入っていないわけではないんですけれど、いい意味で力が抜けて、気楽に歌える曲です。

小雨つま弾く 人恋うたは
なんで哀しい 別れうた
女ごころに 降る雨が
通り雨なら いいものを
(「片恋しぐれ」歌詞より)

Q 坂口先生の詞は、とても情感が豊かな言葉で綴られていて、どことなくおしゃれですよね。

瀬口 本当に! おしゃれですよね。坂口先生とは、昨年の9月に発売した「おけさ恋歌」飛翔盤のカップリング曲「朱い鳥」で初めてお世話になって、一度お食事させていただいたのですが先生はお酒がお好きらしく、ずっと飲んでいらっしゃって。とてもかわいらしくて、親しみやすい先生です。その時に、「また今後一緒にお仕事ができるように、僕も色々考えているんだよ」と言ってくださって、私をイメージしながら書いてくださるのかな、と思ってすごくうれしかったんですね。そうしたらまさかこんなに早くいただけるとは! そして拝見したらお酒の歌で、微笑ましい感じもあって、先生のお人柄そのものの作品だなというのが私の第一印象でした。

筑紫竜平先生との出会いで「私の歌がガラッと変わった」

Q そして作曲が筑紫竜平さん、歌手の大川栄策さんですね!

瀬口 そうなんです! 大川さんのペンネームですね。実は、大先輩の大川さんとこれまではあまりご一緒させていただいたことがなくて、本当にご挨拶程度でした。歌手・大川栄策さんしか知らなかったので、はじめディレクターさんから「今回は筑紫竜平先生にお願いしようと思う」と言われた時は、「大川さん?!」とビックリしましたね。素敵なメロディーをたくさんお持ちの先生で、前作とリリースが近かったのもあるので、これまでとは違う先生にガラッと変えてお願いしたいなというアイデアの中で、ふと思いついたのが筑紫さんだったそうです。筑紫先生も快く引き受けてくださって「出来上がりを楽しみにしていてね」というメッセージをいただいてうれしかったです。

Q 初めてメロディーを聴かれた時はいかがでしたか。

瀬口 大川さんがご自身で歌われて演奏されているデモテープを私のためだけに!いただいたのですが、もう、すぐにイメージできました。歌の世界の表現力というか、とても素敵でした。でもこれを、私がどう歌えばいいのか? という壁にはぶつかりましたね。緊張はありました。レコーディングの前にオケ録りがあって、その後の仮歌の時にレコーディングスタジオで筑紫先生にレッスンをしていただきました。その時に、筑紫先生が「今までの瀬口侑希からひとつステップアップした世界観を作ろうね」と言ってくださって、その言葉がすごくうれしくて。古賀政男先生に師事されて歌い手さんになられて、しかもご自分で作品も書かれてという筑紫先生は、360°見えているというかあらゆる視点を持たれているし経験もたくさんされているので、詞についても曲についても編曲についてもお詳しいんですよね。発声法についても教えていただきました。言葉で、目の前で聞けるというありがたさ……。もう全部吸収したい‼︎ というレッスンでした。でも全部吸収するには、きっと何十年もかかるだろうなと思います(笑)。

Q そしてレッスンを踏まえてのレコーディングはいかがでしたか。

瀬口 私は基本的に出だし重視というか、歌の出だしを大事にすると頑張っちゃいすぎて、ちょっと押し付けがましい歌になってしまうことがあるんですね。今回もそうなってしまっていたんですが、筑紫先生から「最初からいいところを見せなくていい。見せるんだけれども全部出し切るな。後でまだ私のいいところが残っているんだよ、という部分を残しておけ」と言われて、「ああ」と思いました。そして最後のフレーズは、「私だよ!」と歌いなさいと。すごみすぎたり主張しすぎちゃうと、この主人公の女性がいい女に見えなくなってくるから、どこかで「いい女だな〜」とお客様に思われるようにするには、最初から手のうちを全て見せずに、見せない代わりにテクニックというか、声の出し方とかで表現しなさいとアドバイスをいただきました。見せどころを決めて歌う、ということが駆け引きなんだなぁと、本当に勉強させていただきました。

Q 深いお言葉ですね。

瀬口 そうですね。レッスンが終わった後、同席してくださった先生方が「私の歌がガラッと変わった」とおっしゃっていました。本当にたくさん、頭に入りきらないくらい色々なことを教えていただきました。「今言ったことがすぐできなくてもいいから、それを常に頭に入れて意識して歌いなさい。そうすると絶対に変わってくるから」と、それは最後までおっしゃっていました。私にとって本格的な演歌って、実は初めてかもしれないんですね。軽く歌っているようで人の心に残る歌い方というのは意外と初チャレンジで、そこがちょっとプレッシャーでもあったんです。迷いもあったのですが「ここだよ」と筑紫先生が目標とするところを教えてくださったので、とても安心して進めることができて感謝しています。

Q この曲を歌う上でのワンポイントアドバイスを教えてください。

瀬口 とにかく気持ちよく歌っていただくのがいいと思います! そして、メジャーソングで明るい曲調なんですけれども、一カ所だけ「あれ、この人寂しいのかな」というような、表現を、ぜひ皆さんなりに表現していただけたら。最後のフレーズの「もう一度逢いたい 片恋しぐれ」は、もう、お客様どうぞ!という感じで、主張してください(笑)。最初のうちは丁寧に歌ったりメロディーを楽しんでいただいて、最後気持ちよく歌って主張していただく、それが一番いいんじゃないかな。

Q ありがとうございます。それでは最後にオトカゼの読者やファンの皆さんへメッセージをお願いします!

瀬口 こういう時期ではありますが、やっぱり歌は楽しんで皆さんに可愛がっていただくのが一番だと思っています。まさに、この曲はピッタリの作品です。日常からちょっと離れた時間を過ごすための愛唱歌にしていただいて、ぜひ応援していただけたらうれしいなと思っています。9月26日には、東京・北区の北とぴあ つつじホールで「瀬口侑希コンサート2021〜希望の明日へ〜」を開催します。2年半ぶりの単独コンサートです。演歌・歌謡曲をはじめ、洋楽も英語で歌おうと練習中です! そして、唱歌のような秋にぴったりの歌などジャンルを問わず挑戦したいなと思っています。ぜひお越しいただけたらうれしいです。

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2021年8月25日発売
明るさの中に切なさが見え隠れする女心
瀬口侑希「片恋しぐれ」

「片恋しぐれ」
作詞/坂口照幸 作曲/筑紫竜平 編曲/南郷達也
c/w「音更(おとふけ)の雪」
作詞/高田ひろお 作曲/筑紫竜平 編曲/南郷達也
日本クラウン CRCN-8423 ¥1,350(税込)


INFORMATION
2021年9月26日開催!
瀬口侑希コンサート2021〜希望の明日へ〜

日時:2021年9月26日(日)
開場 14:00 開演 14:30
会場:東京・北とぴあ つつじホール
料金:6,000円(全席指定・税込)

チケット・お問い合わせ
:(株)クラウンミュージック
(TEL:03-6432-5454

Profile
瀬口侑希(せぐち・ゆうき)
5月15日、兵庫県生まれ。1999年に文化放送主催のオーディション「プロになっちゃえ!」でグランプリを受賞。その後、作曲家の櫻田誠一氏に師事し歌手を目指す。2000年「ねぶた(NEBUTA)」でデビュー。2004年から文化放送『走れ!歌謡曲』の”歌のお姉さん”として出演するなど、ラジオやテレビ番組でも活躍。ドラマチックな恋の歌を得意とし、その美しい容姿と歌声、長身のスタイルと気さくな人柄で多くのファンを魅了し続けている。2020年、デビュー20周年を迎え記念曲「須磨の雨」を発売。

瀬口侑希オフィシャルホームページ

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