成底ゆう子が結歌(ゆんた)ツアー2020「ダイナリズム」開催。「This story will continue with you」

石垣島出身のシンガー・ソングライター、成底ゆう子が10月8日、東京・渋谷のduo MUSIC EXCHANGEで、〈結歌(ゆんた)ツアー2020「ダイナリズム」〉東京公演を開催した。

2010年11月に「ふるさとからの声」でメジャーデビューを果たし、10年目を迎えた今年3月に自身初となるベストアルバム「ダイナリズム~琉球の風~」をリリース。このアルバムを携え4月の東京を皮切りに、大阪・福岡・沖縄の4都市でツアーを行う予定だったが、残念ながら新型コロナウィルスの感染拡大の影響で延期・中止となった。そのため、この日は東京公演の振替公演として、感染防止対策を徹底した会場とインターネットによる有料配信で行われ、アルバムの楽曲を中心に、デビュー曲から代表曲の数々、全22曲を全身全霊のパフォーマンスで届けた。

三線を抱え登場した成底は「真っ赤なデイゴの咲く小径」をのびやかに歌い、スタートを切った。

会場にいらしてくださった皆さんも大変ですよね、ありがとうございます。そしてワンマンライブ、ほんとはね4カ所、東京そして大阪・福岡・沖縄とやる予定が、東京公演のみとなりました。それで今回は配信という形で、日本中の皆さん、世界中の皆さんが観られるということで、今日は皆さんと一緒に楽しい時間をね。もう楽しもう!(笑) 。この半年歌えなかったし、他のみんなもね、いろいろ行きたかったけどなかなか行けなかったと思います。今日は楽しくなれればいいかなと思っています。最後までよろしくお願いします!」

明るく挨拶すると、2016年に『NHK みんなのうた』で放送された「おばあのお守り」、成底自身の祖父との思い出、実話をもとにして作られたという2013年リリースの3枚目のシングル「伝え歌」をピアノ弾き語りによるスタイルで届けた。

「配信で観てくださっている皆さん、チャットとかね、受け付けております。何でもいいので、『やせたかな』とか『きれいじゃない』とかね、お待ちしております(笑)」

会場と配信でライブを楽しむファンを、成底らしい飾らないトークで盛り上げると、インディーズ時代に制作した”親と子の絆” “郷愁の念” “命の尊さ”を綴った「この地球(ほし)に生まれて」、「さくら道」、そして2011年3月11日に起こった東日本大震災の被災地を訪れた時、「私はこのままじゃいけないと、自分の中で強く思ったことで生まれた曲」で、宮城県石巻市にある日和山公園をモチーフにした「日和山公園」を歌った。徐々に大きくなる声援代わりの手拍子が、成底、バンド、観客をひとつにした。

その後も、ピアノの旋律に乗せて思い出深いメジャーデビュー曲「ふるさとからの声」、鉄琴の一種、グロッケンシュピールを奏でながらの「里景色」、コロナ禍の間に受けたとある取材がきっかけで生まれたという新曲「やさしさを見つけよう」などを、突き抜ける美しい高音で聴かせた。

ロングトーンが素晴らしく響いた「光」。これまでのムードから一転、歌謡曲テイストの道ならぬ恋を歌った「サガリバナ」。アップテンポでさわやかなナンバー「パイヌカジ」。恋人同士のほのぼのとした日常や、日々のすれ違いなどを温かくやさしい詞で綴る「雨ノチ晴レ」。美しい歌声に魅了され、気がつくと第一部が終了していた。

ステージが暗転すると、ここで成底のデビューからの10年を短くまとめた映像が流された。最後に「This story will continue with you」の文字が映し出され、第二部が幕を開けた。

アルバムのジャケット写真と同じ赤い衣装を身にまとい登場した成底は、アルバムのリード曲「いちまでぃん」(沖縄の方言で「いつまでも」の意味)を熱唱。「愛」を「かな」と歌うなど沖縄の言葉がちりばめられており、懐かしさとともに温かさを感じさせる一曲だ。

▼「いちまでぃん」PV

 

第二部突入です。珍しくですね、衣装チェンジしてみました。配信ライブを観ている皆さん、今です。「なんかやせて見える」! コメントどんどん書いてください(笑)。よろしくお願いします。まだまだね、これから盛り上がっていきたいと思います。皆さん最後までお付き合いください!」

八重山方言で「美しい羽」を意味する言葉をタイトルにした「あやぱに」、母への思いを歌った「母」、「生まり島」「風になれ」などを歌い上げた。

「ライブをやってるとだんだんだんだん楽しくなってきて、どんどんどんどん盛り上がってきて、まだまだまだ歌いたいと思うんです。コロナが収まったら、皆さんの元に歌いに行きます。生歌を届けに行きます」(成底)。エイサーの踊りに負けないパワフルな歌声。成底の魅力を存分に味わうことができた2時間半だった。

和太鼓と笛の音色に導かれ「道標の詩」を歌い始めると、エイサー隊が登場し成底を支え、続いて、全国高校野球選手権をはじめSNSなどでも話題の成底の代表曲「ダイナミック琉球」でも、威勢のいい掛け声とパフォーマンスで盛り上げた。

デビューした時は、10年後にこうやって歌って、そしてベストアルバムを出すなんて想像もつきませんでした。皆さんが応援してくださっているから続けてこられたんです。本当にありがとうございます。これから先また10年20年とね、歌い続けていきたいなと思っております。皆さんぜひ応援してください。これからがまた新たなスタートです。皆さんの心の中に成底ゆう子の歌が灯りとしてね、灯っていることを願っています。私の心の中には皆さんの愛が灯っているので、皆さん一人ひとりの中に私の歌が灯ってくれるといいな。最後は『風灯り』聴いてください」

そんな願いと、支えてくれるすべての人への感謝を込めて、成底は最後まで全身全霊、ダイナミックな歌声を轟かせた。最後に見せた成底の表情は、とても晴れやかだった。

エンディングでは、会場と配信で耳を澄まし見守ってくれたファンや観客とひとつに。活動自粛の時間を経て、歌えることの喜びや感謝、思いの丈を22曲に乗せて歌い切った。


2020年3月11日発売
「成底ゆう子の物語は続く…」
10周年を飾る自身初のベストアルバム
「ダイナリズム〜琉球の風〜」

≪収録曲≫M1「いちまでぃん」M2「風になれ」M3「あやぱに」M4「道標の詩(みちしるべ)」M5「ダイナミック琉球~応援バージョン~」M6「母」M7「真っ赤なデイゴの咲く小径」M8「伝え歌(album version)」M9「生まり島」M10「この地球(ほし)に生まれて」M11「日和山公園」M12「おばあのお守り」M13「パイヌカジ」M14「ふるさとからの声」M15「砂に書いたラブレター」M16「風灯り」 
キングレコード KICK-1111 ¥2,727+税

▼ダイナミック琉球~応援バージョン~【PVフル】


Profile
成底ゆう子(なりそこ・ゆうこ)
1975年12月11日、沖縄県石垣島生まれ。クラシック好きの父親の影響からピアノ を習い始め、小学校3年生の時に地元の合唱団に入団するなど、幼少の頃から音楽に親しむ。武蔵野音楽大学入学と同時に上京し、卒業後、歌劇団の研究生となりイタリア研修を経験する。帰国後、作詞・作曲活動を始めシンガー・ソングライターとして活動を開始。2009年、日本テレビ系『誰も知らない泣ける歌』で「ふるさとからの声」が取り上げられ、2010年、同曲でメジャーデビューを果たす。透き通るような心地よい癒やしの歌声は多くのファンに愛され、今年デビュー10周年を迎えた。