氷川きよしスペシャルコンサートツアー2020-2021~Never give up~

氷川きよしの歌・歌・歌! 演歌からロックまで!! 夢とロマンのステージを君へ

氷川きよしスペシャルコンサートツアー2020-2021~Never give up~

歌・歌・歌。演歌からロックまで鮮やかに変化する歌声とパフォーマンスよる歌のシャワーが降り注いでくる。氷川きよし、22年目のコンサートツアーは夢とロマンが詰まったステージだった。これほどまでに幅広い歌を届け、歌の世界から飛び出してきたような独創的な衣装で魅せ、自然体のトークで観客を楽しませるなんて・・・。

原点の地に立つ

6月8日~9日の2日間、氷川は自身の原点とも言える地、東京・中野サンプラザのステージに立っていた。「氷川きよしスペシャルコンサートツアー2020-2021~Never give up~」は、1月の埼玉・ウエスタ川越から開幕し、2月1日~2日に中野サンプラザでデビュー記念日(2月2日)を祝うはずだった。だが、コロナ禍における緊急事態宣言の発令により延期となり、2月下旬から断続的にツアーを開催していた。

中野サンプラザでの2日間は振替公演として4公演を行い、各回1000人(50%収容)、計4000人に夢の世界、ロマンの世界を届けた。

昨年、東京国際フォーラムで行った「氷川きよし スペシャルコンサート2020 きよしこの夜Vol.20」と同様、“青アマビエ”の衣装でステージに現れた氷川は、「大丈夫2020」「きよしのズンドコ節2020」、「星空の秋子」を歌うと、黒のタキシードに着替えて昨年の勝負曲「母」をフォーラムバージョンで聴かせる。

シングルCDとは異なるアレンジ。ピアノの演奏に合わせて語るように歌い始め、途中から主旋律がバイオリンに変わる。その後は、バンド演奏による熱唱となり、最後に転調してサビの音程を上げた世界観で、大切な母への思いを絶唱(!)する。生のコンサートならではのバージョンアップ。生でしか味わえない特別な「母」だった。

氷川きよしスペシャルコンサートツアー2020-2021~Never give up~

昨年の勝負曲「母」をフォーラムバージョンで歌う氷川。演奏の主旋律をピアノからバイオリンへと変化させるアレンジで魂のこもった歌声を聴かせた。

飾らず自然体。そして笑い

中野サンプラザは2001年7月5日、氷川がデビューして最初に行った単独コンサート“チャレンジステージ”の舞台。デビュー以来、もっとも多く立っているステージでもある。ここまで4曲、瞬きさせないパフォーマンスで聴かせた氷川だが、トークとなるとまったく飾らず、自然体だった。それでいて観客を巻き込む笑いの渦。通算2513回目となった8日昼の部のステージでは、こんなオープニングトークを見せた。

「久しぶりの、原点でのコンサートホール、中野サンプラザでございます。氷川きよしがいちばん最初に、2021年にここで歌ったんですね。《観客がザワザワザワ》 2022年? 《ザワザワ》なんなの? 21年? 23年?《ザワザワザワ》 なんなの? にせん・・・えっ? 2001年だ!《観客爆笑》 申し訳ございません。私が悪るうございました。2021年って今年じゃないですか。(ほかの仕事など)たくさんの台本があって・・・。ボケてきました。2001年です」

「23歳の時にこの舞台に立たせていただいて。その時は演出家の先生がついていたんですね。『箱根八里の半次郎』のフリは大きくしてくれって言われて。必死ですよ。それくらい一生懸命にこのステージに立たせていただいて。終わったあと、長良プロデューサーが『よくやったな』と、ひと言声をかけてくださって、本当に涙しました」

「もう緊張して・・・。歌詞も20何曲覚えて、うん!! 緊張すると、緊張の度合いを超えると熱が出るんですよ。うん!!  またいつか立てるようにと心の片隅でちょっと思っていた。でも、これで最後かなとも思ってたんですが、皆さんのおかげでこうしてステージに立たせていただいています。お客さんがどなたも来なかったら、やらなくて済むんですけどね。《観客爆笑》 こうやって来てくださっているので、こうして開催させていただいています。《ひと際大きな拍手》 今日も最後の最後まで心を込めて歌わせていただきます。どうぞ、よろしくお願いします」

主人公の思いをすごく感じる曲たち

「これまで様々な作品を歌ってまいりました。歌の主人公の気持ちを理解しようと、何度も詩を読みます。やっぱり主人公の思いをちゃんと自分の中で消化したいから。主人公の思いをすごく感じる曲を選ばせていただきました」

氷川はファンがいるから勇気をもらえ、ステージに立つことができる。だから、このひと時は現実と離れてハッピーな時間を過ごしてほしいとも語り、主人公の思いを強く感じるオリジナル曲を聴かせたい。アルバムや、シングルのカップリング曲として収録されているが、あまり披露する機会がなかった曲たちを、これから歌うという。

氷川は「残雪の町」、「黄金岬」、「二度泣き橋」、「石割り桜」、「出発」、そして「櫻」の6曲を途切れることなく歌う。

「出発」は8日に発売されたばかりのアルバム『南風吹けば』にも収録された、シングル「櫻」のカップリング曲。たくさんの思い出が詰まった故郷を思い、明日へと歩きだす主人公を歌っている。素朴で温かくて大好きな歌だという氷川は、歌唱の途中で、何かを演じていた。

子どもに話しかけるような仕草や、また今年1月に亡くなった愛犬のココアがそこにいるかのように、頭から背中を撫でる動き、そして、子どもたちに「じゃあね」と手を振るような仕草をすると、観客に向かって笑顔を見せていた。氷川はその時々の思いで、心の内を演じているようだ。これから続くツアーでは、どんな思いを演じるのだろうか?

氷川きよしスペシャルコンサートツアー2020-2021~Never give up~

「出発」を歌いながら、小さな子どもの頭をなでるような仕草をする氷川。振り付けではなく、歌の世界へ入り込み、その時々の思いで演じているようだ。別の会場では、今年1月に亡くなった愛犬のココアであろう小動物をハグ&キスする仕草をみせることもあったという。

6曲目の最後に歌った「櫻」は、「出発」同様、なかにし礼が作詞、平尾昌晃が手がけた作曲だ。亡くなってしまった大切な人を思う歌。「私が死んだら 櫻になるわ」(「櫻」歌詞より)が口癖だったあの人へ。東日本大震災の翌年、2012年に作られた作品だ。

「亡くなった人に対する追悼の想いを歌った一曲です。ファンの方の中にもお亡くなりになられた方がおられて、そういう話を聞くと胸が締めつけられます。その方の心の中に自分がいて、人生の最後を終えられたんだなと思うと、ちゃんと真っ直ぐに歌っていかなければいけないと思います。その方の真心を、私は一生忘れないで歌って行こうという気持ちになれます」

歌い終えた氷川に大きな拍手が送られる。「最高のお客様。うれしい!」と氷川。ここからは新曲「南風」と、アルバム『南風吹けば』の世界が届けられる。

「そよぐ南風 明日が呼んでいる」

コロナ禍にあって不自由な日常が続いているが、「頑張って」と投げかけてもそれは違う。みんなが頑張っている。頑張っている人に頑張ってと言ってもそれはストレスになるだけ。そう考えた氷川は、“南風”のような温かい風が背中を押してくれる。そんな作品を歌いたいと願った。「恩師の水森英夫先生と、かず翼先生が心を込めて作ってくださいました」(氷川)。

「そよぐ南風 明日が呼んでいる」(「南風」歌詞より)のフレーズが未来への希望を感じさせる「南風」を歌った氷川は、アルバムから「星空のメモリーズ」と「紫のタンゴ」を披露する。

「アルバムを出させていただくのは歌手として励みになります。12曲入っています。皆さんに聴いていただいて。生活の中に音楽がないと寂しいじゃないですか。アルバムを聴くと、いろんな気持ちになれますし、ぜひ、歌詞カードを見て、主人公と同じ気持ちになって楽しんでください。すごくワクワクして楽しいと思います」

他のアーティスト同様、氷川もコロナ禍で多くのイベントやコンサートが中止や延期となっている。しかし「休みはない、休まない」という。作品作りにも注力し、コロナ禍の昨年6月にはアルバム『Papillon(パピヨン) – ボヘミアン・ラプソディ-』を、10月にはアルバム『生々流転(せいせいるてん)』を、そして、今年6月8日には『南風吹けば』をリリースした。

「星空のメモリーズ」と「紫のタンゴ」

『南風吹けば』は、1年半ぶりとなる演歌・歌謡曲を中心としたアルバムだ。

「この困難な時代に、少しでも人の気持ちに寄り添う、希望を感じられる作品、アルバムになればと思って作りました」

全12曲すべてに、今届けたい氷川の気持ちが込められている。「本当は全部歌いたいんですけど、そうすると4時間はかかりますから」と、「星空のメモリーズ」と「紫のタンゴ」の2曲を厳選し、「歌のプレゼントをさせていただきたいと思います」と熱唱した。

「『星空のメモリーズ』は、恩師の水森先生が作曲してくださった、大人の歌謡曲。一年一年、年を重ねましたが、振り返ると多くの方に支えられて。たくさんの愛をいただいてここまで来られたわけです。『自分の夢は果たせたかな?』と振り返る主人公を歌った前向きな歌です」

「『紫のタンゴ』は湯川れい子先生が詩を書いてくださった歌で、本当に艶っぽくて、色っぽくて、男女の性を超えた人間としての想い、苦しみを表現した歌です」

氷川きよしスペシャルコンサートツアー2020-2021~Never give up~

湯川れい子が華麗にひたむきに愛する人を想う世界を書いた「紫のタンゴ」。妖艶な振り付けをみせつつ、最後は目に力を込めながらポーズを決めていた。が、演奏終わりで、“変顔”をして、観客を笑わせる場面も。

演歌・歌謡曲を届ける『南風吹けば』

これまで歌ってきたすべての作品は「自分の子どもみたいなも」と語る氷川は、「まったく何もない状態から作品に仕上げてくださる作詞・作家の先生」に感謝し、一曲一曲に愛情を持つ。近年は“氷川きよし”というジャンルを、つまり既成のジャンルにとらわれず、自分が歌いたい曲を積極的に発信しているが、最新アルバム『南風吹けば』に収録された全曲について語る。

「アルバムは『南風』からさわやかに始まって、2曲目が『そこまで春が・・・』。10年ぐらい前から歌わせていただいている曲です。東日本大震災から10年が経ちましたが、亡くなった方たちのことを絶対忘れてはいけない。人間は新しい記憶(で上書きされ)、昔のことを忘れていくじゃないですか? でも、命の記憶は絶対忘れないようにって、いっつも祈っています。命に対する思いというか、“君が、あなたがいてくれるから楽しかったよ”っていう感謝の声が表現された曲です。

『出発』は素朴で温かい歌。すごく好きなんで、今の時期にこそ、皆さんの癒やしになればと思って入れさせていただきました。4曲目は『筑後川』という演歌。故郷(福岡)を流れる川ですが、去年、大変な被害があって、多くの方が亡くなられた。その方のご家族のことを思うと本当に胸が痛い。ニュースで“亡くなった”とか一口に報道されているけど、その方の恋人とか親がどんな気持ちかと想像すると、やっぱり命があるだけでありがたいなあと思って、そういったことを歌で伝えていかなければならないし、命を軽く扱わない、という気持ちでこの曲も入れさせていただきました。

5曲目の『みちのく恋女』は三連の歌謡・演歌になっていて、6曲目が『澄海岬(すかいみさき)』。スカイブルーのような海。“すかいみさき”という名前が洒落ているでしょう? 今、なかなか旅行ができないので、ストレスも溜まります。歌で旅行してもらいたいと思って入れました。この歌で旅行してください。

7曲目が『五島の船出』。長崎の方の漁師さんの歌ですね。(実際に歌いながら)エンヤレ エンヤレ エンヤレ エンヤレヤ~♪って感じの歌です。8曲目が『明日への道』。これは15周年の年にできあがった曲(『ちょいときまぐれ渡り鳥』【Aタイプ】カップリング」)で、これからも明日があるよっていう気持ちで入れさせていただいた。

9曲目が『千年先までも』。千年後、皆さん、何してらっしゃいます?《笑》 私はたぶんミイラになっていると思います。《観客が破顔大笑》

10曲目が『紫のタンゴ』。今の時代にぴったりな曲です。11曲目が『星空のメモリーズ』。水森先生が絶賛です。『今までの作曲家人生の中でいちばん。シングルにしたかった』と熱弁されていました。それくらい思い入れのある曲です。

12曲目が『大地の子守唄』。おやすみ、おやすみって。お魚も鳥も動物もみんな兄弟だよ。命は大切だよね。おやすみ、おやすみ・・・って曲です。12曲、すべてが癒やしの曲になっています」

コンサートの中のほんの短い時間。アルバムへの想いをすべて語ることはできないが、途中、冗談を挟みながらも駆け足で全曲を紹介した氷川。作品への強い想いをを感じさせた。

氷川きよしスペシャルコンサートツアー2020-2021~Never give up~

青の羽織と、からし色の袴姿で、自身の原点でもある股旅演歌を歌うと、「白雲の城」を熱唱し、ドライアイスの雲の中へ消えていく。氷川にとっては黄金比のような和の世界だった。

Never give up

紋付き袴の和装で登場した氷川はデビュー曲「箱根八里の半次郎」、セカンドシングル「大井追っかけ音次郎」を歌い、魂の歌、第45回日本レコード大賞で金賞を受賞した「白雲の城」を歌い上げた。“氷川演歌”の原点とも言える和の世界だ。

ここまで約1時間半。16曲を歌い終えた氷川のスペシャルコンサートは後半へ。一気にポップス&ロックのショーへと切り替わると、照明がいっそうド派手となり、歌のリズムに合わせて照明が踊りだした。

氷川きよしスペシャルコンサートツアー2020-2021~Never give up~

白とバービーピンクのツートンカラーの燕尾服に、白いリボンが飾られたピンクのシルクットとピンクのステッキ。時にコミカルな動きを見せながら、“Call me, call me, call me Kii”と歌う。

氷川きよしスペシャルコンサートツアー2020-2021~Never give up~

ステージ上部にはシャンデリアの演出。そしてピンスポットを浴びる氷川。いっそう華やかな世界観の中で、“笑い飛ばすことさ! Hey!”とポーズを決める。

昨年リリースしたアルバム『生々流転』から「枯葉」と「恋、燃ゆる」の2曲を深紅の衣装で歌うと、HKバンドが『hug』を演奏する間に、氷川は白とピンクのツートンカラーの衣装にチェンジ。ピンクのステッキを持って登場し、自身のことを歌ったミュージカル風の楽曲「Call Me Kii」を、そして、氷川がKii名義で作詞に挑戦し、プライベートでも親交のある上田正樹が作曲したR&B、「Never give up」を聴かせた。

「Never give up」はコンサートツアーのタイトルにもなっているが、諦めない気持ちをストレートに訴えている。そして、レース生地が使われた黒のボディースーツで「限界突破×サバイバー」と「白い衝動」を歌い上げ、コンサートを締めくくった。

後半はとにかく歌い続けた。MCなどはなく、「白い衝動」の歌詞にある“信じた未来へ 走れOne way”の言葉通り、氷川はまさに駆け抜けていった。

氷川きよしスペシャルコンサートツアー2020-2021~Never give up~

力強く激しく、それでいて艶っぽい振り付けで、ロックを届ける“ブラックきよし”。

氷川きよしが伝えたいこと

あるファンは「切れ目なく続く歌声と、高まるライブ感に、その場で立ち上がって踊り出したくなる思いでした。まるでジェットコースターに乗っているような迫力と、私たちもどうなってしまうんだろうと。実際に私たちは何もならないのですが、でも、何かが起こりそうなスリルに手に汗を握りました」と語っていた。

締めくくりの曲「白い衝動」はアルバム『生々流転』の最後に入れた曲。最後は真っ白にして終わりたいという想いで収録された。

かつては、勝手に作られた“氷川きよし”のイメージが嫌だった。そんなイメージと格闘してきた。だが、すべてをいったん白紙に戻し、今は、嫌だったイメージの中の自分も一部だと思えるようになってきた。だからこそ妥協しないし、もう嘘はつかなくていい。そんな氷川のメッセージを感じる。

氷川きよし

アンコールでは純白の衣装で登場。神々しく輝き、「I Don’t Wanna Lie」と「碧し」の2曲を歌う。どちらも自分らしくあることの大切を問うている。

アンコールの1曲目は布袋寅泰のアルバム『Soul to Soul』に参加して歌った「I Don’t Wanna Lie」。「きよしこの夜Vol.20」ではアンコールの1曲目に、「ボヘミアン・ラプソディ」を披露していたが、22年目の今季ツアーは「I Don’t Wanna Lie」が氷川の心の叫びだった。

愛のまま生きるただそれだけで
世界はどこまでも美しくなる
(「I Don’t Wanna Lie」歌詞より)

白いマントを羽織り、全身白一色に包まれた氷川は、「皆さんの幸せと健康が自分の願い。皆さんが喜んでくださることなら何でもしたい、という思いで22年歌ってきましたが、その22年を振り返る作品になりました」と、GReeeeNが氷川に送った「碧し」でエンディングを迎えた。氷川のデビュー記念日である「2月2日」というフレーズから始まる「碧し」。今があるのは変わらず支えてくれたすべての人、君のおかげだという、氷川の素直な気持ちが表現されていた。

氷川きよしスペシャルコンサートツアー2020-2021~Never give up~

コロナ禍でのコンサートツアー。「何よりもファンの幸せと健康を祈っている」と、氷川は笑顔で見送った。


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