神野美伽が2年ぶりに東京公演。今、歌いたい歌を全力で披露し、江利チエミの珠玉の名曲「旅立つ朝」を51年ぶりにカバー!
神野美伽が6月7日に東京・中野区の中野サンプラザホールで「神野美伽コンサート2022『さあ、歌いましょう!』」を開催し、2000人の観客を前に、今、歌いたい作品を披露した。同コンサートは2020年6月30日に開催される予定だったが、コロナ禍で延期になっていたもの。東京でのホールコンサートは実に2年ぶりとなった。
また神野は今年3月、腰椎椎間板ヘルニアによる右足急性まひのため緊急手術を行い入院していたため、退院を経ての本格的なコンサートのリスタートともなった。
「最近は、ご心配かけることばかり続いていて、関係者の皆さまやファンの皆さまに本当に申し訳ないと思っています。何があっても続けてきたコンサートが、コロナ禍で丸2年空いてしまいました。私自身、いろんな格闘をしながらここにいられることが、ただただうれしいです。ダメかも。体力的に間に合わないかもと諦めかけた時もあっただけになおさらです」
コンサートは2部構成で行われた。
「第1部は、過去に歌ったものを含めて、いま歌いたいものを全部やってみようと思って選曲しました。コロナ禍では、高齢者のお客様が多い演歌のスタンダードなコンサートはほとんどが中止になりましたが、ラテンやジャズなどは規模を縮小してでもお客さまを入れてライブやコンサートをやっていました。私がラッキーだったのは、そうしたステージで歌い、いろんな音楽を勉強させていただけたことです。大阪ではアロージャズオーケストラとジャズ&スタンダードを、東京では東京キューバンボーイズとラテンの音楽を、ゲストボーカルとして歌えるというすごくいい経験もさせていただきました。コロナ禍でなければできなかったことです」
公演前、そんなふうに語っていた神野は神野のバンド「神野組」(全5人)と東京キューバンボーイズ ホーンセクションズ(全13人)のダイナミックな演奏をバックに、第1部では笠置シヅ子の「ヘイヘイブギ」をはじめ、江利チエミの「テネシー・ワルツ」「踊りあかそう」、マンボメドレーから「お祭りマンボ」「MAMBO ITALIANO」、西城秀樹の最後のシングル「めぐり逢い」、和田アキ子の「あの鐘を鳴らすのはあなた」などを歌唱した。
西城秀樹の「めぐり逢い」については、「もし生きておられたら今年はデビュー50周年にあたります。(脳梗塞と闘い)動かない体で一生懸命歌われていた姿が目に焼き付いています。秀樹さんがどんなに悔しい思いだったかと思うだけで泣きそうになります。『めぐり逢い』は生前最後のシングルですが、歌詞が素晴らしいので歌わせていただきました」と、その思いを語っていた。
また6月8日発売のニューシングルで、江利チエミのカバー曲「旅立つ朝(あした)」を披露した。
「旅立つ朝」は江利が1971年に米国ロサンゼルスでレコーディングした作品。トップミュージシャンの演奏で歌った珠玉の名曲だが、江利の没後40年の節目の年に、演歌だけではなく、様々なジャンルの音楽を歌ってきた神野によって継承された。
「江利チエミさんが51年前にロサンゼルスでレコーディングされた曲を私がカバーさせていただくことになったのですが、江利さんは私が心から尊敬している方です。あの時代にアメリカに渡って、ルイ・アームストロングやエラ・フィッツジェラルドと対等に歌ったのですからもう尊敬しかないです。その江利さんや笠置シヅ子さんの時代は、当たり前に世界中の音楽を日本の中に取り入れて、日本独自のものをつくりました。それが、自分がいま一番やりたい音楽だと気づいた時、キングレコードさんから『江利チエミさんの歌っていた曲を再リリースしませんか』と声をかけていただきました」
第2部はオリジナルナンバーから「日本の男」をはじめ、「千年の恋歌」「海の伝説(レジェンド)」「男船」「あんたの大阪」などを披露したが、「待ちに待った2年ぶりのやっと会えました~。会えることがこんなにうれしいのか。歌えることがこんなに幸せなのか。体中で感じながら舞台に立っています」とうれしそうだった。
椎間板ヘルニアの治療は今も続き、現在、理学療法士によるサポートを受けながらリハビリを続けているという。
「これから自分の肉体と向き合ってどこまで変化していけるか。行けるところまでいってみようという楽な気持ちでいます」
焦らず。それでいて立ち止まらず。神野は「Amazing grace」をアンコールに披露し、全24曲を熱唱。最後まで元気いっぱいのステージで客席を楽しませた。