金田たつえ

金田たつえが「おんなの三叉路」で道ならぬ恋を歌う

民謡歌手としてデビューし、「花街(はなまち)の母」(1973年)で演歌歌手へ。地道に歌い続けた同曲が全国的なヒットとなり、実力派の仲間入りをした金田たつえ。以来、歌い続けて半世紀。毎年、着実に新曲をリリースしており、根強いファンに支えられている。そんな金田の新曲が「おんなの三叉路」だ。通算112枚目のシングルとなる。カップリングには「春蝉(はるぜみ)の宿」。いずれも、道ならぬ恋を描いた作品である。

――近年は1年に2作品を発表されています。今回の作品は、「おんなの三叉路」という趣あるタイトルが印象的です。

金田 昨年は、メッセージ性の強い「ああ帰りたい~望郷峠~」と、夫婦歌の「女房です」をリリースしていますが、少し方向性の違う曲をと思っていました。その結果、今回は恋愛に対して初々しさのある内容の曲として、「おんなの三叉路」になりました。

――どのような曲か、ご紹介ください。

金田 叶うことのない、道ならぬ恋としりつつ、踏みとどまるのを迷う女心。自分の気持ちを持て余しながら、少しの間、甘い恋へのときめきが心を揺らします。そんな女性の揺れ動く心情を、三拍子のワルツ調に乗せて歌う楽曲です。

――迷う女性の気持ちを表現しながらも、「おんなの三叉路」はメロディと相まって恋を楽しんでいるような明るさがあり、恋をすることの喜びも感じられます。

金田 恋をすれば悩みも果てしないというのが女心ですよね。でも、今はこのような世の中です。あまり深刻過ぎる曲よりも、リズムに乗って歌えるほうが気持ちもなごみ、歌いやすいのではないかと思いました。ただ、若い時は身の丈に合った内容になるわけですが、長く歌ってきた私なので、主人公のような新鮮な恋の歌はちょっと戸惑いますね。

――年輪を重ねたからこその悩みでしょうか。近年は、原文彦先生と三宅広一先生の作品を多く歌っていらっしゃいます。

金田 はい、今回もありがたくご縁をいただきました。ただ、レコーディングをしたのは昨年の7月で、コロナ騒ぎの真っただ中。これまでたくさんの曲をリリースしてきましたが、緊張感を強いられいろいろな点で不安が多く、もうちょっと落ち着いてレコーディングできたらよかったかなと振り返って思います。

――カップリング曲は「春蝉(はるぜみ)の宿」です。季節外れに鳴く小さな蝉に思いを重ね、覚悟を感じるメロディです。

金田 こちらも道ならぬ恋に身を投じてしまった女性の心境を反映させた、骨太の演歌楽曲になっています。

――「おんなの三叉路」「春蝉の宿」ともに、カラオケで歌う際のアドバイスをお願いします。

金田 「おんなの三叉路」は、先ほども言ったようにワルツ調のリズムのある楽曲です。そのリズムにうまく乗ることと、サビは音程に気をつけてください。また、全体的に力を入れ過ぎないのもポイントでしょうか。「春蝉」も、重たくならないように仕上げたいですね。サビの高いところを過ぎ、「泣け泣け~命」の“なけなけ”を少し突っ込み気味にして歌うと変化が出ると思います。三連の曲なので、「泣け泣け~思い」「泣け泣け~未練」の部分も同様ですね。

――コロナ禍で自粛生活が続きますが、近況をお聞かせください。

金田 皆さんがされておられるマスク、うがい、手洗い等はもちろん、よりバランスを考えて食事をすること。そして、夜更かしはしないなど、日ごろの生活で心掛けていることを変わりなくやりながら過ごしています。

――演歌歌手として、まもなく50周年を迎えます。今後の抱負、またファンの方へのメッセージなどお願いします。

金田 本来は歌うことが何よりの健康法。でも、今は皆様の前に立つのがなかなか難しい状況なので、笑顔で元気よく歌える日を心待ちにしながら頑張りたいと思います。歌うことは、体にも心にもよく効く元気の素です。皆さんも“おうちカラオケ”で、今のうちに力を蓄えておいてくださいね!

まとめ=藤井利香

 

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2021年4月21日発売
金田たつえ「おんなの三叉路」
金田たつえ「おんなの三叉路」

「おんなの三叉路」
作詞/原文彦 作曲/三宅広一 編曲/南郷達也
「春蝉(はるぜみ)の宿」
作詞/多野亮 作曲/花笠薫 編曲/南郷達也
日本コロムビア COCA-17866 ¥1,350(税込)

Profile
金田たつえ(かねだ・たつえ)
4月12日、北海道生まれ。1961年、日本民謡協会全国大会で「江差追分」を歌い優勝。1969年に「江州音頭」「河内音頭」を発売し、民謡歌手としてデビュー。1973年に演歌歌手として「花街(はなまち)の母」をリリース。発売当初は大阪地区限定の自主発売だったが、歌詞が自身の人生と重なることから「この曲は必ず世に出したい」と地道に歌い続ける。その努力が実り、1978年には200万枚を超す大ヒットへ。1979年には「第30回NHK紅白歌合戦」に初出場。多くの賞を受賞し、テレビドラマ化、映画化もされた。2013年には歌手生活45周年を記念したCD8枚組・全133曲が収録された『プレミアムBOX』を発売。民謡、演歌、音頭、浪曲と、すべてをこなす実力派。

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