西方裕之が人生の恩人、星野哲郎氏に墓前報告「必ずヒットで恩返ししたい」

西方裕之が9月30日、山口県・周防大島を訪れ、人生の恩人と仰ぐ星野哲郎氏の墓前に新曲のヒットとさらなる活躍を誓った。

今年5月にリリースした新曲「出世灘」は、西方のデビュー曲の候補として星野氏から「西方くんが出世するように『出世』という言葉を入れて作ったんだよ」という励ましとともに贈られた7つもの作品のうちのひとつ。いつかこの作品を世に出したいと30年以上温めていたが、偶然にも星野氏の没後10年という節目の今年、CD化が実現した。

「デビュー前から星野先生が作詞されている作品を見つけたら必ず購入していた」というほど敬愛していた西方は、1987年に作詞・星野氏、作曲・徳久広司氏による「北海酔虎伝」でデビューを果たした。「北海酔虎伝」以来となる勢いのある海をテーマにした豪快な「出世灘」は、発売以降各種チャートでも好調をキープしており、西方は、デビュー時からの感謝と敬意を込めて墓前に手を合わせた。

「星野先生はデビュー当時から温かい目で見守ってくださった。その当時すでに大物作詞家であった星野先生が、まったく無名の新人だった僕に7つもの詞を準備してくれていた時は震えました。そして、その後発売した『西方裕之 星野哲郎を唄う』(2011年)では、現在では大変貴重な星野先生の肉声によるナレーションまで入れてくださり、僕の宝物になっています。もっと早くお参りしたかったが、なかなか機会がなく、念願叶って墓前に来ることができて感慨深いです」

星野氏の墓は、故郷である瀬戸内海に浮かぶ『瀬戸内のハワイ』と称される風光明媚な山口県・周防大島にあり、名誉町民でもある星野氏の墓前には地元の方により常に供花が絶えない。
西方は、これまでに3度この地を訪れたことがあり、今回が4回目となった。

「星野先生の功績の大きさやお人柄、地元でいかに愛されている存在かを肌で感じることができました。また、先生の偉大さを改めて感じ、この歌を歌う責任を感じます。今もし先生と話しができるなら、どんな話をしたいか……。『少しは器用に生きられていますか?』ですかね。歌を直接届けるのが難しい状況が続いていますが、ひとりでも多くの方に先生のすばらしい作品を届け、必ずヒットで恩返ししたいと思います」

今は亡き人生の恩人の墓前にCDを供え、決意を新たにした。

 

10月11日には、西方の出身地である佐賀県唐津市から放送予定のNHK総合『NHK のど自慢』に出演し、「出世灘」を歌唱する予定。天国の星野氏へ感謝の歌声を届ける。

 


2020年5月13日発売
西方裕之「出世灘」

「出世灘」  
作詞/星野哲郎 作曲/徳久広司 編曲/野村 豊  
c/w「有明の宿」  
作詞/星野哲郎 作曲/徳久広司 編曲/野村 豊  
キングレコード KICM-30973 ¥1,273+税

ある時西方が楽屋でこの曲をギターで弾き語っていたところ、ディレクターの耳に入ったことがきっかけで今回のCD化が決まったという。女唄の印象のある西方が、デビュー曲の「北海酔虎伝」以来挑戦した海もので、「原点回帰の気持ち」と語る一曲。トランペットの音色が素敵に響き、スケール感あるメロディーはCD化にあたり新たに徳久広司氏がつけ直した。

 


2011年3月23日発売
西方裕之「星野哲郎を唄う」

「星野哲郎を唄う 星野哲郎ナレーション入り」(全13曲)  
キングレコード KICX-798 ¥2,667+税

1988年の西方のアルバム「流れる〜星野哲郎を唄う〜」を、2011年に星野氏の追悼盤として発売した。現在では大変貴重な星野哲郎氏の肉声で、仕事、友人、親、故郷、妻への想い、人生訓など実にさまざまな事柄についてのナレーションが入っており、星野氏の人間性を垣間見ることができる稀有な作品。

「僕は自分のことを器用じゃないと思う。だが、器用じゃなく生まれたということはとても良いことだと思う。不器用な奴が努力していくうちに人間としての味が出てくる。だから不器用に生まれたことを感謝しなければいけないと思います」
(西方裕之「星野哲郎を唄う」『流れる』ナレーションより)

「男の生き様が描かれた『流れる』のナレーションは、僕に向けて仰っていただいた気がする言葉です。自分も人生を振り返ると器用とは言えない人生、また歌手の道でした。『不器用に感謝しなければいけない』という先生の言葉が自分の人生の励みになってきました。他にもデビュー当時から気にかけていただき、たくさんの励ましやお言葉をいただきましたが、やっと本当の意味で、その数々のお言葉の意味を噛みしめることができるようになった気がします」(西方)

 


INFORMATION

YouTubeの「西方裕之ちゃんねる」では、5月17日に生配信した 新曲「出世灘」発売記念 ちょこっとカラオケ講座 の模様や、これまでの楽曲のプロモーションビデオなどを視聴することができる。

星野哲郎記念館HP

山口県・周防大島にある、日本を代表する作詞家・星野哲郎氏の作品・資料等を展示している記念館。館内は5つのゾーンで構成されており、見る、聴く、歌うで、星野ワールドを全身で体感できる。星野哲郎氏はハヤリウタを「紙の舟」になぞらえたが、三角形の建屋はその「紙の舟」を象徴的に表しており、この美しい記念館は2010年度日本建築家協会優秀建築100選に選出された。

星野哲郎記念館にて。