入山アキ子「感謝のつどい2020」で感涙……そして笑顔で再会を誓う
入山アキ子が12月19日、埼玉県・川越プリンスホテルで「ありがとう♡入山アキ子感謝のつどい2020」を行い、コロナ禍で駆けつけた多くのファンへ心からの感謝の歌声をプレゼントした。
闇夜に赤々燃えている
炎に狂ったひとひらの蝶
退くに退けない女がひとり
冷たい視線に笑う蝶
どうせどん底 怒りにまかせ
どうせどん底 舞うしかないさ
熱い風に踊らされても
高く高く あぁ… 舞い上げれ」
(「月に笑う蝶」より)
ミステリアスなナレーションを受け、ステージに大きく映し出された月を背に、艶やかな薄紫の着物で入山はステージへ現れた。
前を向き歌い出した1曲目の最新曲「月に笑う蝶」の声が震えている。そして、ようやく最後まで歌い切り、入山は客席へ向かいこう告げた。
「まぁ皆さん、どうして私を泣かせるんですか……感激しました」
出席していた全員が青いペンライトを振り、会場いっぱいに美しい青い光の華を咲かせて、登場した入山をサプライズで迎えたのだった。
「今日は皆さんの特別な時間をお借りするので、心を込めてできる限りのおもてなしをしようと準備を進めてまいりました。毎日ニュースを観ながら思い悩み、それでも一歩踏み出すことが大切と自分の心を奮い立たせて、やってみようと。今日の日を迎えられただけでもうれしいのに……。本当に皆様、今日はありがとうございます」
そう挨拶すると、「この一曲があったから今日の日がある。そのような出合いの一曲があります」と、自身の転機となった「紀淡海峡」(2014年)、激しい波の音に導かれるように始まる「ザンザ岬」(2008年)を威勢よく歌い継いだ。
看護師(防衛省技官)から歌手へ転身した経歴を持つ入山。「歌も看護も心から」をモットーに真心を込めた歌を歌い続けてきた。
今年、世界中を襲った新型コロナウイルスの猛威の中、経験を生かしてさまざまな工夫を凝らしファンに寄り添ってきたが、今年4月、看護師協会から医療の現場へ復帰のオファーがあったという。その同じタイミングで、新曲制作の話も出ていた。
「いろいろ考えました。戻ったら歌の道を一旦やめて専念しなければいけない。その時に新曲のお話がありました。私はこの歌の道で、歌の力を借りて全国の皆さんを元気にするんだ。その思いでこの道に来たのです。だから、この道を進むしかない。『月に笑う蝶』の歌詞の通り、”進むしかない女がひとり”です」
ファンからの熱い拍手を受け、少し緊張した面持ちからいつものような美しい笑顔を見せた入山。続いて披露したのは、村田英雄の「無法松の一生」。ファンからリクエストの声も多いという男唄の名曲に挑戦した。
この日は客席に、新曲「月に笑う蝶」の作詞家・緑子氏、そして「月に笑う蝶」だけではなく、入山の「悪女シリーズ」三部作なども作曲を手がけた大谷明裕氏も応援に駆けつけていた。
ここで、入山の呼びかけで大谷氏がギターを抱えて颯爽とステージへ。大谷氏のギターに乗せて「月に笑う蝶」、そして白シャツにデニムというラフな衣装で、入山が作詞に初挑戦した思い出の曲「秋はあなたと共に」を大谷氏とデュエットした。
▲「ここで時間をいただきまして、今日の入山アキ子さんの思いを代弁してくれとのことで、皆さんに感謝を示す歌を歌いたいと思います」。自身作曲の「ありがとう…感謝」をいぶし銀の歌声で披露した大谷氏。会場中の女性ファンの心を一瞬で奪った。
換気休憩を挟み、ここからは入山の真骨頂。聖女のイメージから脱却、新たな魅力を解き放った”悪女シリーズ”第1作の「悪女の季節」(2018年)を妖艶な赤と黒のドレスでドラマチックに、次いで清楚な純白のドレス姿で恩師である鈴木淳氏・悠木圭子氏のコンビによる10周年記念曲「知床岬」(2017年)、さらに「女のブルース」「for you…」と名曲のカバーを円熟した歌声で聴かせた。
「私がいちばんいただいたプレゼントは人のご縁です。お金は後からついてくる。人が財産。これが私のいちばんの幸せのもとです。今日お越しいただいている皆様も私の財産、宝です。それともうひとつ。いただいた楽曲がすべて素晴らしい。どの楽曲をとっても、どなたの歌にも負けない作品だとそれだけは自負して歩いています」
多くのファンやスタッフに囲まれ、支えられていることへの感謝。そして入山とともに歌手人生を歩んできた数々の作品たちへの愛。
「今日は皆様、誠にありがとうございました。今日久しぶりにお会いできた皆様も多くいらっしゃいます。やはり人と人が会うということは、特別な意味があると思っています。感染対策を十分にやりながらであっても、この季節はどの感染症も流行りやすい時季です。今、医療従事者の皆様は一生懸命闘ってくださっています。私も歌うことで皆様に元気になっていただいて、看護師の経験がある私だからこそできることを続けていこうと思います。最後は作詞二度目の挑戦となった『笑顔の花が咲くように』。次にお会いする時まで元気で、笑顔でいてくださいね!」
一語一語を噛みしめるように語り、ひときわ美しい笑顔で幕を閉じた。
▲終演後、新曲「月に笑う蝶」の作詞家・緑子氏、作曲家・大谷氏と記念のスリーショット撮影。オープニングのミステリアスなナレーションは詞を手がけた緑子氏によるものだった。