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北岡ひろし

【インタビュー】北岡ひろしが描く“千年の愛”。続編「祇園白川宵桜」で明かされる、京都・恋物語の新たなる章

唯一無二の“女形歌手”北岡ひろしの新曲「祇園白川宵桜」は、2021年にリリースされ、ファンを魅了した「伏見十石舟」の続編となる。今作では、あの“ふたり”の恋物語が新たなる章を迎える。古都・京都を舞台に繰り広げられる壮大な愛の世界を、北岡はどのように表現したのか。デビュー41年目を迎えた今の想いと共に、新曲の魅力に迫る。

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 「伏見十石舟」と「祇園白川宵桜」の2つの物語

前々作「伏見十石舟」では、酒蔵の白壁が美しい伏見の濠川(ほりかわ)をゆく十石舟で偶然乗り合わせた男女の、運命的な出会いが描かれた。「千年の昔に逢ったよな」と互いに魂のつながりを感じながらも、その先のふたりの行方、恋の行方がどうなるか、聴き手の想像を掻き立てる問いかけで幕を閉じた。それは壮大な恋物語の序章だったのである。

 ――まずは、「祇園白川宵桜」が誕生した経緯からお聞かせいただけますか?

北岡 今作は、「伏見十石舟」という歌の続編なんです。夏を迎える少し前でしたが、プロデューサーから、「『伏見十石舟』で出会った男女が、その後どうなったのかを描く続きものを作ったら面白いんじゃないか」とご提案いただいたのがきっかけでした。そこで作詞を「伏見十石舟」と同じ本橋夏蘭先生にお願いすることになりました。

――今作「祇園白川宵桜」の冒頭には「約束した日がよみがえる」という一節があり、あの時のふたりが再会を固く誓い合っていたことが明かされます。

北岡 そうなんです。この物語のつながりを最初に伺った時は、とても面白いなと思いました。

――「伏見十石舟」で出会ってから、この「祇園白川宵桜」で再会するまでの間、あのふたりはどれくらいの時を、どんな想いで過ごしていたのか、という背景を想像させる始まり。「おおきにようこそ」「お似合いですね お着物が」といった少し他人行儀な会話から始まるのが、再会の緊張感とときめきを感じさせます。

北岡 「伏見十石舟」がふたりの掛け合いで始まる歌だったので、続編となる今作も同じ掛け合いで始めてくださったのだと思いますが、とてもよかったと思います。じつは「伏見十石舟」をリリースさせていただいた時はまだコロナ禍の影響があり、キャンペーン活動もあまりできませんでした。ですので、2つの物語を併せて歌っていけるといいなと思っているんですよ。

「最初の印象はよくなかったんです(苦笑)」

――作曲はあかぎ怜先生です。北岡さんとは初めての組み合わせですよね。

北岡 はい。あかぎ先生は作詞もなさるので、作詞家の先生としてご紹介いただいたことが以前にありましたが、作曲作品をいただくのは今回が初めてでした。じつは今作のメロディは、大変恐縮なのですが、コンペをさせていただいたんです。

――王道のマイナー調でありながら、どこか温かく、ふたりの未来を照らすかのような希望の光を感じさせてくれます。

北岡 ええ。でも、最初にあかぎ先生からデモテープをいただいた時は、正直なところ、私自身の印象はあまりよくなかったんです(苦笑)。ピアノを弾きながら歌ってくださっていたんですが、私のキーに合わせて歌ってくださっていたのでピンと来ませんでした。ところが自分自身で歌ってみると、すごくメロディがキャッチー。特にサビの“祇園白川〜♪”と上から下がってくるメロディラインは、今までになかった新鮮さがありました。ディレクターをはじめ、皆さんの意見も一致して「これ、面白いよね」となり、あかぎ先生の作品を歌わせていただくことになりました。

――女形として、どのように歌おうと、表現しようと思われましたか?

北岡 あまり臭くならないように、いらないところにバイブレーションをつけたり、こぶしを回したりしないように、ということは心掛けました。語り部のような感覚で、ふたりの物語を丁寧にお伝えするような気持ちで歌いましたね。

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痛快な歌謡ロックの「車屋佐助」

約束を果たして再会したふたりが、より深い大人の愛の世界へと導かれていく様が描かれた映画のような「祇園白川宵桜」。アレンジでは琴や笛の音色が京都の風情を醸し出し、ストリングスがドラマを壮大に盛り上げてくれる。そして、女形・北岡ひろしが演じて歌うことで完成形となる。北岡だからこそ生まれる雅な世界が楽しめる一曲だ。

さて、そんな「祇園白川宵桜」のカップリングには、景気の良いリズムが鳴り響く「車屋佐助」が収録される。おっちょこちょいだが憎めない車屋・佐助が主人公の、痛快な人情喜劇。北岡は我々を江戸の町へと連れて行ってくれる。

――カップリングの「車屋佐助」は、表題曲とはガラリと変わって、痛快な歌謡ロックですね。

北岡 こちらも作曲はコンペで決まった曲です。作曲してくださった田光マコトさんは、歌謡ロックバンド「ザ・パーマネンツ」のボーカル&ギタリストで、私のコンサートではバックバンドとして演奏を支えてくださっている仲間なんです。美空ひばりさんの「車屋さん」をモチーフに、現代的なロックサウンドを取り入れた面白い一曲になりました。

――レコーディングは楽しかったですか?

北岡 それが・・・。江戸の粋な車引きの模様を歌っていますが、ディレクターに「北岡さん、真面目すぎるんだよ」と言われて(笑)。「もっとふざけて。大阪の吉本みたいに歌ってちょうだい」と。根が真面目なものですから、「急にそんなこと言われたって」と思ったんですが、なんとか歌いました。レコーディングでは「祇園白川宵桜」より、こちらのほうが苦労したかもしれません。

スーパースター 矢沢永吉に刺激されて

――デビュー41年目がこの作品からスタートするわけですが、唯一無二の女形として歌い続けるために何か特別なことはされていますか?

北岡 じつは5年ほど前から、週に1回パーソナルトレーニングに通っています。気は若いつもりでも、体は年々正直になってきますから(笑)。踊っていると足腰が資本になりますし、体力維持のためですね。アーティストとして尊敬している矢沢永吉さんのドキュメンタリーを拝見した時、楽屋でチューブトレーニングをされている姿を見て、「だからこそ、70歳を過ぎてもあれだけパフフルで、あれだけの人を魅了できるんだな。スーパースターがこれだけやっているんだから、自分もやらなくては」と改めて思ったこともきっかけです。

――長く続けることの秘訣は何だと思われますか?

北岡 自分の気持ちを休ませてあげること、でしょうか。ずっと気を張っていたら40年も続けられません。頑張るところと、息を抜くところ、その緩急が大事なのだと思います。先輩のこまどり姉妹さんからも「人生でいい時は必ず2回ぐらい来るもの。その時のために、病気をしないで、続けられる健康状態でいることが大事よ」と教えていただきました。70年近く活躍されている先輩の姿を拝見させていただくと、40年なんてまだまだだなと思います。

――これからも女形として歌い続けられますか?

北岡 女形として舞台に立つ以上、綺麗でいなければならないと思っています。もし自分が汚くなったら、その時はやめようという覚悟は常に持っています。そして、シャンソンも好きなので、いつかシャンソニエのような場所で、歌手・北岡ひろしとして歌ってみたい、という気持ちもあります。でも、せっかく女形を続けてきたので、何かを残したいという思いが強いですね。ありがたいことに声はまだ出ます。これからもトレーニングを続けながら、女形としての芸道を歩んでいきたいですね。

今作「祇園白川宵桜」では、京都を舞台にした千年の愛を艶やかに歌い上げ、カップリングでは粋でいなせな男を演じ分ける。41年目のキャリアにしてなお、北岡ひろしは我々に新しい顔を見せてくれる。

そして、このシングルにはもう一曲、彼の魂を揺さぶった特別な歌がボーナストラックとして収録されている。それは、亡き母への想いを綴った少女の詩から生まれた「宿題」。この歌に込められた物語を知れば、彼の表現者としての深みに、さらに心を打たれるに違いない。進化を止めない北岡ひろしの「今」が詰まったこの一枚を、ぜひ手に取ってほしい。

 


2025年11月5日発売
北岡ひろし「祇園白川宵桜」
祇園白川宵桜

「祇園白川宵桜」
作詞/本橋夏蘭 作曲/あかぎ怜 編曲/竹内弘一
c/w「車屋佐助」
作詞/本橋夏蘭 作曲/田光マコト 編曲/竹内弘一
〈ボーナストラック〉
「宿題」
作詞/中村良子 作曲/関島秀樹
演奏 ピアノ/永田雅代 ギター/田光マコト バイオリン/大岩沙彩
徳間ジャパンコミュニケーションズ  TKCA-91665 ¥1,500(税込)

2023年に40周年を迎え、数々の実績を積み重ねてきた、唯一無二の“女形歌手”北岡ひろし。表題曲「祇園白川宵桜」は、2021年に発売した「伏見十石舟」の、その後の“ふたり”が描かれる。京都の美しい景色の中に、和の世界が重なる新しい恋物語の一曲だ。ジャケットの題字は、書道8段の実力を持つ大沢桃子によるもの。「私のラジオ番組(FM845『北岡ひろしのひとひら重ねて』毎週火曜日12時~放送)にゲストとして来てくださった時に、『桃子ちゃんの字、いつも素敵だよね。今度私、新曲出るんだけど書いてくれない?』ってお願いしたら、『ええ!? いいんですか。私書きたい!』なんて言ってくださって。題字を見させていただいた時には、曲にぴったりでした。素敵ですよね」(北岡)。

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