水田かおりの艶っぽさはそのままに~「昭和も遠くになりました」で新たな魅力を~
艶のある伸びやかな歌声で女心を聴かせる王道演歌に根強いファンが多く、日本全国を回り、生歌を届ける活動が水田かおりならではの魅力となっている。2022年にはデビュー30周年を迎え、記念曲「紅・もみじ坂」をリリースし、王道演歌一筋のファンをさらに魅了した。
あれから約1年。今度の新曲「昭和も遠くになりました」は、昭和の香り漂う歌謡曲となった。和服姿が定番だったジャケット写真には洋装の彼女が写っており、水田が新たな扉を開いたことが一目瞭然となっている。
文=小西康隆
昭和の懐かしい雰囲気が香る歌謡曲
――新曲「昭和も遠くになりました」は、これまでとはガラリと変わった歌謡曲作品となりました。
水田 担当ディレクターと今度の新曲について相談したときに、ずっと演歌作品が続いていたので「久しぶりに歌謡曲を歌ってみよう」という話になったんです。でも、タイトルに「昭和」という元号がついたことにびっくりしました。作詞のかず(翼)先生には「歌謡曲タッチの詩をお願いします」とだけお伝えしていましたが、表題曲とカップリング曲「たそがれの駅」の2曲ともが昭和歌謡の雰囲気をもった歌詞でした。
――遠い昔に別れた男性を思い、ふと、あのころに戻れたらと願う女性の一途さが歌われていますが、作品が上がってきたときの印象はいかがでしたか?
水田 昭和歌謡タッチの歌詞にマッチしたメロディーを徳久広司先生がつくってくださいました。とても新鮮なメロディーラインです。徳久先生は私の「東京砂漠に咲いた花」(2007年発売のアルバム『水田かおり全曲集~おんなの岬~』に収録。人気曲となり2011年にニューボーカルでシングルカット)という作品をとても気に入ってくださっていて、ディレクターも「できればそういう感じの曲を」とお願いしてくださったようです。楽器はストリングス中心のアレンジで、昭和の懐かしい雰囲気が感じられる素敵な楽曲になりました。
王道演歌から一転。「新生・水田かおり」へ
――水田さんといえば、王道演歌のイメージもありますが。
水田 そうですね。やっぱり演歌ですね。もう長年、演歌しか歌ってきませんでしたから。今回は歌い方も演歌演歌せず、歌謡曲の良さを引き出さなくてはならなかったので、そこは徳久先生からも指導いただきました。
――レコーディングはスムーズでしたか?
水田 どちらかといえばスムーズだったと思います。ただ、王道の演歌ばかり歌ってきたので、どうしても音をつなげて歌いたくなります。徳久先生からは隙間をつくって歌うように、あえて切るようにとアドバイスをいただきました。“切る”というのは、言葉を大切に一つ一つ置いて歌っていくということですが、そこが少し大変でした。
――カラオケで歌うときの参考になります。
水田 私も今回はそうなんですけれど、そんなに張り上げて歌っていません。言葉を置くような感じで、語るように歌っていただければと思います。
――「昭和も遠くになりました」は歌謡曲タッチの作品となりましたが、水田さんの伸びやかな歌声は健在。艶っぽさが光っています。
水田 ありがとうございます。ファンの皆さんには、新たな水田かおりを楽しんでいただける一曲になったと思います。ジャケット写真の洋服姿をはじめ、何から何まで今までのイメージとは違います。きっとジャケット写真だけを見たファンの方は「えっ!? 誰?」ってなるんじゃないでしょうか(笑)。そして、歌の方も「今までの水田かおりじゃないよ」って驚くでしょうね。
皆さんのもとへ生の歌を届けたい
――カップリング曲の「たそがれの駅」は、若かりし青春時代の恋愛模様を懐かしく回顧する女性の心情を描いたフォークタッチの作品ですね。
水田 昭和の青春歌謡だと思っていますが、この曲もすごく気に入っています。気持ちとしては両A面のつもりで歌っています。レコーディングのときも「たそがれの駅」は数回歌っただけでOKが出ましたので、力むことなく歌うことができました。
――もう一曲の「こころ花」は愛する人を一途に慕う女性の心情が歌われています。
水田 今回は2作品が歌謡曲タッチの作品となりましたので、もう1曲は王道の演歌作品を歌いました。私の作品をカラオケで歌ってくださっているファンの方も親しめるように。とても覚えやすい楽曲です。カラオケファンの方でしたら1、2度聴いたら歌えると思いますよ。
――今年の意気込みを聞かせてください。
水田 とにかく歩いてファンの皆さんに生の歌を届けたいですね。“水田かおり”はこれまでずっと全国行脚して、訪問キャンペーンを得意としてきました。でも、コロナ禍の3年間は思うような活動ができませんでした。デビュー30周年にはいろんなことをしたかったのですが、それもできなくて・・・。それだけが心残りでしたが、昨年秋ぐらいからは地方へおうかがいする機会も増えました。新曲キャンペーンではカラオケサークルやカラオケ店などを回りたいと思っています。
――ファンの方も待っていてくださるのでは?
水田 水田かおりが久しぶりに歌謡曲タッチの新曲を出すので、ファンの皆さんも驚かれると思います。古くからのファンの方々は、皆さん私の演歌作品に親しんでくださっているので、まったく違うテイストの作品を受け入れてくださるか、本当はものすごく心配ではあるんですが、新たな愛唱歌の一つに「昭和も遠くになりました」を加えて歌っていただきたいですね。また、水田かおりを知らなかったという方もきっとこの曲を気に入ってくださると思います。そのときはぜひ、水田かおりを応援していただけたらうれしいですね。
2024年1月31日発売
水田かおり「昭和も遠くになりました」
profile
水田かおり(みた・かおり)
10月4日、茨城県生まれ。1992年、テイチクレコードより「悲恋華」でデビュー。1998年8月に徳間ジャパンコミュニケーションズに移籍し、「霧笛の波止場をリリース。同年9月からカラオケサークル1000ケ所訪問キャンペーンを実施するなど全国を飛び回る。2022年10月、歌手デビュー30周年を迎え、記念シングル「紅・もみじ坂」を発売。趣味はパソコン、読書、料理。