黒木姉妹、華麗に再始動

デビュー10周年! 黒木姉妹が新曲「まかせんね」で素敵なハーモニーを届ける

お互いが自分の道を歩んでいた。姉はひとりの演歌歌手として、妹は女優として。だが、デビュー10年をきっかけに、姉妹は再び歌のステージでハーモニーを奏でる。2020年、美佳と千春の姉妹デュオ、黒木姉妹が華麗に再始動した。記念曲「まかせんね」をはつらつと爽やかに聴かせる。

妹の千春は悩んでいた。

2010年1月、姉の美佳と姉妹デュオを結成し黒木姉妹としてデビューしたが、2015年からは本格的に女優活動を再スタート。歌手活動から離れていた。黒木姉妹を解散したわけでも、歌手を引退したわけでもなかったが、姉妹は別々の道を歩んでいた。

千春の女優業が忙しくなる中、美佳はひとりで歌手活動を続け、2017年には「石の舟」でソロデビューしていた。

小さい頃からふたりは歌が大好きだった。そこで、母親が近くの民謡教室へ通わせたという。「家で歌っているとうるさいから、民謡教室へ行きなさい(笑)」(美佳)。

すっかり民謡にハマった姉妹は、熱を出して学校を休んでも、民謡教室へは通うほどだったが、いつしか千春は女優に憧れ、民謡大会で日本一になった美佳は歌手を目指すようになる。そんなふたりが、ひょんなきっかけから黒木姉妹として歌手デビューすることになるから、人生は不思議だ。

「デビューして9年目が終わる頃、また黒木姉妹としてふたりで歌うには、10周年の節目しかないな。今だったら自然な感じで戻れるんじゃないかと思って、妹を口説き始めました」

芝居と歌とはジャンルが違うが、その両方を吸収したほうが将来に役立つのではないかと、美佳は千春の歌手活動再開を願った。だが、答えはなかなか出なかった。

「3カ月ぐらいは答えを出せなかったですね。歌手に戻りたくないというわけではなかったんですが、女優としての仕事もあるので葛藤しました。でも、母の一押しもあり、10周年だし、戻るなら今しかないと思いました」

二兎を追うものは一兎をも得ず、というが、千春は今の時代、どちらも頑張るから活力につながると思った。「相当、お尻を叩きましたけどね(笑)」。美佳の粘り勝ちだった。

姉妹デュオとして、息の合ったハーモニーが魅力の黒木姉妹。写真右が姉の美佳、写真左が妹の千春。2010年に「泣かんとよ」でデビューし、今年デビュー10周年を迎える。

姉妹デュオとして、息の合ったハーモニーが魅力の黒木姉妹。写真右が姉の美佳、写真左が妹の千春。2010年に「泣かんとよ」でデビューし、今年デビュー10周年を迎える。

美佳と千春のふたりは、黒木姉妹として再始動するにあたり、どんな歌をファンに届けようか考えた。答えは原点に戻ることだった。九州・宮崎県出身のふたりのデビュー曲「泣かんとよ」は、九州を舞台に芯の強い女性を歌っていた。だから、九州女の生き方を歌いたかったのだ。

「縁の下の力持ちのような女性。九州にはそういう女性が結構多いと思うので、作詞の麻こよみ先生にお願いして、『まかせんね』という歌ができました。作曲は桧原さとし先生です。私たちは民謡が好きだったので、三味線や尺八が入ったアレンジに仕上がって、オケ録り(伴奏のみ収録)の時に、来たーッって」

10周年記念曲「まかせんね」では、デビュー曲の時のように振付けもつけたいと思っていたところ、テンポもよくて、振付けもつけやすい思い通りの作品に仕上がったと、美佳が振り返る。千春も「自分もこの歌詞の中の女性になってみたいなと思いました。こういう女性なら、私も結婚したいぐらいです」と、出来栄えにうれしそうだ。

 
一度、お互いが別の道に進んだことで、相手の存在の大切さに気づき、本当に仲が良くなった。ひょうきんものの千春に対して、サバサバした男っぽい性格の美佳だが、内面は千春のほうが男性っぽくて、美佳のほうが乙女なのだという。内も外も雰囲気が違うふたりは、以前は喧嘩ばかりしていたという。主に美佳からのダメ出しがきつく、千春の背中にはよく手形がついていた。

千春「本当なんですよ。姉が真剣に叩くから。スタッフの方も驚くぐらい」
美佳「忙しくさせていただいていたのもあって、疲れとイライラがあって、『歌詞、間違えなさんなよ』って手が出ちゃうんですよ」
千春「地方だとホテルの部屋も一緒なので、ステージのあとは、ああ、また、姉のダメ出しが始まるって」
美佳「でも、同じ部屋じゃないと嫌なんですよ。お化けが怖いんで(笑)」

以前にも増してお互いを理解し合えるようになり、黒木姉妹として再び歌手人生を踏み出すことが楽しそうだ。
「この10年の速さに驚いています。デビューした頃のことを鮮明に覚えていて、今も当時の気持ちを持っています。ですが、無事10年を迎えられたことは喜びです。同時に支えてくださった皆様への感謝の気持ちでいっぱいです」

さらに美佳は続ける。

「10年目を迎えて一皮剝けた、成長した黒木姉妹をお見せしたいと思っています。でも、元気が取り柄の黒木姉妹としてデビューしましたから、40歳になっても50歳になっても、元気を届ける歌い手ではあり続けたいですね」

対する千春は「お互いの得意分野をミックスさせたい」と、希望を見せる。

「それをうまく表現できたらいいですね。お客様といっしょに楽しむことができたら、黒木姉妹もどんどんレベルアップしていくと思います」

美佳と千春による姉妹デュオ「黒木姉妹」。10周年を迎えて再始動し、〝あんひとのためなら ヨイコラショ“と新曲「まかせんね」を爽やかに歌う。お互いを信頼する姉妹ならではハーモニーが素敵だ。


 

2020年6月17日発売
姉妹デュオが歌う「まかせんね」

徳間ジャパン TKCA-91279 ¥1,227+税
「まかせんね」
作詞/麻こよみ 作曲/桧原さとし 編曲/竹内弘一
c/w「べっぴんさん」
作詞/黒木美佳 作曲/桧原さとし 編曲/竹内弘一

表題曲のタイトル“まかせんね”は同じ宮崎県出身の黒木姉妹と担当ディレクターで考えたという。縁の下から愛する人を支える九州女の強さを歌っている。カップリング曲「べっぴんさん」は、姉の美佳が作詞に挑戦した。「10周年の記念に作詞に初挑戦させていただきましたが、何度もやり直しをさせられて。途中で後悔しましたが、“べっぴんさん”という言葉が出てきてからは、なんとかまとまりました」(美佳)。音頭調のかわいい楽曲となり、本当の“べっぴんさん”というのは心が美しく、笑顔が素敵な人だと知らされる。


 

profile

黒木姉妹(くろきしまい)
2010年1月27日、姉の黒木美佳と妹の千春のふたりによる姉妹デュオとして、「泣かんとよ」でデビュー。美佳の歌手デビューにあたり、「スターの席は少ない。ひとり席は今はいっぱいだが、ふたりの席は空いている」という事務所の意向で、急きょ、千春と黒木姉妹を結成した。2014年までに5枚のシングルと1枚のアルバム「ファーストアルバム~姉妹の夢歌つづり~」をリリースする。その後、美佳はソロとして、千春は女優として活動。2020年、デビュー10周年を迎え、再び黒木姉妹として再始動。

写真右:黒木美佳(くろき・みか)
1983年8月6日、宮崎県生まれ。4歳から日本舞踊、小学4年から民謡を習い、中学2年の時に民謡日本一に。高校卒業後、音楽業界からスカウトされ上京。2010年、黒木姉妹として歌手デビュー。2017年、「石の舟」でソロ活動。農林水産省「農業女子プロジェクトサポーターズ」に就任し、2019年、舞台「私、農業始めます!」を総合プロデュース。

写真左:黒木千春(くろき・ちはる)
1985年3月1日、宮崎県生まれ。3歳から日本舞踊、小学3年から民謡を習う。13歳から劇団に入り、芝居の基礎を学ぶ。高校卒業後、演劇を学びながら地元・宮崎でモデル業に携わる。2006年、「みやざき花の女王」(ミス宮崎)。その後、女優活動のため上京。2010年、黒木姉妹として歌手デビュー。2015年から女優活動を再スタート。舞台や映画にで活躍。