谷 龍介が節目を飾る「花芒(はなすすき)」でロングヒットを放つ!
Ryusuke Tani 15th Anniversary
谷 龍介が、昨年10月に発売した「良いことばかりじゃないけれど」に続いて、9月16日に、デビュー15周年記念シングル第2弾「花芒(はなすすき)」を発売する。
まっすぐ伸びやかな歌声で、女性の切ない恋心を情感豊かに表現している自信作だ。
バットをマイクに持ち替えて15年。最も得意とする王道演歌で、会心の一撃を打ちたいと意欲を燃やす。
これまでの人生経験を糧に、いつまでも変わらない自分らしさを
――昨年10月に発売されたデビュー15周年記念曲「良いことばかりじゃないけれど」に続き、新曲「花芒(はなすすき)」は記念曲の第2弾ということですが、どんな作品でしょうか?
谷 これからの季節にはピッタリの曲ですね。すごくメロディーが良くて、歌いやすくて。前作とは、非常に対照的な曲になりました。前作は、「がんばって前向きに生きていこう!」と、聴いてくれる人を勇気づける応援歌でした。そういった明るい曲も僕は大好きなんですけど、今回のような王道演歌もいいですよね。コブシを使ったり、繊細に歌ったりするので、本当に歌いがいがあります。
――「花芒」は、谷さんの代表曲である「馬籠宿」、「清滝川」と同じ、作詞は木下龍太郎氏、作曲は岡 千秋氏です。秋らしい曲調にぴったりの主人公のしっとりとした女心は、どのようにイメージされて歌われていますか?
谷 女性の心はわからないですけど、木下龍太郎先生の歌詞を読み込んで、その意味をじっくりと考えました。歌詞の中に折鶴が出てくるのですが、主人公の恋焦がれる最愛の男性は、もうこの世にはいないんじゃないか……と、僕は解釈しました。また、聴いてくださる皆さんそれぞれの感じられ方もあると思いますが、最愛の人を亡くした切ない女性の気持ちが、このタイトルにも込められているのではないかと思っています。
――「ススキ」という漢字は、たいてい草冠に「薄」と書かれることが多いですよね。
谷 それなのに木下先生は、草冠に「亡」と書かれた。そこに先生の思いがあるような気がして……。いろいろ調べてみたら「薄」と書くのは群生しているススキで、「芒」は切なく1本だけ生えているススキの姿のようです。ポツリと寂しいじゃないですか。その様子を、女性の哀しい心情に重ねたのが、「花芒」じゃないかと思います。
――一方、カップリングの「残りの雪」は、川端康成の小説「雪国」の駒子がモデルだそうですね。惹かれ合いながらも、結ばれる未来は訪れないことをわかっている。けれど、諦めきれない激しい恋心を歌われています。
谷 「雪国」に出てくる駒子に見立てて、主人公の女性を悲劇のヒロインのように表しています。主人公は強烈な女性で、決してきれいなだけの恋ではないので、歌い方に少しトゲトゲしい感じを出しながら歌いました。「どうして私の気持ちをわかってくれないの?」という強い思いですね。カップリングと言えどもメロディーが良くて、「いいの…私は 小説(ほん)に出てくる雪国の 駒子の役でいいのです」というフレーズもすごく気に入っています。
――プロ野球選手になるという夢をケガで断念されましたが、歌手デビューという新たな夢を叶えられ15年が経ちました。振り返ってみて、いかがですか?
谷 デビュー前には4年間、所属している同じ事務所の三船和子さんの付き人の経験がありますが、ケガをして野球でプロになれなくて、次の夢として大好きな歌に懸けてみようと思ったものの、いつも生活そのものに対する不安がありました。ですが、これまでの日々のあらゆる経験が、今ではすごく自分の役に立っているなと思います。デビューしたての頃は、ちょっとだけの狭い視野しか持てなくてたくさん試行錯誤をしましたが、15年も経つと、世の中が結構広く見えてきたなあと思えることがあるんです。広島の呉で生まれ育って、東京に出てきたばかりの頃は何もわからなくて、「おまえは東京の水が合わないなあ」なんて言われたこともあります。「東京の水が合わないってことは、東京の水を飲んじゃいけないんですか?」と答えて、「バカだなあ、もう呉に帰れ」って笑われたりね(笑)。
――歌手になられてからも、挫折感を味わったことはありますか?
谷 気持ちが折れるというよりは、やはり生活がどんどん忙しくなっていくのがつらかったですね。僕は人前で明るくしなきゃいけないって思うタイプで、「今日はテンションが低いけど、上げていかなくちゃ」って勝手に脳が働くんです。そうすると「悩みがないだろう、おまえは」ってよく言われるんですが、もちろん人並みに悩みはあります(笑)。それでも、やっぱり野球で鍛えられた精神は、少々のことではへこたれません。アマチュアの頃は、「ああ、緊張しちゃったな」とか、悔いを残して終わることが多かったですが、今は仕事になるとスイッチが入る。ステージでは、いつも100%の自分を出せていると思います。
――ひと口に15年と言いますがどんな人でもやっぱり紆余曲折ありますし、長いですよね。それでも続けてこられたことがすごいと思います。最後に、新曲に懸ける思いと、少し先ではありますが次の節目となる20周年へ向けての抱負を聞かせてください。
谷 まさかこんな状況(新型コロナウィルス感染予防のための自粛)が続くとは思っても見ませんでした。ステージに立って、ファンの皆さんに今は生歌を聴いていただけなくて残念です。でも逆に考えたら、「15周年の頃はこうだったな」と、一生の思い出に残るんじゃないかと思いますよね。僕はこれからも今のままで、いつまでも変わらない自分でいたいです。階段を一段ずつあがるように、人間としても歌手としても成長して、より応援していただけるようがんばります。「花芒」はとても良い曲なので、これから時間をかけてじわりじわりと浸透させていきたいと思っています。この歌で、ロングヒットを飛ばしたいです! ぜひ聴いて、そして歌ってください。
(取材・文=夏見幸恵)
2020年9月16日発売
15周年の節目を飾る
谷 龍介「花芒(はなすすき)」
デビュー15周年を飾る記念シングル第2弾。作家陣は「馬籠宿」、「清滝川」と同じ木下龍太郎(作詞)、岡千秋(作曲)で、谷が最も特意とする王道演歌。表題曲「花芒」は、恋焦がれる人と心がすれ違い、思いが届かなくなってしまった女の寂しさを歌った作品。カップリングの「残りの雪」は、川端康成の長編小説「雪国」の駒子をモチーフに、激しく切ない恋心をドラマチックに歌い上げている。「CD発売イベントやキャンペーンが出来ず、新曲を生で歌う機会が望めない昨今ですが、これからの季節にピッタリの一曲なのでぜひ聴いてください」(谷)
Profile
谷 龍介(たに・りゅうすけ)
1975年4月14日、広島県生まれ。小学2年生から野球を始め、地元広島カープの入団テストで最終選考まで残ったが、左肩を壊した後遺症のためプロ野球の道を断念。上京して2001年より三船和子音楽事務所に所属。三船の付き人修行から歌手を目指し、2005年9月「女の子守唄」で念願のデビューを果たす。スポーツマンらしい男っぽさ、さわやかな歌声と甘いマスクでファンを魅了。故郷の広島をこよなく愛し、「8.6 慰霊チャリティコンサート」(デビュー以来毎年開催)、「西日本豪雨復興支援チャリティコンサート」等、チャリティ活動を精力的に行っている。2014年5月「くれ観光特使」に任命された。