千葉げん太

「生涯現役」千葉げん太が聴かせる男の生き様〜新曲「一匹狼」〜

昭和・平成・令和……と、45年もの間ひたむに歌手人生を歩み続けてきた千葉げん太。昨年、ともに作品を作り続けてきた盟友である作詞家・千葉幸雄氏が他界。悲しみにくれる千葉の手元に遺されていた詞は、まさに歌手・千葉げん太の生き様を描いた作品「一匹狼」だった。

 

数々の出会いに支えられ……45年の歌手人生、歌へ思い

 

昨年45周年を迎えられました。これまでの歌手人生を振り返られて今どんなお気持ちですか。

千葉 僕自身はあまりこだわりはないんですけれど、思い返してみれば45年もよくやってきたなと思います。19歳でこの世界に入って、関敬六先生、渥美清先生の付き人を5年して夢だった歌手としてデビューできたわけですが、当時は歌手になることは厳しい時代でした。やっとつかんだデビューでしたのでおいそれとは身を引きたくはないし、そして何よりやっぱり歌が好きでしたから続けられたんでしょうね。

歌が好きだというお気持ちを45年間変わることなく持ち続けてこられて、歌手を辞めようと思われたことはなかったんですか。

千葉 それはあります。色々あって、25年前にもう辞めようと家内と話し合ってね。52歳だったかな。その時、実家のおふくろには内緒で身を引こうと思っていたんです。ただ、おふくろにありがとうという気持ちも込めて、これが最後との思いで自分で作曲した「望郷わらべ歌」がちょっと話題になりまして。それで会社の人たちが「辞めないで一緒に頑張っていこうよ」と言ってくれました。本当にいろんな出会いがあって、その出会えた方たちのおかげで、皆さんに支えていただいてなんとか45周年を迎えさせてもらったんだなと思っています。本当に感謝しかないです。感謝しか・・・。

その感謝の思いを歌に込めて皆さんにお返ししているという千葉さん。新曲「一匹狼」はどのような作品でしょうか。

千葉 昨年亡くなられた千葉幸雄先生に、実は2年前の2018年に私からお願いして書いていただいた作品なんです。「振り返りますとまもなく45周年なんですけれど、私は一匹狼で生きてきたように感じます。そんな感じの詞をお願いできませんでしょうか」と。

ということは、この曲のモデルは千葉さんご自身ということでしょうか。

千葉 だと思います。まったくそのまま僕のことということはないですが、千葉先生はこれまでも僕をまず詞の主人公にして書いてくださる先生でした。

今の時代に生きられなくて
骨になってる 奴ばかり
こんな世だから 見せなきゃならぬ
男一途な生き様を
(「一匹狼」歌詞より)

千葉 コロナ禍になって、社会も私たちの生活環境も全く変わってしまいました。偶然なんですけれどもこの曲は今の時代とマッチする内容になっているんですね。この暗く沈んだ時期ですが、皆さんにも共感していただける作品だと思うので、僕もこの曲で必死に頑張っていこうと思っています。

 

千葉のこだわりが詰まった勝負曲「一匹狼」

 

イントロは狼の遠吠えで始まりますが、とてもインパクトがありますよね。

千葉 そうでしょう!初めはディレクターさんは「えっ?」っておっしゃったんです。でもここがこの曲のこだわりのひとつとしてお願いして入れていただきました。それも二度吠えなんですよ。

男らしい千葉さんにピッタリだと思います。その他にも千葉さんのこだわったポイントはありますか。

千葉 3つこだわりがありましてね。ひとつはイントロ。次が音楽はワイルドに、8ビートなんだけどもっとノリのいい16ビートの感覚でお願いします、と生意気にもお願いしました。それともうひとつは、最後のフレーズ「一匹狼さ」。私はそのフレーズをもう一度繰り返したかったので二回繰り返して歌っています。

カラオケで歌う際のワンポイントアドバイスを教えてください!

千葉 初めは軽く鼻歌で歌って、そして最後の「一匹狼さ」だけはグワーっと力強く歌ってみてください。僕自身もレコーディングの時にディレクターさんに「音楽がわりとガンガンいっているので、歌を抑えてくれないか」とアドバイスをいただきまして抑えて鼻歌で歌ったんです。そうしたらうるさくない、いい感じになりました。世間の状況も少しずつ光が見えてきた感じがありますが、ぜひカラオケでたくさん歌って欲しいですね。

最後に、これからに向かっての抱負や意気込み、ファンの皆さんへのメッセージをお聞かせください。

千葉 少しずつでも明るい兆しが見えてきたというのはうれしいですね。とにかく歌いたいです。歌えなかったですもんね、一年半。だから歌える喜びというのを日々感じています。経験したことのないコロナという未曾有の災害にあって本当に逼迫した世の中、皆さん本当に大変な思いをしてそれに耐えて今があると思うんですね。これからとにかく全国を歌で旅しながら全国の皆さんを励まして、そして逆に私も励ましていただいて頑張っていきたいと思います。皆さんの心に沁みる歌を、生涯現役で。どこまで続くかわかりませんけども、そういう気持ちでこれからも歌っていきたいですね。

 


2021年11月10日発売
千葉げん太「一匹狼」

「一匹狼」
作詞/千葉幸雄 作曲/宮迫はじめ 編曲/遠山敦
c/w「女の背中」
作詞/千葉幸雄 作曲/宮迫はじめ 編曲/遠山敦
日本クラウン CRCN-8438 ¥1,350(税込)

Profile
千葉げん太(ちば・げんた)
9月8日、宮城県栗原市生まれ。歌手を夢見て上京し、コメディアン・関敬六、俳優・渥美清の付き人を経て1974年、作曲家の島津伸男氏に師事。1976年、「トラック野郎」で念願の歌手デビューを果たす。芸名の「げん太」は、同郷出身の俳優・菅原文太にあやかりクラウンが命名した。2001年、初めてタッグを組んだ千葉幸雄氏の詞に千葉げん太が”宮迫はじめ”のペンネームで曲をつけた「望郷わらべ歌」がヒット。以来千葉氏とのコンビで作品を制作、発表してきたが、2020年4月千葉氏が逝去。昨年発売した45周年記念曲「男の覚悟」が遺作となった。力強い男唄を中心にいぶし銀冴えわたる“げん太節”でファンを魅了し続け、昨年歌手生活45周年を迎えた。