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二見颯一

“やまびこボイス”の二見颯一が初めてのファンミーティング。水森英夫師匠も「本格的な正統派の歌い手だ」と太鼓判

歌の道に真っ直ぐ

新時代にこだまする“やまびこボイス”をキャッチフレーズに2019年にデビューした二見颯一が6月25日、東京・目黒区の中目黒トライで初めてのファンミーティングを開催。「これからも歌の道に真っ直ぐ進んでいきます」と宣言した。そして、そんな二見を師匠の水森英夫氏は「久々に登場した本格的な歌い手です」と、大きな期待を持って客席から見守っていた。

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二見颯一サポートメンバーズ「ふたサポ」のオープンファンミーティングは当初、新曲「修善寺の夜」の発売にあわせて2月に開催される予定だった。しかし、コロナ禍で延期となり、4カ月遅れでの開催となった。参加を希望するファンが「いつまでも待っている」と緊急事態宣言が明けるのを待っていてくれたという。

当日は二見の地元、宮崎県からもファンが駆けつけるなど、遠方からもファンが集まった。ミーティングはトークコーナーを挟んだ全3部構成。デビュー曲「哀愁峠」の歌唱から始まった第1部では、自身のシングルのB面メドレーや、テレビ番組で歌ったことからリクエストが多かった村田英雄の「花と竜」、事務所の先輩である松村和子の大ヒット曲「帰ってこいよ」、初披露となるイルカの「なごり雪」を聴かせ、「帰ってこいよ」では、自分のレパートリーに加えたいとも話していた。

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二見颯一は5歳の時に民謡を始め、12歳の時にボーカルスクール「ボイス宮崎」に入り、宮地宏一氏に師事する。その宮地氏が、二見が歌った三橋美智也の「達者でナ」の音源を2017年の「日本クラウン 演歌・歌謡曲 新人歌手オーディション」へ送ったことから、二見の歌手への道を拓くことになる。

決勝大会でグランプリを獲得した二見は、作曲家・水森英夫氏の門下生となりレッスンに励む。会場にはその水森氏も姿を見せていた。

「最初は若かったこともあり、本人を見て『大丈夫かな。プロとしてやっていけるのか』と思いました。プロとしての自覚が持てるのかと。でも、それが新鮮でもあって、そのうちプロらしくなるだろうなという期待もありました。今日、見てホッとしました。当時と今とでは相当変わりました。二見は久々に登場した本格的な歌い手です。ちゃんと正しく歌う。最近はそういう歌い手がいない。ですから、今後が楽しみです」

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2019年にデビューした二見は、これまでにシングル3枚、アルバム1枚をリリースしている。

「デビューして2年ちょっと経ちました。短いようで長い、薄いようで濃い(笑)歴史を振り返りたいと思います」

二見はカバー曲や民謡も披露したが、歌唱コーナーを通じて自身のオリジナル曲を全曲披露した。

「ファンクラブに入ってくださっている方がお見えなので、二見颯一の曲が好きでいてくださると思いました。せっかく歌う時間をたくさんいただいたんですから、今までに出したオリジナル曲を全部歌おうと思いました。僕のわがままなんですけど、ファンの方に聴いてほしいなと思って」

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ファンからの質問に答えるトークコーナーを終えると、スーツ姿から着流しに衣裳を替え、昨年のシングル「刈干恋歌」、ファーストアルバム『颯』に収録されたオリジナル曲「母恋しぐれ」「ところがギッチョン恋之介」、3年目の勝負曲「修善寺の夜」へと歌い継いでいく。

「刈干恋歌」は都会へ出ていった愛しい人を地元から想うラブソング。“そうちゃん”コールが入る作品として授けてもらった曲だったが、コロナ禍でファンに生歌を聴かせる機会がなかった。だが、練習するまでもなく、小声での“そうちゃん”コールや、二拍手でのコールが入り、二見は感動していた。

「テレビ番組など以外は、ずっと歌う機会がなかったので、YouTubeで“そうちゃん”コールをやっていました。でも、画面越しなので、皆さんがどういう反応をしてくださっていたのかわからなかった。今日、目の当たりにして、“そうちゃん”コールを小さな声でやってくださっている方もいらして、改めて大切な曲だと思いました」

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「刈干恋歌」には歌の途中で“そうちゃん”コールが入る。歌唱前に一度、練習をしてみると、完璧に“二拍手”でコールに応えるファン。「説明しなくてもバッチリですね(笑)」(二見)

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ファーストアルバム『颯』に収録されたオリジナル曲「ところがギッチョン恋之介」では、日本舞踊の先生につけてもらったという振り付けを披露しながら、歌声を届けた。

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「颯一くん、決め手はここだよ」と、先生に教えてもらった指さしの振りを決める二見。「もう少し練習が必要かもしれませんね。鍛錬しておきます(笑)」。

アンコールがあれば歌いたいと準備していた2曲があった。1曲は「正調刈干切唄」、そしてもう1曲が「達者でナ」だった。歌手・二見颯一にとって、欠かせない曲だ。

「正調刈干切唄」は、高校2年生の時に「正調刈干切唄全国大会男性の部」に出場し優勝している得意の民謡。地元・宮崎県の高千穂が発祥の民謡でもある。

「尺八、三味線、太鼓の演奏がつき、高い音で歌うというのが民謡のイメージかもしれませんが、民謡はそもそも農業唄で、その地域に住んでいる人なら誰でも歌えるというのが本来です。昔の大衆歌謡です。民謡の先生がよくおっしゃっていました。『二見、こういう体勢(稲を刈る仕草)で高い声で歌えるか?』って。『誰もが歌えるから、その土地の雰囲気がわかる。雰囲気がわかるからこそ、どんな農業をやっているのかが、ほかの地域の人が聴いてもわかる。それが民謡なんだから』とも」

そう語っていた二見は、アカペラで「正調刈干切唄」を聴かせると、歌手へのきっかけを作ってくれた「達者でナ」を歌い上げた。

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二見は作品を歌う時、作品の主人公になりきって歌っている。自分の中で細かく設定し、間奏の時も主人公の気持ちになった表情を見せている。だが、「達者でナ」は違った。今もこの曲を歌う時は、日本クラウンが主催した「演歌・歌謡曲 新人歌手オーディション」での緊張を思い出すという。

「『達者でナ』は僕が宮崎にいる時に、ボイストレーナーの宮地先生から教えていただいた曲です。どうにかして歌の道に進ませたいと、諦めきれなかった先生が、僕に内緒で送ったのがこの曲でした。どこを探しても僕の音源がなく、ようやく見つけたのが『達者でナ』だったんです。先生が送ってくださらなかったら、僕はここにいなかったかもね、と周りの人とよく話します。ファンの方もそう言ってくださいます」

「ですから、『達者でナ』を歌う時は、4年前のオーディションの雰囲気が頭に浮かびます。あの時の緊張感は忘れられません。イントロが流れた瞬間に、あの時の雰囲気がバンって体に入ってきて、すごく張り詰めた感じがします。背中を押してくれるようないい緊張感をくれる大切な曲です」

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マネージャーとのトークコーナーでは、ファンからの質問に答えていく二見。「目玉焼きは醤油派かソース派」に質問には、ファンに呼びかけ挙手でマーケティング(?)。「醤油派の人、ソース派の人、塩派の人・・・」。二見は、調味料はポン酢が好きで、目玉焼きは醤油だが、卵焼きならポン酢もありと答えていた。

中ほどのトークコーナーでは「未発表の趣味は?」「目玉焼きは醤油派? ソース派?」「洋服はどこで買う?」「飼ってみたい動物は?」などの質問に楽しく答えていた二見。ファンミーティングを通じてオリジナル曲すべてを含む全14曲を歌い、ファンに感謝の言葉と決意を述べた。

「本当にありがとうございました。こらからも二見颯一、“やまびこボイス”を響かせつつ、歌の道、真っ直ぐ進んでいきますのでよろしくお願いします。皆さん、今日はありがとうございました。二見颯一でした。またお会いしましょう」

大きな拍手に包まれステージを降りた二見に、水森氏が会いに来てくれた。

「おっ、よかったよ」

「ホントに軽い感じで『よかったよ』って。でも、そのひと言は重みのあるひと言でした」。二見は笑みをこぼしていた。

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「今日開催できたこと、とてもうれしく思います。僕ひとりの力では絶対に開催できなかったファンミーティングです。皆様からの温かい声が僕やスタッフを支えてくれました」(二見)。

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「延期になったあとも、ファンの方が『待つから大丈夫、大丈夫』と言ってくださったので、いつか完璧な状態で歌いたいと思っていました。緊急事態宣言が明けて、やっとファンミーティングをすることができて、ホッとしましたし、皆さんに来ていただくことができて、ありがたいなという気持ちが一番でした」(二見)

 

VOICE

師匠・水森英夫氏「二見颯一のような歌い手が新しい時代には必要」

「二見は歌を早く覚えるタイプです。ただ、早く覚えるんだけども、自分の中で咀嚼してうまく表現するのには少々時間がかかります。歌はパッと覚えるんですが、味付けするには少々時間がかかるんですね。でも、本当はそういうタイプの方がいいんです。すぐ味付けできちゃうという人よりも、相当歌ってから『味が出てきました』という人の方がいいんです」

「というのも、すぐに味付けできる人、才能がありすぎる人は自分の歌に飽きてしまって、いろんな歌い方をしてしまい、最後は正解がわからなくなってしまいます。ところが、二見みたいな、どちらかというと不器用な人の方が、歌い込んでいく中できちんとまとめてくるんですね。歌い手にはいろんなタイプがいますけど、二見はそういうタイプです。ちゃんと鍛えて、筋肉をしっかりつけていくという。彼は鍛え方を疎かにしません。人が見ていないところでもやっていくタイプです。それは歌い手として強い。本当の筋肉ができるわけですから」

「二見が目指すところは正統派の歌い手です。東海林太郎先生など、戦前の流行歌。そういうところに戻ってもらいたいぐらいの歌唱です。新しい時代では演歌・歌謡曲も歌い方が変わってくると思います。その時には、正確に正しく歌うという方向に戻るでしょう。正確に正しく歌うということは、実はなかなかできなくてね。難しいことですから。だから、ちゃんとポテンシャルの高い人しか歌手になれないぞ、という時代が来ると思います。その時に流行歌、演歌・歌謡曲というのは隆盛の時代を作れると思います。ですから、彼みたいな歌い手が必要です。そして、その時には『二見のような歌手になりたい』という子どもたちが出てくると思います」

 

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2021年2月10日発売
男の恋歌に挑む
二見颯一「修善寺の夜」
二見颯一

「修善寺の夜」
作詞/たきのえいじ 作曲/水森英夫 編曲/伊戸のりお
c/w「若竹」
作詞/保岡直樹 作曲/水森英夫 編曲/伊戸のりお
日本クラウン CRCN-8387 ¥1,350(税込)

3枚目のシングル「修善寺の夜」は、結ばれることなく終わった人を想い、ひとり修善寺で偲ぶ男の姿を描いたマイナーの演歌作品。カップリング曲「若竹」は、希望を胸に前へ進む青春像を歌ったメジャー演歌。「空の青さに あこがれて 竹は真っすぐ 伸びていく」(1番歌詞より)と、二見の心情にもつながる作品。

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