林部智史

林部智史が語る特別な夜・・・「林部智史5thアニバーサリーコンサート~春、歌を咲かせよう~」

林部智史 モノローグ3月28日、神奈川県民ホールで開催された「林部智史5thアニバーサリーコンサート~春、歌を咲かせよう~」。林部智史が一夜限りで行った5周年記念コンサートだ。伝えたい思いをすべて表現したいと、林部はシンプルな構成で挑んだという。そんな記念コンサートが“おうちでコンサート”として配信される。配信開始日を前に、特別な夜の話を聞いた。

文=藤井利香

ごまかしのきかない、シンプルなステージを
節目のデビュー5周年コンサート。一夜限りでしたが、僕が伝えたい思いはすべて表現できたかなと思っています。

会場は昨年11月に行ったコンサート(林部智史 CONCERT TOUR 2020~晩秋の音楽会~)と同じ神奈川県民ホール。ステージに立ち、幕が開いたときの率直な思いは「あ、よかった・・・」でした。というのも、11月に行ったときはコロナによる世間の不安が根強く、それは現在も大きくは変わりませんが、人数制限された客席にさらに空きができていて「この先どうなってしまうのだろう。音楽を続けていけるのか」と、かなりショックを受けました。でも、今回も限られた人数の中でしたが、3階の最上席まで客席が埋まっており、それを見てとても安堵しましたし、素直にうれしいと感じることができました。

延期となっていた4周年コンサート(林部智史 4th Anniversary Concert with 関西フィルハーモニー管弦楽団)をわずか1カ月前に大阪で行っていたので、5周年をどう差別化し、どう超えていくかが演出においての一番の悩みどころでした。大阪では関西フィルハーモニー管弦楽団をバックに迎え、アニバーサリーにふさわしくとても華やかなステージ構成でした。

だから5周年はそれに負けないくらい、より豪華に、より壮大に……と、多くの人は考えたかもしれませんが、僕のスタイルにもっとも合うのはむしろシンプルなもの。初心に返るためにもごまかしのきかない、いい意味で自分を追い込めるような内容にしたいと思いました。

林部智史

「そうだ、ピアノ一本で行こう」
そのうえで、出した答えは「ピアノ一本で行こう」。思いのほかすんなりと決まりましたね。

今回のコンサートでは、アマ時代からの付き合いになる“としくん”(追川礼章氏)がピアノを担当してくれ、これが聴きどころの一つとなっています。としくんは現在「叙情歌」のコンサートに参加してくれていますが、通常のコンサートは久々。本来は別の仕事が入っていてお願いできなかったのですが、コロナの影響で予定変更となったことが幸いし、共演という運びになりました。もう一度一緒にやりたいと思っていた矢先に希望が叶い、さらに今年は通常のツアーにも帯同してくれる予定です。

そんなとしくんのピアノと美しく競い合い、そして高め合いながらの5周年コンサート。前半は2人だけのステージで、後半は少し趣を変えました。僕は“通常のコンサートツアー”と“叙情歌の旅”の二つのコンサートを行っていますが、この二つで顔を分けています。アニバーサリーではその二つの顔が一つの「道」になればいいなと考えていました。後半はそれを意識したものになりました。

林部智史

披露するのは、未発表曲を含む17
選曲についてですが、一部で8曲、2部で7曲、アンコールで2曲を歌唱しています。デビュー後のメイン曲、またこの1年で力を入れている曲、そして僕の一番伝えたいメッセージ性のあるものと、大きく分けると三部構成のイメージです。

その中に、僕が昨年の自粛期間中に作った作品をいくつか入れています。トップを飾る「時を紡いで」がそのうちの1曲。僕の故郷・山形の文翔館という建物に日本で二番目に古い(一番は札幌時計台)時計台があって(2021年で105年目)、管理する方が数日ごとに、1日数秒起きるズレを調整しつつ、時計の動力となる分銅を手動で巻き上げているそうです。地元の人にとっては見慣れた時計台も、整備する人がいて初めて時計の針が進みます。当たり前に動いているのではないことに今さらながら気づかされました。「時を紡いで」は、そんな時計台に着目して作った歌です。

今回のコンサートにしても、コンサート自体が決して当たり前のものではありません。その思いも込めて、オープニング曲に採用しました。

林部智史

「これからもこの道を歩んでいきたい」
「三つ葉のクローバー」も自粛期間中に作った楽曲です。“僕は三つ葉のクローバー”で始まる歌詞のとおり、四つ葉にはなれない僕が幸せになれるかなと、自分を等身大で表現しています。

裏話をしますと、昨年事務所が「おうちで作ろう」という企画で曲や詩を募集した際、そのお礼の品が“四つ葉のクローバー栽培キット”でした。卵の殻の形の容器の中に種が入っていて、毎日水をやると芽が出てくるというものでした。それを僕も家でやってみたところ、なんと四つ葉が出ずに全部三つ葉だった! がっかりするというよりは、何とも自分らしいなと。そこで生まれたのがこの楽曲です。本当に体験したことがそのまま歌詞となり、自作品として恥ずかしくないものをという思いから、迷わずこの曲を歌うことにしました。

そして、アンコールでは「まだ」という曲を歌っています。配信コンサートでも歌っていない、このコンサートが初披露となる曲です。念願の歌手になり、やがて“コンサートアーティスト”というスタイルを得た僕が、5年という月日を経てこれからも後悔のないように、この道を歩んでいきたい。その気持ちを偽ることなく表現した、ラストを飾る1曲でした。

これらを含む全17曲の中には、「ラピスラズリの涙」をはじめとした小椋佳さんの楽曲、また叙情歌も入っています。そのステージを、僕をずっと支え続けてくれる人たちと一緒に作り上げることができたことに心から喜びを感じています。MCでは所々で会場の皆さんにクスッと笑っていただきましたが、あたたかな雰囲気を感じてとても歌いやすかったです。「林部智史“おうちでコンサート”5th Anniversary Concert~春、歌を咲かせよう~」の配信(全5回配信。内容は同一)が4月22日から始まりますが、ぜひ多くの方に視聴していただけたらうれしいです。

林部智史公式ホームページ

 記事の感想を募集中

 


2021年5月26日発売
ニューシングル
林部智史「ラピスラズリの涙」

avex trax AVCD-94998 ¥1,650(税込)

収録曲
M1:ラピスラズリの涙(Single ver.)/林部智史
M2:三つ葉のクローバー/林部智史
M3:少しは私に愛を下さい/小椋佳&林部智史
M4:ラピスラズリの涙(Duet ver.)/小椋佳&林部智史
(全4曲収録予定)
スマプラ対応

小椋佳の作詞・作曲作品「ラピスラズリの涙」は、アルバム『まあだだよ』のリード曲として収録された作品。同作品をリアレンジされシングルとして発売する。小椋とのデュエットバージョンも収録されるほか、「三つ葉のクローバー」、「少しは私に愛を下さい」(小椋とのデュエット)を加えた4曲を収める。なお、「三つ葉のクローバー」はBS-TBSで放送される「噂の!東京マガジン」(4月クール 4/4~)のエンディングテーマ曲に採用された。

異なる世界観を聴き比べてください・・・林部智史
自分の歌を、コンサートを通じて歌い込む。それよって新たな命が吹き込まれ、さらに歌が進化していくものだと思っています。今回リリースする「ラピスラズリの涙」は、アルバム収録曲のシングルカットではなく、異なるアレンジでレコーディングしたニューバージョンです。

僕の歌う「ラピスラズリの涙」を小椋佳さんがとても気に入ってくださって、その言葉に勇気づけられながらいつかニューバージョンを出したいという思いがありました。それが早々に叶い、今までとはまた違う仕上がりになっています。アレンジ&ピアノは、5周年コンサートの相棒である“としくん”(追川礼章氏)です。また異なる世界観を、ぜひ聴き比べてほしいですね。

また、それぞれ異なるキーで歌う小椋さんとのデュエットバージョンも収録されています。テレビやコンサートですでに披露していますが、作り上げたものは作品として残したいじゃないですか。そして、「僕と一緒だと生き生きしている」と小椋さんのマネージャーである息子さんからもうかがっているので、引退前のラストイヤーという小椋さんですが、これからもいろいろな提案をして最後までご一緒したいと思っています。

カップリング曲は5周年コンサートで歌った「三つ葉のクローバー」、さらに小椋さんの名曲「少しは私に愛を下さい」のデュエットバージョンで入れさせていただきます。


林部智史 CONCERT TOUR 2021
~春夏“まあだだよ”
デビュー5周年のメモリアルイヤーの幕開け
2021年5月28日から全国13カ所で開催
コロナ禍により延期されていた林部智史の全国ツアーが再開される。ツアータイトルも新たに「林部智史 CONCERT TOUR 2021~春夏“まあだだよ”」に変更され、構成も作り直すという。ツアー初日は5月28日の埼玉会場から。この公演は昨年予定されていたツアーには含まれなかった新規会場となる。7月18日まで全国13カ所で行われる。

今の僕ができる最高のコンサートに・・・林部智史
コロナによる2度の延期を経て、5月28日より新たなタイトルでスタートするコンサートツアー。内容も大幅に変更し、5月発売の「ラピスラズリの涙」シングル・ニューバージョンを中心とした、小椋さんの楽曲を携えてのコンサートになります。

小椋さんの曲を歌うことは光栄のひと言であり、どう感謝を返したらいいのかいつもそればかり考えています。今言えるのは、各地で行うコンサートを通じていただいた1曲1曲を、心を込めて歌っていく。それしかありません。そして、1人でも多くの人に聴いていただきたい。そのためにも、今の僕ができる最高のコンサートにしていきたいと思っています。

コンサートツアーの詳細は林部智史 公式HPへ

 

アルバム『まあだだよ』から
リード曲「ラピスラズリの涙」MV


2021年1月20日発売
小椋佳が託した想いを歌い継ぐ
林部智史『まあだだよ』

【デラックス盤(CD+DVD)】
林部智史「まあだだよ」

【デラックス盤(CD+DVD)】 avex trax AVCD-96636/B ¥3,500+税

【収録曲】
CD
01「ラピスラズリの涙」
02「僕でよければ」
03「愛の儚さ」
04「僕の憧れそして人生」
05「微笑み」
06「命 活かしましょう」
07「ひとかどの」
08「慈しむ人 美しい人」
※ボーナストラック
09「まあだだよ」

DVD
<Music Video>
・ラピスラズリの涙
<Studio Live>
・「まあだだよ」スタジオライブ
01「ラピスラズリの涙」
02「僕でよければ」
03「愛の儚さ」
04「僕の憧れそして人生」
05「微笑み」
06「命 活かしましょう」
07「ひとかどの」
08「慈しむ人 美しい人」

【通常盤(CD)】

【通常盤(CD)】avex trax AVCD-96637 ¥2,500+税

【収録曲】
01「ラピスラズリの涙」
02「僕でよければ」
03「愛の儚さ」
04「僕の憧れそして人生」
05「微笑み」
06「命 活かしましょう」
07「ひとかどの」
08「慈しむ人 美しい人」

小椋佳が林部智史のために全曲を書き下ろした新曲を収録したアルバム『まあだだよ』。歌手生活に幕引きすることを決めた小椋が、次世代を担う林部に託した作品が収められている。デラックス盤に収録されるボーナストラックの「まあだだよ」は林部が作詞・作曲した作品。
「小椋さんに、僕のほうからこんな曲をとリクエストしたことはないのですが、『慈しむ人 美しい人』だけは、昨年春に広島の嚴島神社で行うはずだったコンサートの奉納曲として依頼した作品です。残念ながらコンサートはコロナ禍で中止されてしまいましたが、いつかあらためて現地で歌うことができたらと思っています」(林部)