
最高音質のアルバムが完成。石川さゆりが50周年記念アルバム『Transcend』の試聴会で、「鳥肌の立つ音楽を届けたい」
石川さゆりが3月22日、東京・港区のレコーディングスタジオ「ミキサーズラボ」で、デビュー50周年記念アルバム『Transcend』の発売を記念した試聴会を開催。最高の音質にこだわりつつ、収録時の空気感を伝えることに注力した作品をアピールした。
またこの日は、WBCの決勝戦「日本×アメリカ」が行われたが、日本の14年ぶりの優勝のニュースを知った石川は、「音響エンジニアと歌い手はイメージを共有しています。野球のピッチャーとキャッチャーのような関係です」と、WBCにあやかり、歌でも感動を届けたいと笑顔を見せた。
アルバム『Transcend』はCD(2月15日発売)、アナログLP(3月1日発売)、専用チャンネルでの発売となるSACD(3月31日発売)の3形態でリリースされる。約2000曲のオリジナル曲の中から石川が何千回、何万回と歌ってきた代表曲6曲が新しいアレンジで収録されている。ちなみに、“Transcend”とは、「限界を超える、超越する」という意味だ。
サウンドプロデューサーには、レコーディング界の巨匠と呼ばれ、テレビ番組『タモリ倶楽部』などでも取り上げられた内沼映二氏を迎え、通常のレコーディングの2倍から4倍もの情報量で収録。このデジタル音源をわざわざアナログ音源に変換し、さらに“ラッカーマスターサウンド”という独自の技術によってマスタリング(製品化のためにデータを精製すること)した。そのおかげでアナログ音源の持つ艶や滑らかさが生かされたハイレベルのサウンドとなり、収録時の緊張感、臨場感が感じられる作品になったという。

音響エンジニアの内沼映二氏をサウンドプロデューサーに迎えて制作された石川さゆりの『Transcend』。内沼氏はこれまでに多くのアーティストの作品を手がけてきたが、石川さゆりの声が大好き、ゾクっとすると話した。
また音楽プロデューサーには斎藤ネコ氏を起用し、角田健一率いるビッグバンドによるジャズサウンドで、「津軽海峡・冬景色」「天城越え」「ウイスキーが、お好きでしょ」の3曲を、斎藤氏と大編成ストリングスサウンドで「風の盆恋歌」「朝花」「人間模様」の3曲がリアレンジされた。
さらに、ビッグバンドによる収録はレコーディングスタジオの老舗「ビクター301スタジオ」で行い、ストリングスアレンジでは本物の創造空間を目指す「Bunkamuraスタジオ」で実施するというこだわりだった。
石川さゆりのデビュー50周年を記念して、最高音質の音源が目指されたのにはわけがあった。昨今の音楽環境はストリーミングによる再生が一般的になりつつあるが、音質面では決して高くない。そこで制作者やアーティストが微に入り細に入りこだわった音楽作品を良質な音楽を求めるユーザーに届けたいという思いからだった。

内村映二氏の手による高音質録音とこだわりのミックスダウンによって、石川さゆりの艶のある歌声を再現した。
しかし高音質の音楽がいい音楽というわけではない。そこで石川は演奏と同録でボーカルを収録した。しかも全6曲ともワンテイクだったという。
「通常はカラオケを録音して、ボーカルは別で収録します。でも、未だにオケ録りと一緒に歌うことが多いですね。オケ録りの時に仮歌を録音しますが、そっちがそのまま作品になることも多くて、“仮歌のさゆり”と呼ばれています(笑)。でも、『これが音楽なんだよね』というのが感じられます。そこをもう一段追求しました。スタジオで感じる高揚感などを聴いてくださる方にも伝えて、感動が生まれるように。そんな思いで歌って来ましたが、一人でも多くの方に収録時の臨場感、空気感などを共有してもらえると幸せです」
そんな石川について、内沼氏は「石川さんの声が好きです。適度な倍音があって、ハイエンドの伸びにはゾクっとするものがあります」とコメント。石川は「“内沼マジック”です。録音された自分の声を聴くと、『こんな声も出るんだ』と思うことがあります」と答えていた。
「音楽は変幻自在です。オリジナルのアレンジも、今回のリアレンジもどちらも楽しんでほしいと思います。いい音とは人間が感動できる、鳥肌が立つ音楽です。皆さんが生きている毎日に寄り添うような音楽を届けたいです」
デビュー50周年を経て、「ステージではバナナのたたき売りもしていて、まだCD化はされていませんが(笑)、これからも音楽を本気で楽しんで、いろんな世界に飛んでいきたい」と石川。石川さゆりという歌い手の息づかいが感じられる『Transcend』をぜひ、一度、聴いてほしい。
2023年2月15日発売(CD)
デビュー50周年記念アルバム第2弾
石川さゆり『Transcend』

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テイチクエンタテインメント TECE-3697 ¥3,080(税込)
収録曲
「津軽海峡・冬景色」
作詞/阿久 悠 作曲/三木たかし 編曲/船山基紀
「風の盆恋歌」
作詞/なかにし礼 作曲/三木たかし 編曲/斎藤ネコ
「ウイスキーが、お好きでしょ」
作詞/田口 俊 作曲/杉 真理 編曲/村田陽一
「人間模様」
作詞/阿久 悠 作曲/杉本眞人 編曲/斎藤ネコ
「朝花」
作詞・作曲/樋口了一 編曲/斎藤ネコ
「天城越え」
作詞/吉岡 治 作曲/弦 哲也 編曲/斎藤ネコ