進化し続ける こおり健太の泣き節に酔う

「冬椿」を、みんなと一緒に咲かせたい

 

ーー白い雪と赤い椿の花など、鮮やかな色彩を感じさせる言葉や描写も多く描かれていますね。

こおり 以前「女の紅」(2014年)という歌を出してるんですけど、その時に、口紅って女性の象徴で、赤って一番女性を表す色だというお話を聞いたんですよ。真っ白な雪の中でひっそりと咲いている椿(女性)が、愛する人を待ち焦がれて気持ちが昂揚してより赤く咲いている……。女性の秘めてはいても隠しきれない、激しい情熱みたいなものを感じますよね。

 

いいのいいのよ 誰よりも
愛されたくって 待つ女
あなた慕って 紅く咲く
好きよこの花 冬椿

(「冬椿」1番より)

ーー2番の歌詞には「髪はみどりに 花くれないに」という表現がありますが、こちらについてはどうですか。

こおり これはね、僕もいろいろ調べたんですよね。そしたら、「柳緑 花紅(やなぎみどり はなくれない)」っていう漢詩があって、これは「自然のままに」とかの意味だったんですけど、よくわからなかったので坂口先生にお伺いしたら、この漢詩からの言葉ではないと。昔の人って、艶があってそれが光によって緑に見えるっていうので、黒髪のことを緑色って言ったんですって。僕にはそんな感覚がまったくなかったので、漢詩の方で想像膨らませてレコーディングに臨んてしまったので、その時はビックリしましたね。全然違うこと考えてたって(笑)。

ーー髪の色を緑って表現するなんて、今の時代ではあまり聞かないですもんね。

こおり そうですよね。先生はちょっと古風な女性の口ぐせをキーワードで入れたっておっしゃって、なんかすごくそのあたりが僕には新鮮でしたね。髪は緑っていう色の表現を口にする若者が、今いるかどうか……。先生の世代の方々じゃないと持っていないセンス、感覚なんでしょうね。とても言葉を大事に歌詞を書かれる、本当に貴重な作詞の先生なんじゃないかなと思いますし、僕は本当に恵まれているなと。もっともっと書いてください!って思ってます(笑)。

ーー作曲は田尾将実氏が手がけられていますが、メロディーを初めて聴いた時はいかがでしたか。

こおり すっと入ってきました。田尾先生には本当に多くの作品をいただいているので、先生も多分、健太にこう歌わせたらこうなるだろうとかを狙っていらっしゃるのではないかと思います。あとは、お客様に届いた時に心地いいメロディーというか、バランスを考えて作ってくださっているんじゃないかなあって、今回は今まで以上に思わされましたね。やさしく表現して歌う中にも、気持ち良さがあったり、ここ好きだなあとか本当に感じました。僕が歌ってる画が先生には見えていらっしゃるんでしょうね。やっぱり何作もご一緒させていただいているので、お互いの阿吽の呼吸と言いますか、僕の良さを引きだしていただけている安心感があります。

ーー前作の「恋瀬川」は、一昨年10周年を迎えられての歌手人生の第二幕の始まりの一曲だとおっしゃっていましたが、「冬椿」は、こおりさんご自身の中でどのような作品だと捉えていますか。

こおり これまでの曲たちとは違い、“僕のことを引っぱっていってくれる作品”かな。というのは、残念なことに今回は世の中の状況がまだ通常に戻る見通しが立たない中、発売されます。でも僕がお邪魔できないところでもかわいがってもらえるような、空気というか力を持ってる作品なんじゃないかなって思うんですね。今までは発売したらその作品に対して、“一緒にがんばろうね”でした。それがちょっと難しくなりつつある中で、自分の歌なんだけど「がんばってね」ってなんか送り出した気持ちですよね。「がんばって。後から僕も行くからね」って、言葉をかけるとしたらそういうニュアンスですかね。

ーーこれまでは新曲の発売と同時にキャンペーンや発表会を行い、作品とともに二人三脚でのスタートでした。しかし、コロナ禍にあって今回ばかりは……。

こおり お互いに命が一番大切ですからね。でも「病は気から」じゃないですけど、心の健康を害するのも怖い。会場に行って緞帳が上がる、一発目の音が鳴る、ステージが始まる……。やっぱり、ライブの高揚感って独特なものがあるじゃないですか。命を守りながらっていう大きな問題はあるけれども、歌やエンターテイメントも極力早い段階で復活させていく努力をしていかないとですよね。音を楽しむと書いて「音楽」。この曲を手にしてくれた皆さんと、早く楽しく歌える日が来ることを願っています。それまで皆様のところで、「冬椿」の蕾をしっかりと温めていただいて、咲かせる準備をしておいてください。そして、その時が来たら一緒に咲かせましょう!

 


2020年9月30日発売
進化し続ける”泣き節”を堪能
こおり健太「冬椿」

「冬椿」  
作詞/坂口照幸 作曲/田尾将実 編曲/南郷達也  
c/w「初恋夜曲」 
作詞/坂口照幸 作曲/田尾将実 編曲/南郷達也  
徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-91300 ¥1,227+税

「冬椿」は愛する男性を一途に待ち続ける健気な女心を描いた正統派の演歌。「リズムよく歌うというのも気持ちがいいんですが、この曲は流れ的にすごくたっぷりめに歌うっていうのはポイントかもしれないですね。皆さんそれぞれ鼓動を持っているので、鼓動に耳を澄ませて曲とマッチしたテンポで歌っていただくといいと思います」(こおり)
一方のc/w「初恋夜曲」は、若き日の淡い初恋、愛した人に思いを馳せる主人公の心情を歌う。「昭和の流行歌みたいな趣があって、この曲を手放したら僕に多分こういう歌が来ることがもうないんじゃないかって思ったんですよね。ぜひ歌いたい! と思ったオシャレな一曲です。真相は定かではないですが、坂口先生が初恋の思い出を重ねて書かれたんじゃないかと、僕は勘ぐってます(笑)」(こおり)

 


Profile
こおり健太(こおり・けんた)
1983年1月5日、宮城県生まれ。保育士として3年間務め、その傍ら数々のカラオケ大会に出場して優勝するなど華々しい成績を収める。その磨き上げた実力で臨んだ、福島テレビ『弦哲也のFTVカラオケグランプリ』で第7回グランドチャンピオンとなり、歌手になるという幼い頃からの夢を果たすため単身上京。レッスンを重ね、2008年、「口紅哀歌」でメジャーデビューを果たす。以来、スマッシュヒットを連発。柔らかな物腰と笑顔、高音の美しい天才的な歌声で人気を集めている。