
新曲「北海ながれ歌」が好評の大江裕が必見のステージ。「ふれあいライブ2025 旅立ち」で恩師・北島三郎のヒット曲を命燃やして歌いまくる
大江裕が埼玉県・越谷のサンシティ―越谷 大ホールにてふれあいライブを開催した。栃木県真岡市からスタートした「ふれあいライブ 2025 旅立ち」。2月25日に開催された今回も、専属バンド“ooe7(オオエセブン)”による演奏で、昭和・平成の名曲や恩師・北島三郎のヒット曲を歌いまくった。
もちろん、「30歳を過ぎてしっとりとした作品もいただけるようになりました」と前作「高山の女(ひと)よ」や、新曲「北海ながれ歌」もじっくりと聴かせた。
「大江裕ふれあいライブ2025」はトモ・エンタープライズが企画・制作を手掛ける。“トモ社長”がデビュー17年目を迎えている大江の才能を見抜き、デビュー当時から気にかけてきた。「大江裕には生バンドで歌わせたい」と、自社が企画するコンサートではバンド演奏で大江を歌わせてきた。今回の大江裕ソロコンサートも“トモ社長”の肝入り企画だった。
しかし、昨年11月、“トモ社長”が癌により他界した。
コンサートホールの一画には、大江と“トモ社長”のツーショット写真が飾られ、大江が亡き“トモ社長”に送ったメッセージが飾られていた。
「トモさんの思い 胸に抱き 命燃やして歌います」
ゲスト歌手 山崎洋子のステージに続き、大江のソロコンサートがスタートすると、会場は大きな拍手に包まれる。
デビュー曲「のろま大将」とそのカップリング曲「なんか一丁やったろかい」を歌い上げた大江は「恐れいります~ぅ。大江裕です。専属バンドで全国を回らせていただいています。幸せです」とはにかんだ。
▲ステージを縦横無尽に走り回る大江裕。
7名編成の専属バンド “ooe7(オオエセブン)”の演奏でまず届けられるのは、昭和の名曲だった。
「たくさんの皆様の前で歌える幸せを噛みしめながら精いっぱい歌います」と、大江は千昌夫が歌った「津軽平野」から聴かせると、大江が歌真似を得意とする美空ひばりや、春日八郎、井沢八郎などの誰もが知る名曲を、ときに自身と曲との爆笑エピソードを紹介しながら聴かせていく。
「お客様がいい舞台をつくってくださります」
ファンとの“ふれあい”も大事する大江は途中からは客席に降り、1曲歌うごとに会話を楽しみながら歌を届けた。
昭和と平成の名曲。最後は日本クラウンの大先輩・水前寺清子のデビュー曲「涙を抱いた渡り鳥」だった。
大江はステージに戻って力強い歌声を披露すると、「続いては令和のヒット曲を届けたいと思います。令和は僕の歌ですけどね」と、自身が2023年2月にリリースしたデビュー15周年記念曲第1弾「時代の海」を雄大に歌った。恩師・北島三郎(原譲二名義)による作詩・作曲作品だった。
さらには、「大江くんには“おんな歌”がよく似合うと言われます。なぜなんでしょうか?」と女性らしいしぐさで笑わせながら、“おんな歌”の新境地を開いたオリジナル作品から「こゝろ雨」、大江の歌声が冴える前作「高山の女(ひと)よ」を歌い、日本舞踊の添舞を受けながら「檜舞台」を披露し前半を締めた。
「北島三郎先生の歌を大いに唄わせていただきます。第二部の開演です」
大江自らコンサート後半への期待を高めると、まずは太鼓の演奏により気分が高まっていく。
祖父の影響で幼少のころから北島三郎の歌を子守歌として聴いて育った大江裕。衣裳チェンジした大江は、「北島三郎先生のような歌手になりたい。それが僕の歌人生の始まりでございます。先生の弟子として恥じぬよう、その大きな山に今日も登っています」と、北島が2001年にリリースした「人生道」、芸道25周年記念曲「北の漁場」で会場を熱くする。
「かっこいい!」
「北の漁場」を歌い終えた大江に声援が飛んだ。
「少しでも北島先生に近づけるように歌っていきたい」と胸の内を明かすと、保育園に入ったころ、園長先生に言われて同級生の前で歌ったのが、「『兄弟仁義』でした。同級生たちは素敵な歌詞にポロポロ泣いていました。怖くて(笑)」と会場を和ませつつ、ミリオンセラーを記録した「兄弟仁義」を歌うと、競作ながら北島の代表曲として愛される「与作」、「帰ろかな」といったヒット曲を歌い継いだ。
そして、「大好きな歌です」と、北島の一文字シリーズから「竹」「山」「川」の3曲を唸るように歌唱した。
「ふれあいライブ」の終盤は、新曲「北海ながれ歌」。かず翼氏が作詩し、作曲が弦哲也氏。大江と弦氏との組み合わせは今回が初だった。
デビュー15周年を経た大江の新たな一歩を踏み出す作品で、北海道の小樽、札幌、釧路、帯広、留萌、網走を旅する裏路地演歌となっている。会場には編曲を担当した猪股義周氏の姿もあった。
大江は約2年前に所属する北島音楽事務所から独立し、クラウンミュージックへ移籍した。恩師からそろそろひとり立ちをしなさいと背中を押されての巣立ちだった。
「北島先生のもとへ帰りたいという思いもありますが、私の“風雪ながれ旅”は続きます」
新曲「北海ながれ歌」を聴かせた大江は本編の最後に、北島のヒット曲のひとつ「風雪ながれ旅」を歌い上げると、アンコールにはハッピを着て登場。この日の出演者、観客と一緒に北島の代表曲のひとつ「まつり」を楽しんだ。
「温かいお客様の前で歌えて幸せでした~!」
ファンも拍手で大江を讃えると、ステージに緞帳が下りた。花火大会のフィナーレのあとのように静かになった会場には「わぁ~」というファンの声が漏れ、笑顔がこぼれていた。
“トモ社長”への思いも胸に、専属バンド“ooe7(オオエセブン)”の演奏で大江が歌いまくる「大江裕ふれあいライブ2025 旅立ち」。次回は4月5日(土)、第10回歌粋会チャリティーとして千葉県•香取市小見川市民センター いぶき館での開催が予定されている。
山崎洋子 オンステージ
「大江裕ふれあいライブ2025 旅立ち」では山崎洋子のオンステージに行われた。
「地元で歌うのは久しぶりです。拍手や声援は歌手のごちそうです」と、温かい雰囲気のなかで、25万枚のヒット曲となった「かくれ妻情話」やそのカップリング曲「たった一度の人生だから」、「清流(せせらぎ)の宿」などを歌った。
なお、「かくれ妻情話」など日本コロムビア時代の作品は昨年、デジタル配信がスタートした。
2024年11月6日発売
大江裕「北海ながれ歌」

「北海ながれ歌」
作詩/かず翼 作曲/弦哲也 編曲/猪股義周
c/w「さいはて浪漫」
作詩/さくらちさと / 作曲/弦哲也 / 編曲/猪股義周
日本クラウン CRCN-8702 ¥1,500(税込)