
神野美伽、完全復活。音楽ジャンルの壁を越えたライブで熱唱
神野美伽が11月4日、東京・丸の内のライブレストラン「コットンクラブ」で、パーカッショニストのASA-CHANG(あさちゃん)とコラボしたライブを行った。
神野は近年、アメリカ・テキサス州オースティンでの音楽イベント「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」や、国内の野外フェス「ARABAKI ROCK FEST.」「オハラブレイク」に出演するなど、音楽ジャンルの垣根を超え、演歌にとどまらない活躍を見せている。コットンクラブには昨年9月に引き続き、2回目の登場となった。
本来はこの秋、同会場を含む東名阪3都市でのライブハウスツアーを予定していたが、コロナ禍により中止せざるを得なかった。また、本日のライブも開催が危惧されたが、入場客を半数にしぼり、感染防止対策に万全を期して開催にこぎつけた。
そんな状況ではあったが、客席に投げキッスをしながら登場した神野は、久々の聴衆との再会を喜びながら、「皆さんそれぞれ、いろんな思いを持って今日この場所に集ってくださったことに、心から感謝しています。できることなら皆さんお一人お一人にハグをしたいほどです(笑)」と語りかけていたい。
今回のライブは、ASA-CHANG(パーカッション、ドラムス)、ハタヤテツヤ(ピアノ)、田中邦和(サックス)というミュージシャンを迎え、「カモナマイハウス」をはじめ、「君恋し」を大胆な“スカアレンジ”で、演歌の名曲から「舟唄」、「暗いはしけ」「難船」といった重厚な作品や、「星屑の街」「私の青空」「色彩のブルース」「SWEET MEMORIES」「愛の讃歌」「たよりにしてまっせ」など、幅広いジャンルから全13曲を披露した。
9月に発売した新曲「泣き上手」も、しっとりとピアノ伴奏にのせて披露。同曲は大人の恋心を歌ったバラードで、作詞・松井五郎、作曲・都志見 隆という豪華作家陣を迎えての作品。“泣くのは上手さ 泣くのは平気さ”という何度も繰り返す歌詞が印象的な、哀愁と温かみにあふれたラブバラードだ。
松井五郎といえば安全地帯やBOOWY、郷ひろみ、田原俊彦など、そして都志見 隆も、松井との共作楽曲に加え、中森明菜やTOKIOなど、名だたるアーティストたちのヒット曲を多数生んできた。松井と都志見はまさにゴールデン・コンビの二人だ。

頸椎化膿性脊椎炎の手術からも復活した神野。コロナ禍もあり、一時は歌う気力を失ったが、自分の歌を見つめ直すことで、気力を取り戻したという。
今年3月には、頸椎化膿性脊椎炎で首にメスを入れる大手術を受け、やむなく活動を休止した。しかし、追い打ちをかけるようにコロナ禍でライブの開催もできなくなった。神野はしばらくは茫然として気力もなかったという。
だが、知人から「自分の歌を聴いてみたら?」とアドバイスされ、あらためて自分の歌を聴いた時に、歌う気力が湧いてきたという。
「自分自身の声に、癒やされるなんて経験は初めてでした。私もYouTubeで歌を配信していますが、やっぱり生のライブで、魂と共に、声を響かせたい」
歌への思いをあらたにし、大手術をともなう病からも完全復活した神野は、ライブのラストに笠置シヅ子の「ヘイヘイブギー」を選んだ。この歌が発表された戦後の日本と、現在のコロナ禍の日本には、相通じるものがあると感じたからだ。「皆さんに元気を与えたい」。そんな思いを込め、賑やかに歌って、締めくくった。
「ストップしたままのもの、なくしてしまったものも多いけれど、新しく発見したこと、新しく始まっていることもあります。だから決して諦めず、立ち尽くさないように、この状況を乗り切っていきます。今日の私の歌で何かを感じてくださって、明日からまた前向きな気持ちで過ごしてもらえたらいいなと思います」
2020年9月23日発売
大人の恋心を描くバラード
神野美伽「泣き上手」

「泣き上手」
作詞/松井五郎 作曲/都志見 隆 編曲/萩田光雄
c/w「こころに灯す火があれば」
作詞/松井五郎 作曲/都志見 隆 編曲/萩田光雄
c/w「どうしてますか」
作詞/松井五郎 作曲/後藤次利 編曲/後藤次利
キングレコード KICM-30994 ¥1,364+税
神野美伽のシングル作品としては初めてのタッグとなる松井五郎氏と都志見 隆氏による意欲作。哀愁と温かみにあふれたラブソングで、「泣くのは上手さ 泣くのは平気さ」という歌詞が何度も登場する大人の恋心を描いたバラードとなっている。
「新曲の作詞は松井(五郎)先生にお願いしました。カップリングの「こころに灯す火があれば」は具体的にこんなふうにしてほしいとイメージを伝えましたが、新曲の「泣き上手」と「どうしてますか」は、100%、松井先生が閃いて書いてくださった曲です。松井先生と私は同世代です。仕事をご一緒するうえで、自分のことを理解してほしいという気持ちもあったので、いろいろとメールをさせていただき、今、自分が不安に思っていることや、こんなふうに生きていきたいという思いを伝えさせていただきました。それを松井先生が作品にしてくださいました」(神野)
【プロモーションビデオ】神野美伽『泣き上手』
キングレコード公式【インタビュー】神野美伽「泣き上手」
泣き上手~Piano Version~
2020年10月7日発売
「神野美伽全曲集2021」

キングレコード KICX-5233 ¥2,909+税
【収録曲】泣き上手/男船/春夏秋冬屋形船/酔守唄/浮雲ふたり/男の海峡/帰れないんだよ/若狭の女/鴎を売る女/みさお酒/黒髪/おんなの波止場/愛のワルツ/冬の月/男節/あんたの大阪