アグネス・チャンが初の絵本発売で、読み聞かせ会を開催。ウクライナの平和も願い、「子どもたちに必要なのは平和です」
日本デビュー50周年を迎えているアグネス・チャンが4月24日、自身初の絵本を潮出版から発売するのを記念して、東京・中央区の八重洲ブックセンター本店で「絵本読み聞かせ&サイン本お渡し会」を開催した。またユニセフアジア親善大使を務め、2018年にウクライナを訪問した経験を持つアグネス・チャンは「早く平和が来てほしい」と訴えた。
「アグネス・チャン 親子で読む絵本」シリーズは3月に第一弾として『ママはあなたをあいしてる、うそをつかなくていいのよ』『ともだちをたすけるのは、いちばんしあわせなこと』の2冊が発売され、5月2日に第2弾として『みんなちがうから、すばらしい』『すべてたいせつ、ちきゅうをまもろう』が発売される。
1972年に「ひなげしの花」で日本デビューしたアグネス・チャンは、「草原の輝き」「愛の迷い子」「星に願いを」「ポケットいっぱいの秘密」などの数々のヒット曲を発表し、歌手としての地位を確立するかたわら、「ユニセフアジア親善大使」や「日本対がん微笑み大使」などにも就任し、社会問題に取り組んできた。また3人の息子を難関のスタンフォード大学へ合格させるなど教育にも熱心で、自身も同大学で教育学博士号を取得している。
「この絵本は“親子の絵本”です。親が子どもに読み聞かせて、子どもが絵本で学んだことを別の誰かに話してくれたらうれしいです。子どもが本を読む習慣をつけてくれること、親子のコミュニケーションを深めてほしいという願いも込めました」
絵本のテーマは4つあり、テーマ設定から挿絵までアグネス・チャンが行った。
「編集者の方から『絵本を書いてください』『書くなら4冊お願いします』と言われた時は、びっくりしました。どんなテーマにするか、すごく悩みました。子どもたちに伝えたいこと、普通に話すとちょっとかたい話を身近な話に置き換えて、子どもたちが読むうちに自分で学べるような4つのテーマを選びました」
絵本のテーマには、3人の息子との実体験がヒントになっている。
「『ママはあなたをあいしてる、うそをつかなくていいのよ』は、親子関係の中でいちばん大切な信頼がテーマです。『ともだちをたすけるのは、いちばんしあわせなこと』は、人によって幸せは違いますが、人を助けることが自分に幸せにつながることを伝えたいと思いました。ある雨の日、次男が転校してきた女の子に、自分の傘がなくなるにもかかわらず、傘を貸したという話がヒントになっています」
「5月に発売される『みんなちがうから、すばらしい』は、自分と違う人を拒否しては生きていけない時代、多様性の時代だから、違いを受け止め、違うから楽しいということを伝えたいと、公園に咲く花を題材に書きました」
「そして、『すべてたいせつ、ちきゅうをまもろう』は環境問題を考える作品です。この作品は、子どもからお母さんが学ぶお話です。アメリカ留学していた時のことです。ゴミの分別をしていたら、長男がゴミ箱を漁るので、『汚いから止めなさい』と言ったら、『ママが捨てたからゴミになったんだよ。捨てなかったら僕のおもちゃだよ』って。ハッとさせられ、モノの大切さに気づかされました」
一方、テーマの決定と文章は比較的早く書けたが、絵を描くことには苦労したそうだ。
「絵を書くことは好きです。花や鳥の絵が好きで、花は“ひなげしの花”を描くのが好きでした(笑)。でも、ストーリーに沿って絵を描くのは大変。制作期間は8カ月ぐらいですが、半年以上は絵を描くことに時間を使いました」
完成した4冊の絵本を前に、アグネス・チャンは「絵本の最後には、こんなふうに読んでほしいと、私からのメッセージを書かせていただいています。正解のない質問も書いてあるので、本を読んだら、この質問を通して子どもの心の声を引き出してあげてください」と、『アグネス・チャン 親子で読む絵本シリーズ』をアピールしていた。
なお、ユニセフの活動に積極的に関わっているアグネス・チャンは、ロシアによるウクライナ侵略について「早く平和が来てほしい」と心の内を明かした。
「ウクライナには2018年に行きました。首都キーフから、今、激しい戦闘が行われているドンバス地域に電車で移動したんですが、道中は美しい風景が続いていました。でも、ドンバスでは内戦が5年も起こって、そこに住む人たちはずっと戦火の中で苦しい生活を強いられていました。5年も内戦が続いていたので、幼稚園児は平和な生活を知りません。家の窓にはサンドバッグ(砂袋)が積まれていて、窓はあっても外が見えない状態でした。早くサイレンのない日々、平和な日々が来てほしいと思います。子どもたちには平和が必要です」
この日、アグネス・チャンが青いワンピースに合わせていたのは青い花のネックレスだった。「ドンバス地域の女性がつくってくれたネックレスです。今日の洋服とぴったりだと思ってつけてきました」。
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