純烈の小田井涼平が妻・LiLiCoの引退試合でプロレスデビュー! 伝説の曲紹介パフォーマンスと即日引退に「未練はないです」
純烈の小田井涼平が3月20日、東京・台東区の両国国技館で開催された、妻であるLiLiCoのプロレス引退試合のタッグパートナーとしてリングに上がり、プロレスデビュー。リーダーの酒井一圭からは「今日からプロレス道に邁進していただきたい」とエールを送られた。しかし、引退試合を終えたLiLiCoから「一緒に引退しよう」と諭されると、「何となくそんな気がした。一生懸命頑張ったけど、何一つ技がかけられなかったから」と、デビュー戦が引退の日となってしまった。
「もう1回だけでいい。闘いたい」
この日は、プロレス団体「DDTプロレスリング」の旗揚げ25周年を記念した「Jugement2022~DDT旗揚げ25周年記念大会~」が行われた。
映画解説者やタレントなど多くの顔を持ちながら、2015年8月に念願だったプロレスデビューを実現したLiLiCoは、これまでにDDT EXTREMEやKO-D10人タッグ王者、アイアンマンヘビーメタル級のチャンピオンを獲得するなど輝かしい成績を残してきた。だが、2020年8月に、夫である小田井のリクエストに応じ、パンケーキの材料を買いに出かけた際、雨で転倒。左膝蓋骨(しつがいこつ。いわゆる”膝の皿”)を骨折する大怪我を負った。以来、プロレスのリングから遠ざかっていたが、「もう1回だけでいい。闘いたい」と、引退試合に向けてトレーニングを続けてきた。
南海キャンディーズの山里亮汰による“肛門爆破”によるオープニングセレモニーのあと、全9試合(ダークマッチ2試合を含むと全11試合)が行われた記念大会。LiLiCoは前半戦のトリとなる第5試合の3対3のタッグマッチに出場した。
第5試合 LiLiCo引退試合
LiLiCo&小田井涼平&彰人with 純烈(酒井一圭&白川裕二郎&後上翔太) vs 男色“ダンディ”ディーノ&飯野“セクシー”雄貴&今成”ファンタスティック”夢人
LiLiCoのパートナーは夫・小田井涼平と、彰人の2人。対する相手は、男色“ダンディ”ディーノ、飯野“セクシー”雄貴、今成“ファンタスティック”夢人によるフェロモンズ。引退試合だからと言って容赦はしないと、LiLiCoをつぶしにかかる気満々だった。
LiLiCo組には、純烈の酒井一圭、白川裕二郎、後上翔太がセコンドとして付き、総力戦で試合に臨んだ。LiLiCoと小田井の夫婦の絆が生み出した新作合体技“姫SEXYチェストキック”が決まれば、フェロモンズを倒して、引退試合で有終の美を飾れるはずだが・・・。
純烈とLiLiCoが秘技“大放屁”に悶絶
試合が始まると、LiLiCoが序盤を優位に進めるが、試合の権利を小田井にスイッチすると、フェロモンズの餌食となる。苦悶の表情を浮かべる小田井を見かねたLiLiCoが再びリングに戻るが、フェロモンズはここで、言葉にするのもはばかれるエロチックで屈辱的な技の数々をLiLiCo組に仕掛けると、さらには助っ人に入った純烈の酒井、白川、後上にも必殺技“大放屁”を浴びせる。
合体技“姫SEXYチェストキック”も一度目は不発に終わっていた。小田井がLiLiCoを“お姫様抱っこ”して繰り出すキックは、LiLiCoのキック力を増大させる危険な大技(!?)となるはずだったが、LiLiCoを抱え上げた小田井の腰が悲鳴を上げ、「痛い! 痛たたたた!」と倒れ込んでしまっていたのだ。万事休すか!と思われた。
「LiLiCoを守れるのは俺しかいない」
情熱大陸のテーマ曲が流れるなか、小田井の心の声が会場に響く。LiLiCoと小田井が相づちを打ち、今度は見事な“姫SEXYチェストキック”をフェロモンズの飯野に決めた。この日の試合のために生み出した必殺の合体技だったが、満身創痍の2人が放つキックの威力は100%ではなかった。
ペンライトを持って応援に駆けつけた純烈ファンの思いは届かず、LiLiCoは男色ディーノにパイルドライバー(脳天杭打ち)を決められ、頭部からマットに落とされると、最後は痛めている左足に関節技“膝十字固め”を決められた。
たまらずギブアップしてしまったLiLiCoのプロレス人生は、この瞬間終わった。引退試合時間は16分52秒だった。
伝説となるか、小田井の”プロポーズ”
「彼女の怪我が簡単な怪我じゃないのはわかっていますが、言い方を変えれば、この程度の怪我で引退してもらえてよかったなと、夫として安心としているところがあります。今も元気だったら、自分の体のことを考えずにやっていたと思うので、怪我がそのブレーキになってくれたというか。最後までLiLiCoの膝がもってよかった」
敗戦は悔しかったが、小田井はホッとしていた。
「皆さん、今日はありがとうございました。レスラーになりたくて、やっとリングに立てたのに・・・。動けるうちは、“スーパー婆ちゃん”になっても、ずっとプロレスをやり続けようと思っていましたが、運命は違ってしまいました。でも、毎回、真剣に闘って、みんなの応援が力になっていました」
引退セレモニーで、10カウント・ゴングを聞いたLiLiCoは泣いた。小田井がLiLiCoに言う。
「膝の怪我をした時に、もうプロレスはできないんじゃないかと思ったけど、不屈の精神で立ち上がって、もう一回、リングに上がる姿を見て感心している。プロレス愛を見た気がする。結婚して数年が経ちますが、今日は純烈のメンバーも応援に来ていますので、改めてプロポーズさせてください」
引退セレモニーのもう一つのクライマックスだった。
「それでは・・・僕たちの曲・・・『プロポーズ』を聴いてください」
観客はずっこけ、会場はどっと笑いに包まれた。
「あの時、曲紹介を間違えました。本当は『プロポーズ』と曲名だけ言おうと思ったんですが、いつもの純烈の興業の癖が残っていて、『それでは聴いてください』って言ってしまったら笑いが起きてしまって・・・。そこだけ後悔しています」
2018年の勝負曲であり、NHK紅白歌合戦初出場を果たした代表曲を純烈の4人は熱唱した。
最初の技はドロップキックだった
純烈は笑い声のなか『プロポーズ』を歌い始めたが、やがて観客は曲に聴き入る。そして、小田井は涙で歌えなくなるほどだった。
「彼女と日々暮らすなかで、彼女のプロレス愛を、プロレスとの絆を感じていました。プロレスができなくなって悔しい思いをしていたと思う。リングの上のLiLiCoを見ていると、だんだん小さくなっているように見えて、闘いを終えた人の最後はこうなんだな。闘っている時とは違うオーラが出ていて、ものすごく優しく感じました。今までは気を張って自分を大きく見せていたんだなと思ったら・・・。妻には感動させられました。彼女の魂の強さも感じて、涙が止まらなくなった」
「白川さん、いい声でした。でも、小田井はちょっと泣きすだったかな(笑)」(LiLiCo)
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普通の女の子に戻ります。
LiLiCo、6年半のプロレス人生にピリオドーー。https://t.co/Ke12ATAICO#JudgementDDT#ddtpro pic.twitter.com/z1OJIaSvYF— DDT ProWrestling (@ddtpro) March 20, 2022
「普通の女の子に戻ります」と宣言したLiLiCoは、コスチュームの羽根をリングに残すとリングを後にした。足を引きずるLiLiCoを、最後は小田井が“お姫様だっこ”して舞台袖へ消えていった。
「こんな立派な会場で試合ができ、自分のパートナーと一緒にリングに上がれました。また仲間たちも見守ってくれました」とLiLiCo。
会見場に現れたLiLiCoは引退試合を振り返った。
「デビュー戦もここ両国国技館でした。お客さんは、“タレントが来たか”ぐらいの反応でしたが、最初の技としてドロップキックを放った瞬間、前のめりになってくれました。両国国技館の会場が狭く見えたのを鮮明に覚えています。25年前にプロレスをやりたいと思った時には、『誰だかわからない人物をリングに上げるわけにはいかない』と断られました。だったら知名度を上げようと頑張りました。縁あって7年前の2015年、45歳の時にDDTのリングに上がることができました。リングの上では毎回、怪我をしていましたが、その怪我がうれしくなるほど。次の試合のことを考えるのが本当に楽しかった。私は好きなことを仕事にするのが生き甲斐。すべてに一生懸命ですが、“プロレスラー”としての私は、間違いなく一番のオーラを発していたと思います」
夫である小田井は、「彼女は何に対しても一生懸命取り組む人です。彼女が望んだプロレスという人生を失うこと、なくしてしまうことがどれだけショックなことか」と気遣った。
「僕も未練はないです!」
そんな小田井にLiLiCoは「これからはプロレスラーとしては戦わないよね」と、話しかける。
「今日で引退してもらう。一緒に引退しよう」
「何となくそんな気がしていました。一所懸命頑張ったんだけど、何一つできていなかったから。体は張ったけど、技は何もなかった」
小田井はデビュー戦での引退を受け入れると、「僕とLiLiCoは二人でひとつ。LiLiCoがプロレスをやらないなら、僕もやらない。万一、LiLiCoがまたやることになったら、僕もリングに上がってLiLiCoの盾になります」と続けた。
だが、プロレスの魅力を知っている彰人の「少しでも未練があると、またプロレスに戻りたくなってしまうよ。言い切ることで、きっぱりと引退できると思う」というアドバイスに、LiLiCoが答える。
「未練はないです。これまでプロレスラーLiLiCoを応援してくれてありがとうございました。残念なことになりましたが、もうすっきりしています。明日から普通の女の子です。ただ、小田井にはプロレスのセンスがありました」
「僕も未練はないです!」
小田井がすかさず反応する。
「彼女の膝の状態はわかっているので、代わりに技を受けて、ちょっとでも彼女の負担を減らすのが僕の役割だった。攻撃面は彰人さんで、僕は盾でした。その役目は果たせたと思います。未練はないです!」
あの瞬間、大号泣で引退の10カウント・ゴングを聞いていたLiLiCo。そんなLiLiCoに「頑張って、ここにいるあなたは本当に綺麗だと思います」と、愛の言葉を贈った小田井。抱き合いながら共に讃え合った二人。3.20 両国。この日行われた“ダブル引退試合”は、DDTプロレスリングの伝説として永遠に語り継がれるだろう。
なお、今大会の「Judgement2022~DDT旗揚げ25周年記念大会~」の模様はプロレス動画配信サービス「WRESTLE UNIVERSE」にて独占配信されている。
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