みちのく娘!が精いっぱいの元気を届けた。“今できることコンサート”を開催!
歌って踊って、踊って歌って。そしてまた歌って踊って……。演歌・歌謡界の歌手の中で、今、いちばん元気なのは“みちのく娘!”ではないか。
工藤あやの、津吹みゆ、羽山みずきの3人による歌謡ユニット、みちのく娘!が11月30日、東京・千代田区のよみうりホールで「みちのく娘! 今できること~ソーシャルディスタンスコンサート~」を開催し、会場を熱気で包み込んだ。
▲コンサート直前、アンディ・ウォーホール風イラストパネルの前でポーズを決めるみちのく娘!の工藤あやの、津吹みゆ、羽山みずき(向かって右から)。みちのく娘!として久しぶりにファンの前に立つため、連日、猛特訓を積んできた。そんなみちのく娘!を多くのスタッフが支えてくれたと感謝する3人。
コンサートの開幕直前、3人はそれぞれの言葉で“頑張ります”と宣言していた。
工藤あやの 久々に皆さんとお会いできるのは、楽しみでもありますが、「大丈夫だべかな」っていう不安や、「成長したなって思ってもらえるかな」という緊張もあります。でも、名長い期間、お稽古をさせていただきました。メンバーと一緒ですし、支えてくださるスタッフもたくさんいます。歌は耳で楽しむものですが、(構成・演出の花柳)糸之(いとゆき)先生が目でも楽しんでもらいたいとおっしゃっていました。まさか、こんな世の中になるとは思っていませんでしたが、楽しみに待っていてくださったお客さんに感謝しながら、今日は仲間と一緒に最後まで走り続けたいと思います。精いっぱい頑張ります!!
津吹みゆ みちのく娘!としてステージからお客様の顔を見るのは久しぶりです。今日はお一人お一人の元気なお顔を目に焼き付けるような気持ちで、3人の歌と心を届けられるように頑張ります。(コロナ禍にあって)実際にお客様に会場へ足を運んでいただく形でコンサートを開催させていただきますが、当たり前だと思っていたことが当たり前じゃないんだ、というのをあらためて感じました。感謝の気持ちがあふれています。コンサートのタイトルに「今できること」とありますが、言い換えると「今しかできないこと」かなと考えました。糸之先生にも言われました。「今日は今日しかないからね」と。今でできることを精いっぱいお届けしたいと思います。頑張ります!!
羽山みずき お客様がいらっしゃる中でのステージは、みちのく娘!として本当に久しぶりで、血が騒いでいるというか、胸が踊っています。私たちの歌と、3人で稽古した踊りと、私たちの心をお客様にきちんと届けたいと思っています。私もこんな状況になると思っていなくて、お客様と時間を共有することができなくなって寂しい思いでいっぱいでした。しんどいなあって思った時もありました。ですから、今日は皆様に「ありがとう」の気持ちが届くように頑張りたい。そんな気持ちでいっぱいです。
▲和太鼓の演奏から拍子木(ひょうしぎ)の“チョン”という合図で現れたみちのく娘! 新曲「べっぴん音頭」をソーシャルディスタンスを意識した新しいフォーメーションで歌った。
開演のブザーが会場に響き渡る。暗転の中で3人の声が会場に流れる。
(羽山)お待たせしました~。準備はできてるかあい?
(津吹)私たちも全力で楽しむよ~
(工藤)皆さんも思いっきり楽しんでいってけろな。それじゃあ行くよ!
(3人)みちのく娘! 今できること~ソーシャルディスタンスコンサート~、スタートです!!
ステージの幕が上がると、みちのく娘!の第2弾シングルとして今年発売された「べっぴん音頭」から歌いはじめる。ソーシャルディスタンスを考え、当初とは異なるフォーメーションによる振り付けとなったが、3人は元気いっぱいの笑顔を咲かせた。
このコンサートでは、早着替えが見所のひとつとなっており、アンコールを含めると全8景の演出が組まれていた。
「べっぴん音頭」を歌い終わると、早着替えで第2景へ。それぞれのイメージカラーである、黄色(羽山)、赤(工藤)、ピンク(津吹)のドレス姿で再登場すると、美空ひばりの「真っ赤な太陽」をハーモニーで聴かせる。11月4日に発売されたばかりのファーストアルバム「みちのく物語」に収録された一曲だ。
▲「べっぴん音頭」からの早着替えを見せるみちのく娘!。その間30秒。観客席からは大きな拍手が送られ、3人は「真っ赤な太陽」を披露する。
「皆さ~ん、こんにちは~」「こんにちは~」「こんにちは~」。3人が観客に向かって声をかけると、観客はペンライトを左右に振りながら、拍手でも応える。
羽山が「ちょっと飛ばしすぎちゃったねえ」と感想を漏らすほど、全力でオープニングの2曲を歌うと、「大阪ラプソディー」「もしも明日が」「こまっちゃうナ」「いつでも夢を」といった名曲をカバーしていく。
▲第2景はドレス姿では「真っ赤な太陽」「大阪ラプソディー」「もしも明日が」「こまっちゃうナ」「いつでも夢を」をダンサブルに、ハーモニーをきかせ、かわいく、楽しく。聴いてよし、観てよし!
第3景は「最上川舟唄」や「花笠音頭」などの民謡や音頭ものを着物姿で踊って歌い、第4景は後述するとして、第5景はソロコーナー。それぞれ2曲ずつ歌唱し、第6景は昭和の歌謡曲コーナーとして「恋の季節」「ブルー・ライト・ヨコハマ」「天使の誘惑」をスリムラインの黒のドレスで魅惑的に、そして第7景は着物をアレンジした衣装で、「お祭りマンボ」「つんつん津軽」を披露し、エンディング曲はデビューシングル「春ッコわらし」を、“これぞ! みちのく娘!”と思わず叫びたくなるほどハツラツと歌った。
「春ッコわらし」はキャンディーズが歌った「やさしい悪魔」の作詞家としても知られる喜多條忠氏と、「マツケンサンバⅡ」を手がけた宮川彬良氏の作曲・編曲による作品で、ダンサブルに仕上がった曲だ。
▲尺八の音色が響く中、黄色の振袖姿で第3景に登場した3人は、それぞれの故郷である山形と福島の民謡「最上川舟唄」、「花笠音頭」、「会津磐梯山」を届けると、デビュー曲のカップリング曲「北国の春」(千昌夫のカバー)を、ファンのひとりひとりの心の故郷に響くように優しく歌った。
▲第5景のソロコーナー・トップは津吹みゆ。着物をアレンジした衣装で新曲「嫁入り峠」と、都はるみのヒット曲「涙の連絡船」をカバーした。デビュー5周年の津吹は来年2月28日、なかのZERO小ホールで記念コンサートを行う。
▲羽山みずきは弓道をモチーフにした新曲「弓ごころ」を届けたあと、ちあきなおみの「紅とんぼ」に挑戦した。
▲ソロコーナーの最後に登場した工藤あやのは真っ赤なドレスで新曲「大阪花吹雪」を聴かせると、梶芽衣子の「怨み節」を歌った。
▲第6景は「とーちゃん、かーちゃん」「ねえちゃん、にいちゃん」「じーちゃん、ばーちゃん」……。3人流の“レディース・エンド・ジェントルメン(ようこそ)”の掛け声で登場。映画『ドリームガールズ』を意識したセクシーな衣装で魅せた。
▲大人の女性を表現したみちのく娘!は「恋の季節」「ブルー・ライト・ヨコハマ」「天使の誘惑」を聴かせて、観客を魅了する。
▲新曲「べっぴん音頭」と、そのカップリング曲「あっちむいてほい」のミュージックビデオが会場に流されると、第7景の始まり。終盤戦の盛り上がりは「お祭りマンボ」から。そして「つんつん津軽」、デビュー曲「春ッコわらし」を元気いっぱいに。
ここまで22曲を休みなく、歌いまくって踊りまくったみちのく娘! 歌と踊りを届けるだけじゃ気が済まないのか、前半から後半への折り返し地点となった第4景では、な・な・なんと漫才まで披露していた。
このコンサートのために、みちのく娘!の3人は朝から晩まで連日練習を続け、本番当日も開場直前までリハーサルを続けていた。それほどまでに大変な作業を彼女たちはやり遂げようとしたていた。それなのに、漫才!? そんな余裕などあるはずがないじゃないか。いったい誰が?
漫才の冒頭。工藤が口火を切る。
「いやあ、みちのく娘はですねえ、朝の8時30分から夜の10時まで14時間、師匠の糸之先生はじめたくさんの人に応援していただきながらお稽古しているんです。糸之先生とスタッフの皆さんと一緒に確認しながら練習するんですが、あっという間に1日が過ぎるんです。でも、ついこの前、コンサート間際になって、こんなことを言うのよ。(糸之先生の口真似で)『あんたたち、ぴーちくぱーちく、やかましいわね。そうだ、みちのく娘!で漫才をやりなさいよ。絶対やりなさいよって言われまして、漫才に挑戦することになりました』
“糸之先生ありがとう!! おかげで彼女たちの新たな才能を見せていただくことができました” by オトカゼ
▲自分たちでネタも考えた歌謡漫才を見せるみちのく娘! 構成・演出の花柳糸之氏の思い付きで決まった漫才だったが、堂々とした漫才を披露。客席からは拍手、手拍子、笑いをもらっていた。
3人が補足する。
工藤 唐突だったんです。いつもふざけ合ってしゃべっていたら、怒られるんじゃなくて、そのまま漫才しないって言われました。
津吹 みんな東北出身なので、先生からすると、東北訛りで何をしゃべっているかわからないから、「あんたたち漫才みたいだから、その流れで漫才やりなさい」って。
工藤 東北弁の漫才師はあまりいらっしゃらない。しかも女性3人というのもあまり聞かないですよね。だから、やることになりました。
羽山 ネタは3人の性格を活かしたものにしようと決めて、かっちりやるんじゃなくて、どんどんどんどんと変えていって、それぞれの個性にあったしゃべりをつくりあげていきました。
工藤 最終的には自己紹介。タイトルつけるとすれば自己紹介かな。ただ、普通にベラベラしゃべっているだけです(苦笑)。
「もっと有名になった時に、特徴的な自己紹介をしたい」と、それぞれが練習し批評し合う漫才。アコーディオン奏者をゲストに展開する歌謡漫才に、観客は拍手で反応していた。
漫才「羽山画伯の憂鬱」
歌も上手に歌えるし、「やまがた特命観光・つや姫大使」の肩書も持つ羽山。なんでもできると持ち上げられ、羽山も得意顔になる。しかし……。
工藤 人には得意不得意っちゅうもんがあるんでございます、皆さん。
羽山 え!? 不得意ですか?
工藤 最近、羽山さんはTwitterで絵を披露さなっています。
羽山 ええ、素晴らしい!
工藤 皆さ~ん、海外旅行へ行ったことがある人はいらっしゃいますか?
羽山 いらっしゃる?
(手を上げる観客)
工藤 結構多いんですね。イギリス、行ったことあるよっていう人は?
(津吹が一枚のイラストを見せる)
工藤 イギリスのあれでございます。
羽山 素晴らしい~。
工藤 羽山ちゃん、よく見て! どっちが上か下かわからないのよ。
羽山 芸術品ですから。
工藤 何、これ?
羽山 これはですね、イギリスのディス・イズ・ビッグベンというやつでございます。
工藤 ビッグベン見たことないからわからないんだけど、皆さん、合ってますか? 私たちにはあれにしか見えないんだけど。
工藤&津吹 せ~の、麩菓子!
羽山 へええ~ッ!? 馬鹿にしてるでしょう!!!!
工藤 よっ、麩菓子画伯!
時刻は3時を指す羽山画伯のビッグベン。ちょうどおやつの時間だったのね。
▲アンコールに黄色の衣装で登場したみちのく娘! 衣装にはどこかに3人のイメージカラーが入っているが、この衣装では靴紐が黄色、赤、ピンクとなっていた。3人は構成・演出を手がけてくれた踊りの師匠・花柳糸之氏を舞台に呼び込むと、つい涙ぐむシーンも。
▲最後まで拍手の声援を送りながら観てくれたファンに、感謝の投げキッスを贈る。恥ずかしそうにしていた花柳先生もご覧の通りノリノリで。
「皆様、ありがとうございました」。
エンディング曲「春ッコわらし」を歌い終えたみちのく娘!がステージを去ると、客席からは手拍子でアンコールを要求する。
3人はショート丈の黄色のワンピ姿でステージに戻ってくると、新曲「べっぴん音頭」のカップリング曲「あっちむいてほい」を歌う。
果たして、コンサートを通じて3人の“頑張ります”は観客に届いたのか? 都はるみの「好きになった人」のイントロが始まると、手拍子が始まった。
さよなら さよなら 元気でいてね
さよなら さよなら 好きになった人
(「好きになった人」歌詞抜粋)
みちのく娘!は、感謝の気持ちを精いっぱい歌で届けた。
▲緞帳が締まる最後の最後まで、みちのく娘!の3人はファンの声援に応えていた。
特別Q&A
コンサートの前夜はどんなふうに過ごした?
羽山 昨晩は今までやったレッスンの復讐をやっていました。やっぱり本番になると緊張して頭が真っ白になってしまうこともあるので、そうなっても自然と振り付けや歌が出てくるように、いつも意識して練習しています。ですので、昨晩はいつものステージと同じことをして過ごしました。
工藤 まじめですねえ(笑)。私は、あ~腹減ったって思いながら自宅へ帰ったんですが、あ、そうだって思い出して、ガムテープを買いにコンビニへ行きました。(バックヤードで)衣装を置いておくためのブルーシートが寄れないようにガムテープで抑えるんです。で、そのあと隣のスーパーへ行って、あんまりカロリーの高くないもの、添加物の入ってないものって考えながら、ミネストローネでもつくろうとトマトだけ買ってきたんですが、結局、トマトを丸かじりして終わりました。昨日の夜はこんな感じで終わりました(笑)。
津吹 今日は朝7時50分にホールの入口に集合だったので、とにかく早く寝ようと思って、家さ帰りまして、まずはお風呂にポチャッと浸かりまして、体を温めてリラックスしながら、お稽古した動画を1曲1曲、歌いながら観て過ごして。お風呂から上がったらすぐに寝ました。なので、睡眠はばっちりです。
工藤 真面目だねえ、ふたりとも(笑)。
2020年11月4日発売
話題沸騰の ファーストアルバム
みちのく娘!「みちのく物語」
東北出身の工藤あやの、津吹みゆ、羽山みずきの3人による歌謡ユニット「みちのく娘!」ファーストアルバム。デビュー曲「春ッコわらし」やセカンドシングル「べっぴん音頭」の盆踊りバージョン、彼女たちのステージでお馴染みのカバー曲を収録したアルバム。
【収録曲】
1.春ッコわらし
2.真赤な太陽
3.お祭りマンボ
4.いつでも夢を
5.もしも明日が
6.つんつん津軽
7.好きになったひと
8.北国の春
9.べっぴん音頭(盆踊りバージョン)
2020年5月13日発売
大人も子どももみんなで踊ろう!
みちのく娘!「べっぴん音頭」
みちのく娘!の第2弾シングル。イントロから体が動き出す「べっぴん音頭」は、工藤あやの、津吹みゆ、羽山みずきの3人が女性賛歌をテーマに歌う。「あっちむいてほい」はつらいことがあっても、“あっちむいてほい”と、笑顔になろうと訴える。東北をイメージするスローテンポなメロディーが身に染みる。