みちのく娘! 「べっぴん音頭」で元気いっぱい!!
このインタビューは「ミュージックスター2020年6月号」(2020年4月発売)に行われたものです。みちのく娘!として11月30日に「みちのく娘! 今できること~ソーシャルディスタンスコンサート~」が開催されたことを記念して特別に掲載!!
みちのく娘!が前作のダンサブルな曲から一転。大人から子どもまで、みんなが楽しめる音頭をリリースしたと聞いて、さっそく彼女たちのもとへ駆けつけた!
みちのく娘!
工藤あやの×津吹みゆ×羽山みずき
世代を超えて楽しめる「べっぴん音頭」
三人 工藤あやのです! 津吹みゆです! 羽山みずきです! 三人そろって、みちのく娘!です。
――早速ですが、ステージをところ狭しと、歌って踊る「みちのく娘!」の新曲が発売されましたね。
あやの(あやねー) 前作の「春ッコわらし」とはまったく違う曲調の「べっぴん音頭」です。振り付け・監修をしてくださっている花柳糸之(いとゆき)師匠の、音頭ものをやりたいというリクエストで誕生しました。
みゆ(みゆみゆ) 東北出身の私たちにとって、身近な野菜と果物の歌です。歌えることを素直にうれしく思っています。
あやの ついに農協さんとコラボできるかと(笑)。
みずき(みーちゃん) 私は最初、「べっぴん音頭」を聴いた時、NHKの音楽番組「みんなのうた」で歌われるような曲のイメージが強かったです。子どもの頃、歌に合わせてお野菜が楽しそうに踊る映像を見ていたので、私たちの歌に子どもたちが興味を示してくれたらいいなって。
あやの 振りが通常の「みちのく娘!バージョン」に加え、簡単で、誰もが楽しめる「音頭バージョン」があって、こちらは盆踊りなどにぴったり。大人も子どももみんなでワイワイ踊れます。
みゆ 師匠がこの曲を初めて聴いた時、「スーダラ節」(ハナ肇とクレージーキャッツ)がすぐに頭に浮かんだそうです。そのイメージに近づけたいとおっしゃって、曲の始まりはカッコいい決めポーズなんですが、すぐに三枚目的なノリで歌い始めます。
あやの 親しみ感とリラックス効果もあると思うので、介護施設などでも軽い運動がてら採り入れて、楽しんでいただけたらいいですね。
みずき 「自分たちで振り付けしてみなさい」って、最初に先生から言われたね。「べっぴんという歌詞ならどうする?」とか聞かれて。三人でいろいろ考えたけど、「パプリカ」(※)という曲が振りをきっかけに世代を超えて聴かれるようになったそうなので、私たちの歌も同じように広がったらいいなと思います。
――歌詞には野菜や果物が登場しますね。1番は野菜バージョンで、レタス、人参、玉ねぎ、そして“ちょっぴり太目の大根ちゃん”。2番はりんご、イチゴ、メロン、そしてレモンが登場します。
あやの 私は三人の真ん中で「人参」の振りをするんですけど、手足が短いのに一生懸命伸ばす動きをしています。これはあやのしかいないと、指名されました!
みゆ 2番はフルーツのバージョンで「メロン」は私。手の動きは蔓(つる)のところをイメージしています。一応、高級メロンのつもりですが、(振りが)疲れるとお店の割引コーナーへ行っちゃうから頑張らなくちゃ(笑)。
あやの 鮮度抜群、みずみずしい状態でいかなくちゃダメだよ~。
みずき 私は「いちご」の担当。初めは「メロン」だったけど、フォーメーションの関係で入れ代わりました。
あやの コンサートなどでは、お客様にも振りを一緒にやってもらう予定です。「太目の大根」だったら、私たちと同じように、自分の足を指さして盛り上がっていただきます!
みずき 本当にいろいろな振りがあるんですが、家で必死に覚えてきたら、次のお稽古で全部変わってびっくり(笑)。
あやの 毎回変化する感じだったね。でもその裏側はと言いますと、ちゃんと前回のレッスンを頭に入れてきたうえで、振りが変わってもきちんと対応できる人。また、前回の振りをまったく覚えてこないで、変わったら変わったでクスっと笑って何気にやっちゃう人。さらに、完璧に覚えてきすぎて変化にゼンゼン体がついてこられない人と、三者三様いろいろありました!
一同 爆笑
※小中学生ユニットFoorin(フーリン)が歌ったNHK「2020応援プロジェクト」ソング。ダンスバージョンが話題に。2019年、第61回日本レコード大賞受賞曲。
ハードな練習を支えるのは、おいしい食事!
あやの 新型コロナの感染拡大の影響で練習場所も制限され、何とか貸していただけた狭い部屋で振りを合わせたりしたね。
みゆ 次々イベントが中止されるなか、「みちのく娘!」で三人一緒にお稽古できるというのはすごく心強いね。いい汗がかけている実感も得られて。
みずき 練習はかなりハードだけど、体の内側から汗が出ている感じでとても気持ちいいんです。
あやの みーちゃんは今、痩せるために誰よりも一生懸命です。でも先日の一日稽古は、体調不良でお休み。私とみゆは、お稽古後にお寿司を食べに行かせてもらいました。しかも、回っていないほう(笑)。
みずき 私は買いに出る元気もないから、冷蔵庫のなかの作り置きしておいたものと、コーンスープとか飲んでいたの。
あやの そうだったんだ。でも、みーちゃんはお寿司屋さんへ行っても、結局魚が食べられない。
みずき アレルギーがあるから、行っても卵焼きとか納豆巻きとか。でも、カニとエビは食べられます。意外に高くつくみたい(笑)。
あやの みんな食べることは大好き。この間は三人でお昼を食べることになって、駅ビルに入ったらいろいろお店があってすごく迷ったね。意見がバラバラで、じゃあ、「せ~の」で行きたいところに指さそうということになり・・・・・・。
みゆ 指さしたのはみんな同じでお肉! お稽古の前にもりもり食べました。お寿司はまた今度、みんなで行きましょう!
――歌詞に出てくる野菜(レタス、人参、玉ねぎ、大根)を使って料理をするとしたら、オススメのメニューはありますか?
みずき 私なら鳥の手羽先と大根、人参を入れた甘辛い煮物かな。
あやの レタスってサラダにするのが多いけど、お味噌汁もいけます。醤油汁にも合いますよ。時間ない時に、余熱で煮る程度でいいので簡単だし。普段、お皿のなかでつくねの下敷きになってばかりじゃかわいそう。
みゆ あ~、二人の会話を聞いていたらお腹が空いてきました。私は食べる専門、何でも大好きです(笑)。グ~ッ。
あやの お腹なってるべ(笑)。
スローテンポが心地いい「あっちむいてほい」
――カップリング曲は「あっちむいてほい」です。笑う門には福来るとばかりに、励ましてくれる歌詞の曲ですね。
あやの ポップな曲かと思ったら、現実的でちょっと考えさせられる歌詞と曲調です。
みゆ 田舎の砂利道をリヤカーに三人が乗って、夕日を見ながらガタガタと揺られている、そんな風景だよって(作詞の森浩美)先生が。ジ~ンと来て、この歌詞大好きです。
あやの 俳句調の歌詞で、「がんばろうよ」ではなく「そうだよね」と寄り添うような歌。私たちがこんなスローテンポな曲を歌うんだと、驚きも正直ありました。
みゆ そうね。二番の「名前もない 星屑が 遠くの夜空からきらり」という歌詞など、東北の故郷を思い出し、心に染みました。
みずき 「どんなにアクセク焦っても」という歌詞に、「だな~」と。そうなりがちな自分への、励ましも含めた言葉だなと思っています。
あやの 現実から目をそむけたくなって「あっちむいてほい」をするんですが、やるべき時にはやらなくちゃいけない、逃げちゃいけない。個人的にはそんなふうに受け取っています。私、学生時代は人付き合いがなかなかうまくいかなくて、一匹狼でしんどい思いばかりしたんです。デビューしてからもしばらく苦戦しましたが、必死に頑張るうちに応援してくださる方が増え、歌う楽曲の幅も広がり、しゃべりを買われ、大阪のラジオ番組にも呼ばれて「工藤あやの」のいろいろな面を引き出してもらっています。だからこの曲は、そんな自分への応援歌でもありますね。そして、私は強がるわりには人一倍へこむタイプなので、二人に会えてよかったなと、あらため思っています。
みゆ 演歌歌手は一人で活動することが多いのですが、私もこのユニットに出会えたことで、仲間を信じるなど、ひとりでは得られない感情が芽生えてきました。それが自分自身の幅を広げることにもなっているし、私ってヘンなところで型にはまってしまう性格なんです。そこを一緒の二人が殻を少しずつ破ってくれる、そんな気がしています。
みずき 私は三人のなかでいちばんお姉さんですが、二人に引っ張ってもらっています。あやのさんは同じ山形出身のはずなのに関西弁がすっかり板について、トークでは学ぶところがいっぱい。みゆはいつもおっとりとマイペースで、かわいい妹みたいです。すごく仲良しの三人だけど、でも三者三様。それがむしろいいのかなって思います。
あやの 振りでも同じ動きをやっているはずなのに、どこか違うしね。自分で着物の掛け衿(えり)を付け替える時も、それぞれやり方が違うんですよ。細かい人と、ややおおざっぱな人。そもそも、忘れて衿を持ってこない人もいて(笑)。
みゆ アハハ。似てると思っていたところが、確かに全然違ったということが多いね。
あやの 「春ッコわらし」のジャケット写真は、じつはケンカ(!!)している時の写真なんですよ(笑)。師匠から言われたことを説明していた時に、うまく伝わらなくて、「どうして私の言ってることがわからないの」って。不機嫌になりそうな私の肩に手を当てて、みーちゃんが「まぁまぁ」って抑えてくれているカットです。おかげでちょうどいい感じで、私の顔もキリッと撮影されています(笑)。
みずき そうだった(笑)。
みゆ 私は全然記憶ない~。
あやの そう、そういう関係なんです。いい意味で後を引かない。今だから言える話でした!
一同 三人もちつもたれつ、これからも頑張ります。よろしくお願いします!!
(文=藤井利香 写真=長谷川秀司)
あたなの未来を予想して?
工藤あやの
一石四鳥くらいに物事をやっちゃいたいタイプです。やれることは何でもやって突っ走り、歌をやり切ったと思ったら、いつか日本を離れて途上国へ行って、バケツで水を一緒に運ぶといったボランティア活動をしたいですね。あわよくば三人が一緒だったら楽しいだろうな。
津吹みゆ
宝塚歌劇や大衆演劇など舞台を観ることが好き。将来は、役者として活動できたらいいな。昨夏、福島で初めて時代劇の舞台に立たせていただき、それがすごくうれしかった。もっと勉強して、いつか宝塚のような洋の舞台にもチャレンジできたらいいですね。
羽山みずき
すんごく遠い話ですけど、縁側で歌を歌いながら、たくさんの孫の頭を「かわいいね」ってなでながら過ごしていたい。人生の最後の希望(笑)。そこに至るまでには、個人としても「みちのく娘!」としても、精いっぱい歌い続けます。海外でも歌えたらいいですね。
2020年5月13日発売
大人も子どももみんなで踊ろう!
みちのく娘!「べっぴん音頭」
「べっぴん音頭」
作詞/荒木とよひさ 作曲・編曲/宮川彬良
c/w「あっちむいてほい」
作詞/森浩美 作曲・編曲/宮川彬良
日本クラウン CRCN-8333 ¥1,227+税
みちのく娘!の第2弾シングル。イントロから体が動き出す「べっぴん音頭」は、工藤あやの、津吹みゆ、羽山みずきの3人が女性賛歌をテーマに歌う。「あっちむいてほい」はつらいことがあっても、“あっちむいてほい”と、笑顔になろうと訴える。東北をイメージするスローテンポなメロディーが身に染みる。
profile
みちのく娘!(みちのくむすめ!)
東北出身の女性演歌歌手、工藤あやの、津吹みゆ、羽山みずきの3人による歌謡ユニット。それぞれソロでも活動するが、ユニットでの歌唱が反響を呼び、2018年11月、「みちのく娘!」として「春ッコわらし」を発売。キャンディーズの「やさしい悪魔」でも知られる喜多條 忠氏の作詞、「マツケンサンバⅡ」を手がけた宮川彬良氏の作曲・編曲によるダンサブルな楽曲が注目された。2020年5月には第2弾シングル「べっぴん音頭」をリリース。
りんごちゃん担当の“あやねー”こと工藤あやの
くどう・あやの◎1994年5月7日、山形県生まれ。“山形のひだまり娘”として2014年1月、「さくらんぼ 恋しんぼ」でデビュー。明るく飾らない性格で、みちのく娘!ではお姉さん的存在。最新曲「大阪花吹雪」では大阪を舞台にした、自身初のご当地ソングを歌う。
メロンの蔓(つる)を表現する“みゆみゆ”こと、津吹みゆ
つぶき・みゆ◎1996年2月28日、福島県生まれ。“どんと響く!直球ボイス!”をキャッチコピーに2015年2月、「会津・山の神」でデビュー。今年2月にはデビュー5周年記念曲「嫁入り峠」をリリース。10月には新装盤「嫁入り峠/夕霧の月」を発売。2021年2月28日には東京・中野のなかのZERO小ホールで、「5周年コンサート2021~未来に向かって Go miyu Go~」を開催する。よく笑い、元気いっぱいユニットを盛り上げる。
キッスがベリーのイチゴちゃん。“みーちゃん”こと羽山みずき
はやま・みずき◎1991年12月7日、山形県生まれ。出羽三山で巫女として務めていたことから、“開運演歌女子”のフレーズで、2016年4月「紅花慕情」でデビュー。おっとりとした雰囲気で、周りを和ませる。2020年7月には弓道をモチーフにした新曲「弓ごころ」をリリースした。羽山自身、弓道2段の腕前。