
佳山明生、ギターが光る「霧笛が泣いて…横浜」
佳山明生のラブソング
佳山明生の新曲「霧笛が泣いて…横浜」は「溢れる涙こらえて 生きていく私」(歌詞より)と、運命のいたずらで図らずも別れてしまった恋人を思う作品。演歌ギターの名手、斉藤 功氏によるアレンジと演奏が、佳山の歌うラブソングの世界観を引き立てる。
――「霧笛が泣いて…横浜」は約2年ぶりの新曲となります。女性が主人公で、愛した人への変わらぬ熱い思いを歌っておられますが、ギターの演奏が印象的です。
佳山 テレビ番組の仕事でした。ギタリストの斉藤 功先生とご一緒した時、先生のギターだけで歌うコーナーがありました。その時、「街の灯り」(1973年/オリジナル歌手:堺 正章)を歌ったんですが、斉藤先生が「いやあ、佳山くん、歌うまいねえ。佳山くんの『街の灯り』は絶品だよ」とおっしゃってくださった。演歌ギターに関しては、日本一の先生が言ってくれたんですね。それで僕の気を乗せたというか。「次は『街の灯り』みたいな作品を歌いたい」とディレクターに話したんです。ディレクターも「いいじゃないですか。だったら斉藤先生のギター伴奏で、アレンジも先生にお願いしましょう」と。斉藤先生もこちらのお願いを快く引き受けてくださって、(曲をお渡しした)翌日か翌々日にはもうアレンジができあがっていたんです(笑)。
――翌日か、翌々日に?
佳山 そう。「先生、もうできたの?」ってお聞きしたら、「いつでも来て。歌入れようよ」って。先生の自宅にはスタジオがあって、レコーディングもできるんですよ。
――作詞が夢 ユメ子氏で、作曲が池 毅氏です。2016年の日本作詩大賞にもノミネートされた「夢には夢を 花には花を」と同じ先生による作品ですね。
佳山 ええ。でも、今回は曲が先でした。池ちゃんに「『街の灯り』みたいな曲調で書いて」ってお願いしました。1週間後ぐらいにデモテープが送られてきて、ディレクターからユメ子さんに曲を送ってもらった。歌謡曲のほとんどは先に詞があってメロディーがあとです。今回、カップリングに収録した「泣きながら夢を見て」っていうデュエット曲も、杉本眞人先生が先にメロディーを書いてくださって、ちあき哲也さんがあとで詞を入れものです。
――「泣きながら夢を見て」は1987年の作品で、カラオケの定番デュエットソングにもなっています。
佳山 メロディー先行であとから詞を入れることで、新しい歌謡曲ができる気がしますね。
――「霧笛が泣いて…横浜」のレコーディングですが、斉藤先生のご自宅での歌入れはいかがでしたか?
佳山 2回歌っただけなんですよ。後日、徳間ジャパン(のスタジオ)で歌い直したんだけど、歌が上手くなりすぎちゃった。「ダメだよ、もっとさらっと歌わないと」って(笑)。斉藤先生が「このままでいいんじゃない? あんまり上手にしつこく歌うよりもさらっとね。そのほうが全体のかたまりとして心地いいね」って言ってくださった。それで先生のところで歌ったものが、そのままほぼ作品となりました。
――ギターの演奏での歌唱はいかがでしたか?
佳山 気持ちよかったねえ。斉藤先生の演奏は日本一ですからね。普通のギタリストでは弾けないですよ。先生も頑張ってくださったようで、冗談を言ってました。「本番ではこんなに弾けないかもしれない」って(笑)。
――作品づくりの中で、“気持ちいい”という言葉が出るのは素敵ですね。
佳山 今までの作品づくりはディレクターが中心となっていました。ディレクターのイメージが先で、そのイメージに合わせて作家の先生が決まっていきました。でも、今回は最初から僕が「池ちゃんに書いてもらうから。詞はユメ子さんにお願いするけどいい?」と、ディレクターに相談しました。そこがスタートでした。だから下支えしてくださった先生をはじめ、すごくいいファミリーに囲まれての作品づくりになりました。出前されたものを、ただ食べるんじゃなくて、最初から一緒につくったものをいただく、という感じがします。曲を聴いていただければ、僕が気持ちよく歌っている感じが出ていると思います。
2020年9月16日発売
ギター・サウンドが光る
佳山明生「霧笛が泣いて…横浜」

「霧笛が泣いて…横浜」
作詞/夢 ユメ子 作曲/池 毅 編曲/斉藤 功
c/w「泣きながら夢を見て」(with:有沢美智子)
作詞/ちあき哲也 作曲/杉本眞人 編曲/前田俊明
c/w「想い出たずね人」
作詞/麻 こよみ 作曲/はせゆうすけ 編曲/竜崎孝路
徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-91297 ¥1,227+税
永遠の夫婦愛を歌った「冬茜」。名曲として残る作品との声も多く、大切に2年間歌ってきた。そんな佳山が2年ぶりにリリースした「霧笛が泣いて…横浜」は、運命のいたずらで別れてしまった恋人を、愛おしく思う女性が主人公のラブソング。
カップリング曲の「泣きながら夢を見て」は1987年の作品。これまでに貴美、美川憲一、鮎川ゆきと、デュエット相手を変えてリリースしている定番ソングだ。
今回のパートナー、有沢美智子は1981年に「能登の夕陽/夜明け酒」でデビューした富山県・金沢出身の歌手。石川県歌謡文化協会の副理事長も務め、歌唱指導やカラオケ大会の審査員なども務めている。
「想い出たずね人」は2004年に別のレーベルからリリースした作品。佳山は「どうしてもカップリング曲は歌う機会が少なく、いい歌なのに人知れず消えてしまうことがあります」と言う。あえて新曲を準備するのではなく、過去の作品に光を当てたいと、人気曲をカップリングに入れた。
Q:カップリング曲「泣きながら夢を見て」では、今回は有沢美智子さんとデュエットされています。
佳山:21年前(の1999年)には美川憲一さんとも歌ったんだけど、今度、新録することになり有沢美智子さんとご一緒させていただくことになりました。僕のディレクターと、有沢さんのディレクターがたまたま同じだったんです。
Q:もう一曲の「想い出たずね人」の選考理由は?
佳山:あまり品定めはしてなくて、最初から「泣きながら夢を見て」と「想い出たずね人」に決まっていました。「想い出たずね人」は僕が作曲した作品です。「はせゆうすけ」はペンネームです。お客さんからずっと、いい曲だねって言われていて、リクエストも多かった。前回のリリースから月日も経っているし、今、「想い出たずね人」を出せば、新鮮な気持ちで聴いていただけるんじゃないかと、収録することになりました。