渚ひろみの「月影の宿」~優しいメロディーに乗せて歌う一途な女心~

福岡を拠点に活躍する渚ひろみのサードシングル「月影の宿」が3月17日に発売になった。数々の人生経験を経る中、女性らしさを忘れずにパワフルに生きてきたハンサムウーマンが歌うのは、奥ゆかしく一途な日本女性の姿を描いた王道演歌。自ら意欲作と語る新曲への思いを聞いた。

 

今だからあえて歌いたかった”女性の恋”

Q 2015年に、“スイーツ親方”として有名な第62代横綱・大乃国さんとのデュエットシングル「博多中州は恋の町」でデビューされた渚さん。3作目となる今作「月影の宿」は、どんな曲ですか?

 主人公はとても優しい女性です。寂しい山の宿で悲しみや辛さも全部胸に秘めて、愛する男の人が逢いに来るのを一途に待っているという切ない曲です。それがまた宮下健治先生の作ってくださった優しいメロディーによって、素晴らしい仕上がりになりました。

Q 今作のコンセプトはどのようにして生まれたのですか?

 「追ってあなたを困らせることはありません」という女性。追いかけられたら困る男性。道ならぬ恋の歌ですが、最初からそう決まっていたわけではありません。ただ、今コロナ禍で大変な状況の中ではありますが、私はあえて悲しい恋でも幸せな恋でもいいから、”女性の恋”をテーマにした歌を歌いたいです、というお話を作詞の坂口照幸先生にさせていただいて書いていただきました。

Q そして、この「月影の宿」が出来上がってきた時はいかがでしたか?

 やった!と思いました。とても素敵な曲をいただけて本当にうれしかったです。ひと昔前の時代のような歌ですけれど、女性の奥ゆかしさがとてもいいですよね。

Q 歌われた時にその女性の奥ゆかしさなどを表現するために何か心がけられたことはありますか?

 ささやくように柔らかく。そして強く歌うところは強く、と詞の内容に合わせて強弱をつけることは意識しました。「もしやあなたの身の上に」と本当に心配して、心の中だけどすごく気にかける感じで歌ったり……。なんていい歌なんでしょう(笑)。

Q 渚さんがとくに好きな箇所はどこでしょうか?

 二番の最後なんですけれど、「窓をかがみに化粧して 背伸びして待つ 月影の宿」。ここがとくに好きで、背伸びして愛する人を待つなんて女性らしいなと思います。切ないですけれど、実は私もこういう経験ありますよ(笑)。

Q 素敵ですね! だからこそいっそう感情も入りますよね。

 そうなんです。でも、気持ちはわかりますけれど、どう上手に表現していくのかは今もまだ課題です。前作の「雪雀」も同じく待つ女なんですよ。だから「待つ女シリーズ」を歌っていこうかなと密かに考えたりしています(笑)。

Q 渚さんは待てるタイプなんですか?

 私は自分から行くほうですね(笑)。なので、恋心は激しく燃えているんだけれど性格は激しくない、相手を困らせるようなことはしませんというような健気な女性を演じてみたいと思ったのかもしれません。

Q 篠笛やストリングスが奏でるイントロからインパクトがすごいですよね。メロディーを初めて聴かれた時の第一印象は?

 最初デモテープをいただいた時は、宮下先生の声が男らしくて低い声で歌われていましたので、「どんな感じで歌ったらいいんだろう、とりあえずメロディーを覚えなきゃ」と思いました。オケ録りで初めて聴いたんですが、スタジオに行ってミュージシャンの皆さんの演奏を聴いた時に、柔らかい笛の音から入っていったので「ああ」と感動して背筋が伸びました。

Q レコーディングはいかがでしたか? スムーズでしたか?

 全然スムーズじゃなかったですよ! 最初はガチガチに緊張して歌えなかったです。いつものことですけれど「まず歌ってみてから悪いところを直していきましょうね」と先生方に言われて、歌うとどんどん修正点を示す赤ペンが増えていくんですよ。よく見たら全部やないかい!って感じでした(笑)。でも前作の時はもっときつかったですね。注意されたことを忘れないように、まだまだこれからも練習を続けようと思います。

Q とくに先生方に指摘されたのはどういったところだったんですか?

 宮下先生からは、「優しく歌うところは優しく歌っていいんだけど、もう少し声を出していいよ」とアドバイスをいただきました。あとはブレスの仕方とか、伸ばすところはしっかり伸ばしてと発声と伸ばし方について教えていただきましたね。

Q カラオケで歌う際のワンポイントアドバイスはありますか?

 出だしの「いいのよ」は優しく。あとはメロディーを的確に覚えていただいて、ブレスの吸い方を間違えないようにしていただければ。最後の「月影の宿」は、ホールだったら三階席を見るくらい、空を見上げるように歌ってみてください。

Q 最後に、ファンの皆さんやオトカゼ読者へメッセージをいただけますでしょうか。

 3月17日に新曲「月影の宿」が発売になりました。優しい女性の奥ゆかしさを表現して歌っております。一方のc/w「硝子(ガラス)のタンゴ」では、何か影がありそうな男性を愛するちょっとずるい女性を歌っております。どちらもとても素晴らしい曲ですので、詞をよく理解して思いを噛みしめるようにぜひカラオケで歌ってみてください。

 

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2021年3月17日発売
渚ひろみ「月影の宿」

「月影の宿」
作詞/坂口照幸 作曲/宮下健治 編曲/周防泰臣
c/w「硝子(ガラス)のタンゴ」
作詞/坂口照幸 作曲/宮下健治 編曲/周防泰臣
テイチクエンタテインメント TECA-21013 ¥1,227円+税

“スイーツ親方”として有名な“第62代横綱”大乃国とのデュエットシングル「博多中州は恋の町」でデビューした渚ひろみの3作目のシングル。「月影の宿」は、寂しい山の宿でひとり愛する男性がやってくるのを健気に待つ女性の姿、道ならぬ恋の激しさを描いた切ない一曲。c/w曲の「硝子(ガラス)のタンゴ」は、もともとバンドのボーカルとして活躍していた渚が得意なノリの良いポップス調の作品。「お互いにガラスの上で踊るように割れないように慎重に、関係が壊れないように探り合っているちょっとずるい男女の姿を歌っています。元宝塚の友達が振りを付けてくれました。そこも見どころです」(渚)

Profile
渚ひろみ(なぎさ・ひろみ)
3月14日、福岡県生まれ。幼い頃より歌が好きで18歳の時、東京・渋谷で開催された生バンドのコンテストに飛び入り出場し、レコード会社からスカウトされるが両親の反対により断念。10年前からヘアメイクアーティストとして、数々の歌手のメイクを担当し活動。同時に司会、法話説法の勉強、歌のレッスンに取り組みながらイベント企画会社を起業。地元・福岡を拠点に精力的に活動の場を広げ、2015年に“スイーツ親方”として有名な“第62代横綱”大乃国とのデュエットシングル「博多中州は恋の町」で念願の歌手デビューを果たす。2014年「日本アマチュア歌謡連盟(NAK)・福岡支部」を設立。事務局長を務めるなど、多方面で活動している。

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