黒川真一朗と茶々

猫星茶々の演歌みち~黒川真一朗さんの新曲「誰かあいつを知らないか」は懐かしくて、甘酸っぱい~

2月10日に新曲「誰かあいつを知らないか」をリリースした今年で歌手生活18年目を迎える黒川真一朗さん。渋さと爽やかさを兼ね備えた男の魅力たっぷりの黒川さんに、オトカゼ特約レポーターの猫星茶々が会いに行ってきたにゃ!

 

モノクロの恋愛映画のワンシーンを観ているような作品

はじめまして! 猫星茶々です。黒川真一朗さん、今日はよろしくお願いします!

黒川 茶々ちゃん、黒川真一朗です。よろしくお願いします。

新曲「誰かあいつを知らないか」が2月10日に発売になりました。もうタイトルからしてインパクトがありますよね。まるで映画のタイトルみたい!

黒川 そうなんです。コンセプトとしては、昭和の時代のカラーではなくモノクロの恋愛映画のワンシーンを観ているような作品をつくりましょうというところから、菅麻貴子先生に書き下ろしていただいたんです。茶々ちゃんの言う通り、まさしく内容も映画のような作品です。僕のオリジナル楽曲の中では初めての感じですね。

たとえばどんなところですか?

黒川 これまでは、どちらかというと男性が女性にふられて、そこで初めてその女性の大切さを知って追いかけるんだけど、もうその人は振り向いてくれない……というような物語が多かった中で、今回は淡くて甘酸っぱい恋愛の作品なんです。主人公の男性には忘れられない女性がいて、その人は真っ赤なバラが好きだった。彼女を思い出しながら、旅した先をもう一度訪ねて探すという。今の時代だったら携帯もメールもあって、すぐにどこにいるかわかっちゃうし探しに行かないと思うんですよ(笑)。それがない時代の、“もしかしたら自分と同じような気持ちで愛する女性が思い出の場所にいてくれるんじゃないか、という思いで旅をする男の歌。逆に惹かれるっていうんですかね。こういう物語があったらいいなと思いましたね。

モノクロの映画をイメージして制作されたとのことですが、それはどういうきっかけからだったんですか?

黒川 実は、一番初めにこの曲をいただいた時は、詞が今とはちょっと違うものでした。作詞家の菅先生がイタリアのベネチアに旅をした時にこの物語を書いていただいたんですけど、ベネチアには歌詞に出てくるため息橋という橋が実際にあって、ある伝説があるんですよ。

伝説⁉

黒川 はい。そのため息橋の下で愛し合う二人が日没の瞬間にキスをすると、一生の愛を得られるという伝説なんです。

ロマンチックだにゃ~~♡

黒川 その伝説をもとにイタリアが舞台の物語を書いていただきまして、僕としては初めての海外作品となるところだったんですが(笑)、師匠の水森英夫先生から演歌でイタリアは行きすぎでは? 日本でも異国の匂いのする場所がたくさんあるから、まずそこを皆さんにイメージしていただけるように少し日本に戻しましょう、ということで、詞を少し入れ替えていただきました。

日本にも異国情緒あふれる都市はいっぱいありますよね。

黒川 僕は一番先に浮かんだのは長崎だったんですけど、水森先生は横浜とか神戸。編曲家の伊戸先生は詞を見た時に小樽って思ったみたいでみんなバラバラでした(笑)。

偶然会うかもしれないというところが甘酸っぱい

まず霧笛とカモメの鳴き声で始まるイントロがとても美しくて、その異国の情景が目の前に浮かびました。

黒川 モノクロの映画の幕がパーっと開くような雰囲気の編曲にしていただきました。とても素敵で気に入っています。

キーワードとして「真っ赤なバラ」が出てきますが、歌詞の3番に女性の名前が出てきて、それが「さちこ」さん。編集長が言ってました。「さちこって言えば、昭和のメロドラマには欠かせない名前だって。幸子なのに不幸になったり」って(笑)。

黒川 ここもね、最初はイタリアだったからちょっと違う名前だったんですけど、日本を舞台にするとなったのでやっぱり日本の女性の名前でしっくりくる名前をみんなで考えて……「さちこ」だ!となったわけです。それもはじめはカタカナにするかひらがなにするかでも悩みました。1時間くらい(笑)。

すれ違いが多かった時代の恋愛って切ないですよね。

黒川 会いたくても会えないっていうのは、今はあまりないですからね。昭和の時代の映画をご覧になっていた人たちには、懐かしさを感じていただけるような曲ではないでしょうか。実際この歌をいただいた時に、僕は白黒映画って観たことなかったんですよ。それでちょっと観てみようと思って、古い恋愛映画を観ました。また、『リトルロマンス』という映画も観たのですが、これがまさしくこの曲にほぼピッタリでした!  イタリア映画で、主人公の年齢がちょっと若いんですけど、ゴンドラに乗って、ため息橋の下でキスをするんですよ。最終的には別れてしまうんですけど、『リトルロマンス』を観ていただくと、歌の世界観を感じていただけるんじゃないかなと思います。

茶々、調べたんですけど、『リトルロマンス』って1979年(昭和54年)の映画で、ダイアン・レインさんという女優のデビュー作なんですね。とってもおしゃれな作品でした。黒川さんの新曲では「ため息橋で くちづけ交わし」(1番歌詞)って、”キス”が”くちづけ”と表現されています。そこも昭和の雰囲気ですね。

黒川 「誰かあいつを知らないか」では、忘れられない女性を探しに行ったというだけで、物語の途中で終わっています。別れてしまってから何年後かの話ですから、実際に会ったら「ええっ!」ってなるかもしれないですよね。よく同窓会で好きな人にあったら「うそっ!」ってことがあるじゃないですか(笑)。だから、会わないままいい思い出で終わってるというところが、そして、偶然会うかもしれないというところが甘酸っぱい感じでドラマチックです。

黒川真一朗

見た目も爽やかな黒川さん。ご本人も「いくつになっても爽やかに自然に歌っていける歌手でいたいですね」っておっしゃっていましたよ。様々なジャンルの歌に挑戦しながら、息の長い歌手でいるのが、目標だそうです。

あんなに褒めない水森先生がすごく褒めてくれた

師匠である水森先生が作曲を手がけられていますが、歌われてみてメロディーについてはいかがですか?

黒川 水森先生のレッスンでは、いきなり詞をいただいて1番を先生が歌われて2番から自分が歌わなくてはいけないんです。難しい曲はやっぱりすぐには歌えないんですけれど、この曲はパッと歌えたのですごく覚えやすい、入りやすい作品だなと思いましたね。

黒川さんの高音がとても爽やかに響くメロディーですよね。茶々ももう歌えますよ♪

黒川 他にも候補の曲はあったんですけど、いろいろ歌わせていただいた中で水森先生に「これが一番黒川の声質にも合っている」と言っていただいて、今回この作品になりました。そうそう、プロモーションビデオを撮った時の話なんですが、撮影しながら僕が歌っていたんです。そうしたら、「黒川以外の声が入ってるけど誰? 歌ってるの誰?」って。あるスタッフの人が無意識で歌ってたんですよ!  自分で歌っているのも気づかずに「真っ赤なばらが~」って(笑)。

なんと!(爆笑)

黒川 結構大きな声で歌われていたのでびっくりしましたけど(笑)、逆にそれを聴いた時に“無意識で歌っちゃうってすごくない⁉”って。なんかうれしかったですね。

水森先生からは何かアドバイスをいただきましたか?

黒川 それが……、レコーディングもいつも3、4回は最低でも歌うんですけど、今回は1回歌っただけで「いい」と。あんなに褒めない先生が! いつもいろいろ言われる先生が(笑)!  今回は「今までで一番よかった」とすごく褒めてくれたんです。本当にうれしかったですね。

ご自身でも手ごたえはありましたか?

黒川 そうですね。今までの作品の中でも歌いやすさでいうと3本の指に入ると思います。歌の中で自分なりに遊びじゃないですけどポイントをつくって歌わせていただいています。とくに注意していることは、明るく歌うところと暗く寂しく歌うところのふたつ。前半の四行くらいは幸せな思い出を語っているところ、なので全体的に明るく、幸せな時をイメージして。そして、最後の二行だけ“本当に会いたい”という気持ちで歌っています。

初心に戻る。一度立ち止まってわかった歌への愛

黒川さんは今年歌手生活18年目を迎えられて、大きな20周年の節目も目前ですね。18年間歌われてきて、ご自身で何か変わったなと思うことはどんなことですか?

黒川 1年目2年目の時はもう歌うことに必死でお客様の顔も見ていられませんでした。とにかく歌えることが楽しくて、仕事が入らない時なんか“なんで入らないんだろう? どこでも歌うのに”って、お客様の前で歌って聴いていただけるのがすごく楽しかったんですよね。だんだん歌にも余裕が出てきて、徐々に徐々にですが、歌も上手くなってきているかな。でも、18年も歌っていると正直歌いたくない、という時もたくさんありました。いろいろなところで驕りが出ている部分もあったと思うんですけど、今回のコロナ禍で一度立ち止まって、「早く皆さんの前で歌いたい」とか「あぁ、自分は歌が好きなんだ」と気づくことができて、初心に戻ることができました。改めて歌に向き合える気力が養えたというのは、20年ももうすぐですので、すごく自分の中では有意義だったと思います。

悪いことばかりではなく、自分を見つめ直す時間が持てましたよね。20周年に向けて、今後どういう歌い手になっていきたいなどはありますか?

黒川 そうですね。水森先生から「黒川は故郷を舞台にした、温かい歌をこれからも歌っていける歌手になるといいな」と言っていただいているので、恋愛の作品も歌わせていただいていますけど、最終的には家族愛や故郷への思いとか、いくつになっても爽やかに自然に歌っていける歌手でいたいですね。一番じゃなくても、ってこんなこと言ったら怒られちゃうかもしれないけど(笑)、息の長い歌手でいたいなと思います。いろんなジャンルにも挑戦して、そこでまた新たな黒川真一朗の顔が出せていけたら。

その前に、早くこの「誰かあいつを知らないか」を皆さんの前で披露できる日が来ますように!!

黒川 はい。今はまだこのような状況で、どこまでキャンペーンやイベントができるかわからないですが、水森先生からも「自信を持って歌える曲だからな」と言っていただいたので、僕も早く生で聴いていただきたいなと思いますし、ファンの皆さんのお元気な顔を見たいです。

 

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2021年2月10日発売
黒川真一朗「誰かあいつを知らないか」

「誰かあいつを知らないか」
作詞/菅麻貴子 作曲/水森英夫 編曲/伊戸のりお
c/w「下北慕情」
作詞/菅麻貴子 作曲/水森英夫 編曲/竹内弘一
徳間ジャパン TKCA-91331  ¥1,227+税

黒川の伸びやかな高音が爽やかに響く表題曲「誰かあいつを知らないか」は、古き良き時代のモノクロ恋愛映画をコンセプトに、懐かしさを感じさせる異国情緒あふれる雰囲気の作品。カップリング曲の「下北慕情」は2018年に発売されたアルバムで収録し、ファンの間でシングル化を望む声の多い楽曲。

Profile
黒川真一朗(くろかわ・しんいちろう)
1972年8月29日、静岡県生まれ。高校生の時、地元のカラオケ大会で優勝。卒業後、一度ホテルに勤めるが、1994年「第1回 五木ひろし歌謡コンクール」で優秀賞を受賞し、歌手を目指す。1999年、「桐生なおと」の名で歌手デビューを果たし「なみだ雨」を発売。その後、作曲家・水森英夫の内弟子となり、2003年、黒川真一朗に改名し「家族」でメジャーデビュー。以降、男らしさと優しさを兼ね備えた歌声でファンを魅了。今年デビュー18年目を迎え、さらに味わい深いその歌唱力で今後の活躍が期待される。最近の趣味は料理。コロナ禍をきっかけに始めたといい、現在ではまるで料理人のように盛りつけにもこだわり、本格的な料理を作れるようになった。

黒川真一朗公式HP
黒川真一朗オフィシャルブログ
黒川真一朗公式Twitter
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