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西崎緑

西崎緑が芸道60周年を祝う感謝の集い。歌、踊り、芝居の三刀流を披露。松浪伽乃里や二見颯一も華を添える

西崎緑が10月3日、東京・文京区の「東京ガーデンパレス」で芸道60周年を記念した感謝の集いを開催し、今年4月に発表した芸道60周年記念曲「かもめ」のほか、西崎流新宗家として日本舞踊なども披露し、「これからも楽しい時間を皆さんと一緒に共有したい」と感謝した。

会場には全国からファンが来場したほか、大勢の歌手仲間も駆けつけ、ゲストの舞踊家・松浪伽乃里や“演歌第七世代”の二見颯一もステージを盛り上げた。

西崎緑

西崎緑は1960年に日本舞踊・西崎流の家元に生まれた。3歳のときには日本舞踊の初舞台を踏み、レコードジャケットのモデルを務めたことがきっかけとなり、遠藤実氏にスカウトされ、「小さなプリンセス」で歌手としてもデビューした。当時7歳だった。

また14歳のときには、平尾昌晃氏の秘蔵っ子としてTV番組『必殺シリーズ 暗闇仕留人』の主題歌「旅愁」を発表。空前の大ヒットを生んだ。

さらに子役としてテレビドラマやCMに出演していたが、レギュラー出演した「必殺シリーズ」では女優としても開花。歌・舞踊・芝居の三刀流で活躍しながら、西崎流新宗家として「西崎流美緑会」を率い、後進の指導育成を行っている。

西崎緑

西崎緑

「60周年の感謝の集いにお越しくださいまして本当にありがとうございます。60年というのは意外と長い芸能生活だと思います。今日は60年を90分に凝縮して観ていただきたいと思います」

西崎流美緑会の三木くるみ、塩沢優、西崎緑紗、西崎緑亜と一緒に「花笠音頭」で登場した西崎は、「長い月日の間に、すごく素晴らしい歌、お芝居、踊りとの出会いがあったんですけれども、やはり私にとって一番の大きな出会いというのは“ 必殺シリーズ”かなと思います」と、前半は必殺シリーズの主題歌「旅愁」「さざなみ」「流星」を披露した。

西崎緑

西崎緑が20歳のときに出演した『必殺橋掛人』では女優としても飛躍。左から高橋悦史、京マチ子、西崎みどり(当時)、本田博太郎。

この必殺シリーズでは、女優としても大活躍した。

「10代の頃から必殺シリーズのドラマにも出演させていただくことになりました。(『必殺仕舞人』では)大女優の京マチ子さんと共演させていただいたことは財産だと思います。このときは“坂東京山一座”という旅芸人の中の踊り子の役だったんですが、何作か出ているうちに、私、元締めになっちゃって。(『必殺橋掛人』では)尼さんになって、お金を差し上げる役に昇格したんです(笑)」

必殺シリーズでは、藤田まことや山田五十鈴らとも共演し、西崎はこちらも貴重な経験となったと明かした。

西崎緑

松浪伽乃里と「深川マンボ」を披露する西崎緑。松浪は昨年、浅草公会堂で芸道65周年記念公演「舞 まいうぇい」を開催。この公演には西崎も参加し、2人は「深川マンボ」を踊っている。

感謝の集いの中盤は舞踊と歌芝居の世界。まずは西崎流民謡の代表作「深川マンボ」を、元松竹歌劇団の松浪伽乃里と一緒に踊った。「深川マンボ」は初代・西崎緑氏が昭和22年頃に日劇ダンシングチームの公演時に振り付けをしたもので、流派を超えて踊り継がれている。

昨年、芸道65周年を迎えた松浪はこの「深川マンボ」を松竹歌劇団時代から55年も踊り継いでおり、海外公演でも披露している。

「私は5歳ぐらいから踊っているので、もう58年踊っていますが、松浪さんが『深川マンボ』をこんなにも長く、そして大事に踊っていただいていることに感銘しています。早い踊りなので、若い人でも大変なのですが、松浪さんは85歳だそうです!」

二見颯一

西崎緑のもとで日本舞踊を学んでいる二見颯一がゲストとして参加。新曲「罪の恋」などを披露した。

二見颯一

二見颯一は西崎流美緑会のメンバーと「ところがギッチョン恋之介」を届けた。

西崎と松浪の2人が以心伝心で踊ると、二見颯一がゲストとして登場。美緑会の4人とともに、「ところがギッチョン恋之介」を届けた。同曲はファーストミニアルバム『颯 ~はやて~』に収録された作品で、人気曲となっている。振付は西崎が行った。

西崎緑、二見颯一

西崎流の門下生として、二見颯一は踊りも披露。美緑会のメンバーたちと皿踊りをみせた。

西崎緑

皿踊りを披露する西崎緑と門下生たち。門下生はそれぞれが芸能の世界でも活躍。左から三木くるみ(女優として活躍)、塩沢優(ミュージカル俳優として活躍)、西崎緑、二見颯一(演歌歌手)、西崎緑紗(マジシャン Sa-yaとしても活躍)、西崎緑亜(高橋亜衣/劇団四季を経て多くの舞台で活躍。気象予報士の顔も持つ)

デビュー5周年を迎えている二見は、6年前から西崎流の門下生として日本舞踊を習っているという。ゲストコーナーではデビュー5周年記念曲第2弾「罪の恋」を披露したほか、後半には西崎らと皿踊りを、また素踊りで「武田節」を披露し、西崎の芸道60周年を祝った。

二見颯一

西崎流の門下生として「武田節」を踊る二見颯一。西崎緑に師事して6年になる。最初は所作から学んだという。

二見颯一

西崎緑は「一人で一曲を踊るというのは大変なことですが、真面目な正確が読み取れるような踊りです」と、二見颯一の踊りを評した。

歌芝居の世界では、西崎は60周年記念曲「かもめ」を題材にした一人芝居を披露した。“美しすぎる時代劇”をモットーに活動する「あ・うん♡ぐるーぷ」を率いるさとうしょう氏による作・演出。さとう氏は中村美律子、川中美幸、細川たかし、天童よしみ、藤あや子、坂本冬美などの劇場公演でも活躍してきた。

西崎緑

歌芝居「かもめ」を演じる西崎緑。作・演出はさとうしょう氏。西崎はさとう氏が率いる「あ・うん♡ぐるーぷ」の劇団にも所属している。

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「西崎流という家に生まれた私の宿命なのか、物心ついたときにはもう踊っていました」。3歳のときに沖縄民謡の「安里屋ユンタ」を踊る西崎少女の写真がスクリーンに映し出され、生い立ちを振り返る映像が流れると、ここから感謝の集いは後半へ。

西崎緑

西崎緑

会場のスクリーンには西崎緑の生い立ちが映し出された。写真は3歳のときに「安里屋ユンタ」を踊る西崎。「西崎流という家に生まれた私の宿命なのか、物心がついたときにはもう踊っていました。日本は高度成長期の真っ只中。様々なパーティーやイベントで踊る機会に恵まれました。1日に2~3カ所踊りに行くこともありましたが、仕事の行くのが嫌だったことはありませんでした。ステージでも本当に張り切って踊っていました」。

「歌手の道を拓いてくれた遠藤実先生。『旅愁』という曲をつくってくださった平尾昌晃先生。60周年を迎えられるのはお二人の師匠との出会いがあったからこそ。この出会いに今も感謝しています」

西崎緑

西崎緑の歌手への第一歩は作詞家・遠藤実氏によるスカウトだった。

西崎緑

西崎緑が14歳のときにリリースした「旅愁」が大ヒット曲。恩師・平尾昌晃との出会いが、”歌手・西崎みどり”(当時)を大きく開花させた。

西崎は遠藤作品から「こまっちゃうナ」、平尾作品から「京のにわか雨」などを披露すると、二見とは平尾昌晃と畑中葉子のヒット曲「カナダからの手紙」をデュエット。「夢芝居」では新日本舞踊・松浪流家元であり、JPN dance協会のトレーナーでもある松浪が踊りで華を添えた。

西崎緑

西崎緑は二見颯一と「カナダからの手紙」をデュエットした。

西崎緑

梅沢富美男のヒット曲「夢芝居」をカバーする西崎緑。

西崎緑

「夢芝居」では、舞踊家・松浪伽乃里が踊りで参加。西崎緑と歌の世界を表現した。

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山口百恵の「イミテーション・ゴールド」をカバーする西崎緑。この曲では西崎緑紗と西崎緑亜が踊りで参加。ステージを華やかに盛り上げた。

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西崎緑と西崎緑亜。

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西崎緑と西崎緑紗。

西崎緑

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「(芸能活動を)始めたのがあまりにも早かったので、何年というのはあまり考えることもなく、ここまで来ました。周年イベントもこれまで一度もやったことがありませんでした。でも、昨年ふと『3歳から数えたら、来年は60年かも』と気づきまして、今年は“60周年”を掲げて活動させていただきました」

西崎緑

西崎にとって初めての周年パーティーに、「今日はどうなることかしら」と不安もあったようだが、多くのサポートにより実現した「西崎緑 芸道60周年感謝の集い」。終盤は2017年の「紅の糸」を披露すると、新曲「かもめ」を歌唱した。同曲は福岡県に本社を置くマルボシ酢の星野宗広会長による作詞・作曲作品。愛した人の思い出を探す旅に出る主人公が歌われている。列車に乗った主人公が向かうのは南。演歌の世界では北へ向かう作品が多いなか、「かもめ」では列車が南へと向かうのもこの作品の面白いところ。

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「かもめ」を歌い終えた西崎は、改めて感謝の集いを振り返った。

「私の60周年を凝縮して観ていただきました。小さいときの写真を見ると、『私は本当に3歳から踊っていたんだな』と人ごとのように思うんですが、家元に生まれて踊りを踊り、二人の素晴らしい先生に声をかけていただいて芸能の道が拓きました。本当に恵まれていると思います。60年は人生で言えば還暦です。でも、まだまだ元気です。しばらくは歌ったり、踊ったり、お芝居したりを続けていきたい。これからも皆様と一緒に楽しい時間を共有させてください」

遠藤氏と平尾氏の2人の恩師は鬼籍に入っているが、会場には「旅愁」を作詞した片桐和子氏の姿があった。西崎は涙ながらに「片桐先生には本当に長生きしていただきたいなと思っています」と伝えると、ラストにもう一度「旅愁」を披露。「ここからまた元気に、皆さんと一緒にがんばっていきたいと思います」と呼びかけた。

西崎緑

 


2023年4月19日発売
芸道60周年記念曲
西崎緑「かもめ」
西崎緑「かもめ」

「かもめ」
作詞・作曲/星野宗広 編曲/猪股義周
c/w「旅愁」
作詞/片桐和子 作曲/平尾昌晃 編曲/鈴木 豪
テイチクエンタテインメント TECA-23025 ¥1,400(税込)


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profile
西崎緑(にしざき・みどり)
1960年4月9日生まれ。日本舞踊・西崎流の家元の娘として誕生。3歳で日本舞踊、初舞台。7歳にして「ちいさなプリンセス」で歌手デビューする。田端義夫氏とのデュエット曲「ねんねん船唄」が大ヒット。子役としてもテレビドラマ・CMに出演する。14歳の時、平尾昌晃氏と出逢い、必殺シリーズ・暗闇仕留人主題歌「旅愁」が空前の大ヒット。ミリオンセラーとなる。また、同必殺シリーズにレギュラー出演し女優としても活躍する。舞台・テレビ等に数多く出演する一方で、日舞の振付も手掛け、西崎流新宗家として活動。平成16年、芸能界では3位という高齢で娘を出産。今までの歌手、女優、舞踊家に、母としての顔も加わり、幅広く活躍している。

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