氷川きよし、新曲「南風」で原点回帰～さらなる進化と新たな出発～

2021.03.09

デビュー22年目の氷川きよしの勝負曲「南風」は、氷川の原点に立ち返り、師匠･水森英夫氏による歌謡曲作品となった。コロナ禍による困難な時代に、前向きな気持ちを胸に生きていこうとする思いを歌った、氷川の等身大の想いを載せた楽曲となったが、さらなる進化を見せる楽曲でもある。

歌で励ましの言葉を送りたい

Q　デビュー22年目の作品として、「南風」を歌うことになった経緯を教えてください。

氷川　今回は自分の師匠である水森英夫先生にメロディーを書いていただき、またこれまでにも何曲もお世話になっておりますかず翼先生に詞を書いていただきました。水森先生とのやり取りの中で、今、この時代に皆さんの背中を押せるような、温かい歌を歌いたいと『南風』というタイトルが決まり、そこからかず先生に詞を書いていただきました。

Q　どんな作品となりましたか？

氷川　本当に温かい歌で、優しい気持ちになる曲になりました。今、世の中全体に“北風”が吹いているような大変な時期ですが、少しでも歌で励ましの言葉を送らせていただきたいという想いが形になりました。さまざまな歌を歌っていく中で、この「南風」はまた背中を押してくれるような、自分らしくありのままで輝いていくんだよという、そんな温かい気持ちに励まされる作品です。

Q　「南風」のミュージックビデオ（MV）が公開されました。氷川さんの足下から映像が始まり、散歩をするように歩き続ける氷川さんの姿が曲のイメージを象徴しています。

氷川　｢南風｣のMVは、シンプルな映像に作らせていただきました。監督はここ最近のMVを撮ってくださっているのですが、自分としては前向きなイメージを持ってずっと歩き続けるという映像にしたいと思いました。何があっても止まらない、どんなことがあっても負けない、そんな凛とした主人公を描きたくて、ずっと歩いている映像を主体としました。男女問わず、人間はいろんなことを乗り越えて、毎日いい時もあれば、悪い時もある。どっちにしても止まらないで歩き続けて行こうという想いを表現した映像にしました。

Q　遠くに町並みが見渡せる小高い公園のような場所での撮影ですね。当日のMV撮影はいかがでしたか？

氷川　すごくいいロケーションで、当日は寒かったんですが、ほんわかな南風が吹いてくるような、そんな場所で撮影しました。映像からもそんな雰囲気が漂ってくると思います。本当にさわやかな気持ちになれる氷川きよしらしい映像になったのではないかなと思います。皆さんの心の応援歌になるといいなと思っておりますし、この曲が多くの方の心に届くといいなと思っております。このMV「南風」もじっくり楽しんでいただければうれしく思います。

今年2月上旬に東京近郊で撮影された新曲「南風」のミュージックビデオ・ワンシーン。氷川が歩くシーンを軸に、前向きに進むイメージが描かれた。

22年目、氷川きよしの新たな出発

Q　「南風」はビジュアルとカップリングの違う3タイプが発売されます。カップリング曲についてもお聞かせください。Aタイプの「たわむれのエチュード｣は、J-POPを中心に数多くの作品を提供されている松井五郎氏の作詞ですね。

氷川　結ばれない、切ない恋の一曲になっておりまして、初めて松井五郎先生に詞を書いていただきました。そして水森英夫先生に曲をつけていただきましたが、この曲を初めて聴いた時になんて綺麗な歌なんだろうと思いました。誰でも恋はすると思うし、誰もが人を好きになることは止められない。でも、かなわない恋はあります。そんな切なさを表現している作品で、とても胸が締め付けられます。幸せにたどり着けない一人の主人公の想いがとても伝わってくる一曲です。

Q　Bタイプに収録される「おんな花笠紅とんぼ｣は、恩師であり、デビュー曲「箱根八里の半次郎」ほか、たくさんの氷川さんの作品を書いてくださった松井由利夫氏（2009年逝去）の作品です。

氷川　じつは10年以上前にいただいていた歌詞で、私の自宅の机の中にありました。松井先生が女性版の股旅ものの歌詞を書いてくださっていたんです。これは当時の長良じゅんプロデューサーが「お前にいろっぽい女版の股旅ものを歌わせたい｣とおっしゃって、松井先生に頼んでくださっていた作品です。カラッとしていて、水森先生のメロディーが心地いい女性版股旅演歌になっています。

Q　Cタイプの「磯千鳥」は「南風」と同じく、作詞がかず翼氏、作曲が水森英夫氏です。姉弟の行く末を磯辺の千鳥に重ねてあります。心許ないながらも、前向きな歌ですね。

氷川　お姉ちゃんと弟が力を合わせて、亡くなった父と母に対する想いを感じながら、二人で生きていくという、すごくしんみりとした演歌になっています。演歌って心にじわっとしみてくるんだなと思わせていただける作品になっています。

Q　最後にファンに向けて「南風」をアピールしてください。

氷川　デビューから22目。前作「母」は、また一から生まれたような気持ちで歌いましたが、今作「南風」では新たな夢を掴むために主人公がどんなことにも負けず、明日に向かって生きてようとします。そういう姿が見える本当に心にジンと来る作品となっています。カラオケでも本当に歌いやすいと思いますし、いろんな世代の方々に聴いていただける歌謡曲に仕上がっています。氷川きよしの新たな出発の作品、22年目のスタートの作品をよろしくお願いします。

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