杜このみ

杜このみが情熱の「赤い満月」で魅せる新境地。ヒットメーカーが描く“大人の恋”の行方

歌唱力の基盤を築いてきた彼女が7月2日、待望のニューシングル「赤い満月(つき)」をリリースする。「杜このみ、新境地へ。」という作り手の思いの通り、本作は彼女のキャリアにおいて新たな扉を開く意欲作となっている。

作詞に麻こよみ、作曲に杉本眞人という数々のヒット曲を世に送り出してきた黄金コンビを迎えた本作。編曲は佐藤和豊が担当し、現代的なセンスで楽曲の世界観を鮮やかに構築している。

杜このみ

この情熱的な”禁じられた恋”に耐えられるか!

表題曲「赤い満月」は、聴く者の心を瞬時に掴む情熱的な一曲だ。スパニッシュ風のエレキギターが印象的なイントロから、一気にドラマの世界へと引き込まれる。楽曲のテーマは“禁じられた恋”。逢える喜びを胸に、忍ぶように愛しい人の元へ急ぐ主人公の姿が描かれる。

「愛してはいけないと わかっていても 聞き分けのないこの心 抑えきれない」(1番歌詞)。麻こよみが紡ぐ歌詞は、理屈ではどうにもならない恋の業火に身を焦がす女性の、切なくも強い覚悟を映し出す。

このドラマティックな歌詞に、杉本眞人のメロディが命を吹き込む。一度聴けば口ずさめるキャッチーさを持ちながら、マイナーコードを基調とした旋律は、恋の切なさ、危うさを巧みに表現。そして、佐藤和豊によるアレンジが秀逸だ。全編をリードするエレキギターの泣きのフレーズ、サビで壮大に広がるストリングス、そして時に「タメ」を感じさせる心地よく刻まれるビート。これらが一体となり、まさに「ノリのある歌謡曲」として、聴き手の体を自然と揺らす。

この楽曲で最も注目すべきは、杜このみの歌声そのものだろう。民謡で培った声の芯の強さ、抜けるような高音の魅力はそのままに、こぶしや節回しはあえて抑制的に、よりストレートに感情をぶつけてくる。特にサビの「たとえ噂に脅(おび)えても 恋に咲くなら 悔いはない」と歌い上げる箇所は圧巻だ。

そこには、悲恋に泣き濡れるか弱い女性ではなく、自らの意志で愛に生きることを選んだ、潔い大人の女性の姿がある。情熱と冷静さ、強さと儚さ。その両極を自在に行き来する表現力は、彼女がまさに「新境地」に立ったことを証明している。

杜このみ

一方、カップリングの「横顔」は、「赤い満月」の情熱とは対照的な、しっとりとした世界観が広がるミディアムバラードだ。舞台は、雨が降る夜の小さなカウンターバー。“偶然会ったふり”で好きな人の隣に座るものの、心の内を確かめることができず、ただ彼の横顔を見つめることしかできない。そんな片想いの女性の、もどかしくも愛おしい心情が丁寧に描かれている。

ピアノとアコースティックギターが優しく奏でるメロディに、主人公の不安な心に寄り添うようにフルートの音色が絡む。派手さはないが、繊細で美しいアレンジが“こぬか雨”の情景と相まって、聴く者の心にじんわりと染み渡る。

「赤い満月」で力強い歌唱を聴かせた杜このみだが、ここでは一転、ささやくようなウィスパーボイスや、切ない息遣いを巧みに使い分け、主人公の健気さと不安を見事に表現。その歌声は、まるで聴き手の耳元で、秘めた想いをそっと打ち明けられているかのような親密さを感じさせる。この一曲だけで、彼女がいかに幅広い表現力を持つシンガーであるかがわかるだろう。

情熱的な「動」の「赤い満月」と、内省的で切ない「静」の「横顔」。この二つの楽曲は、愛という一つのテーマに対し、異なる角度から光を当てることで、より深く豊かな物語を生み出している。ヒットメーカーたちの円熟した技と、それに応え、さらなる高みへと飛躍を遂げた杜このみの歌声。本作は、歌謡曲ファンはもちろん、幅広い音楽ファンに届くべき傑作シングルと言えるだろう。この一枚を聴けば、誰もが杜このみの新たな魅力の虜になるに違いない。

杜このみ

新曲「赤い満月」の発売日に36歳となった杜このみ

 


2025年7月2日発売
杜このみ「赤い満月(つき)」
杜このみ

杜このみ「赤い満月(つき)」
作詞/麻こよみ 作曲/杉本眞人 編曲/佐藤和豊
c/w「横顔」
作詞/麻こよみ 作曲/杉本眞人 編曲/佐藤和豊
テイチクエンタテインメント TECA-25024 ¥1,550(税込)

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