中澤卓也

中澤卓也が独立後初ライブで見せた「覚悟」と「安堵」――歴代衣裳で綴った9年間の軌跡と、10年目の旅立ち

中澤卓也が1月19日、東京・渋谷区のライブホール「SHIBUYA PLEASURE PLEASURE」にて、デビュー9周年を記念するライブを開催し、大きな一歩を刻んだ。

2017年1月18日に「青いダイヤモンド」でデビューした中澤。シンガーとして丸9年を迎え、この日は節目となる10年目の第一歩。事務所独立後初のライブということも重なり、中澤はこのライブを「新しい人生のスタート」と位置づけ、「皆さんに僕の決意を感じてもらえるような、いいライブにしたい」と宣言すると、1曲目に未音源化曲「東京」を披露した。

中澤卓也

同曲は、故郷を飛び出し、夢を抱いて上京した自身の生き様を歌っており、東京という街への問いかけや、これからの人生を力強く歩んでいくという決意が込められている。これまでのライブではギターの弾き語りで歌われてきたが、本公演では特別にバンドアレンジが施され、より力強いサウンドで満席のファンに届けられた。選曲とアレンジには、“独立”という新たな門出に立った自身の覚悟を伝えたいという思いが込められた。

中澤卓也

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歌い終えた中澤は、これまで支えてくれたファンに改めて感謝すると、前日のデビュー記念日はSNSで報告するのも忘れるほど、ライブの準備で忙しかったと明かし、「裏方業務も自身で考えなければならず、今もまだフワフワした気持ちですが、1曲目が無事に始まったことに安堵しています」と笑顔を見せた。

中澤卓也

「中澤卓也 9th Anniversary Live -Towards the 10th anniversary.-」と名づけられたライブの前半はデビュー曲「青いダイヤモンド」から最新曲「青い空の下」までの全8曲をメドレーで披露。しかも当時の衣裳を、上着だけとは言え、ステージ上で早着替え。「昔の衣裳が今の自分に着られるのか」と会場の笑いを誘いつつ、時代を感じながら一曲一曲丁寧に届けると、デビュー年にリリースしたカバーアルバム『繋ぐ Vol.1 〜カバー・ソングス 7つの歌心〜』から「8年ぶりぐらいに歌います」と、フランク永井の「君恋し」を選曲。成長した“ミラクルボイス”でファンを酔わせた。

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手作りのパーティションの裏で、楽曲当時の衣裳に早着替えをする中澤卓也。

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中澤卓也「青いダイヤモンド」(2017)

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中澤卓也「彼岸花の咲く頃」(2017)

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中澤卓也「冬の蝶」(2018)

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中澤卓也「茜色の恋」(2019)

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中澤卓也「北のたずね人」(2020)

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中澤卓也「約束」(2021)

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中澤卓也「陽はまた昇る 」(2022)

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中澤卓也「青い空の下」(2025)

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ライブの中盤は客席を回りながらの歌唱となった。

ファン全員と握手をして絆を繋ぐと、「青山レイニーナイト」ではスタンディングで応援するファンも。その熱意にパワーをもらった中澤は、「行きますよ、準備はいいですか」と、2020年シングル「北のたずね人」(タイプC)に収録されたカップリング曲「江の島セニョリータ」でファンを鼓舞。中澤に合わせてファンもタオルを頭上で振り回すと、この瞬間、会場が夏真っ盛りとなった。

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情熱的な作品を歌い終えると、シンガーとして様々なカラーの歌を歌って行きたい中澤は、郷ひろみの珠玉のバラード「言えないよ」を披露し、ライブ本編の最後に、自身が作詞した「陽はまた昇る」を届けた。自身7作目となるシングルは、どんな道であろうと迷わず進むことの勇気を歌っている。「流した分の涙は 花となり咲くでしょう」。中澤の本音の歌だった。

中澤卓也

中澤卓也 中澤卓也

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アンコールはミッシェル・サルドゥーの「青春の旅立ち」(原題:もしも貧乏になっても)。昨年12月、中澤が「ニッポン シャンソン フェスティバル 2025」に出演した際、シャンソン歌手のクミコから与えられた楽曲だった。

「『青春の旅立ち』は今の僕にすごくグサリと刺さる歌です。僕のことをよく知ってくださっていて、クミコさんはこの曲を僕に歌ってほしいと選曲してくださったのかなと思います。本当に素晴らしい曲との出会いとなりました。若いうちは失敗してもまた頑張れるし、とにかく前を向いて突き進んでいくんだというこの歌には、広い世界に飛び出そうという強い意志が込められています。お別れにこの曲をお届けできたらなと思います」

中澤卓也

「ニッポン シャンソン フェスティバル 2025」のあと、クミコは自身のブログで中澤のことに触れていた。

『中澤卓也さんは、天性の歌のうまさを再認識した。「ラ・ボエーム」など難しい歌を、言葉に寄らせた形で歌い進んでいくし、「青春の旅立ち」は、バンドメンバーとの息の合い方も完璧で、気持ち良いったらない。またお聴きしたいと、終演後お願いしたくらいだ』(「クミコ公式ブログ~だって人生は片道切符~」より)

30歳の節目に独立を決断した、今の中澤だからこそ語るように歌い、歌うように語ることができたのだろう。ファンに感謝し、深々と頭を下げる中澤に惜しみない拍手が贈られていた。

中澤卓也

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「今までに感じたことのない、本当に大きな安堵感です」

昼公演を終え、会見に応じた中澤は、充実感に満ちた表情でそう語り出した。

独立後初となったライブステージ。リハーサルから本番に至るまで、表舞台のパフォーマンスだけでなく、これまではスタッフに任せていた裏方の業務にも奔走した。すべてを自身の責任で背負い、走り抜けたからこそ、幕が下りた瞬間の喜びはひとしおだったようだ。

「お客さんがすごく楽しんでくれていて、それが本当にうれしかった。肩の荷が一つ下りたので、夜の部はもう少しリラックスして、“中澤卓也”を爆発させられると思います」

心地よい疲労感を滲ませながら次公演への意欲をのぞかせていた。ちなみにデビュー曲から最新曲までも早着替えで届けるメドレーを夜公演では、カップリング曲で綴った。

中澤卓也

中澤卓也

話題は独立の経緯に及んだが、決断が突発的なものではなく、前所属事務所の社長と2〜3年前からじっくりと話し合われてきた「前向きな卒業」であったことを明かした。

「早めに独り立ちしたほうが、絶対にお前の強みになる」

恩師でもある社長からのそんな親心あふれる助言と、自身が30歳という人生の節目を迎えたタイミングが重なった。「大人としての階段を上がり、男として勝負しなければならないフェーズに来た」と語るその眼差しには、一国一城の主としての覚悟が宿っていた。

10年目に向けてのビジョンを問われると、言葉に一層の力がこもる。

「これからは、自分のカラー、存在感をもっと色濃く出していきたい。自分にしか表現できない世界観を、誰かに作ってもらうのではなく、自分自身で考え、チームとディスカッションしながら作り上げていく。そんな濃密な10年目にしたいですね」

実際、今回のライブ構成やセットリストのほとんどは中澤自身の考案によるものだ。ステージ上で歴代の衣裳へ早着替えをするというユニークな演出も、前事務所から引き上げた大量の衣裳を自宅で眺めていた際に、「これ、ライブで使えるんじゃないか?」と閃いたアイデアだったという。

そして何より彼を奮い立たせたのは、ファンの熱気だ。中澤が客席へ降り、ファンと触れ合った「青山レイニーナイト」では、多くの観客が立ち上がり、会場が一体となって盛り上がった。

「あの光景を見て、本当にファンに支えられていると実感しました。このいいエネルギーに包まれて、俺も精一杯、前を向いて歩んでいくしかない」

改めて刻んだファンへの感謝は、揺るぎない決意へと変わっていた。

中澤卓也

未来への展望は、音楽だけにとどまらない。

「現時点では新曲のリリースの予定はないですが、まずは自分の会社からCDをリリースできる体制を早く整えたい」と意気込みを見せつつ、特に力を入れたいと語ったのが「カバーアルバム」の制作だ。名曲を自身のフィルターを通して表現することは、ボーカリスト中澤卓也の真骨頂とも言えるだろう。

一方で、経営者として問われると、「いつかは従業員を雇い、福利厚生もしっかりできるような会社にしたい(苦笑)」と堅実かつ夢のある目標を語り、笑いを誘う場面も。

中澤卓也

また、昨年シリーズランキング2位(ファンのサポートも受け、BMW& MINI Racing M2 CS Racing Seriesに参戦。10戦出場し6勝。8回の表彰台獲得)という輝かしい成績を残したレース活動については、「今年は独立したばかり。まずは本業の歌で基盤を作るため」として1年間の休止を発表した。だが、それは撤退ではない。「幼い頃からの夢であるスーパーGTのGT300クラスに出る」という野望に向け、自身の会社でレース活動も支えられるよう、まずは歌手として大きくなるための戦略的な充電期間だ。

「一つのライブで、演歌、歌謡曲、ポップス、洋楽と、あらゆるジャンルの歌が聴ける。それを僕の最大の武器にしていきたい」
全方位の音楽ファンを唸らせるエンターテイナーを目指し、中澤卓也は新たな一歩を踏み出した。