丘みどり、第二章~「雪陽炎」で女性の愛のはかなさを~
昨年12月13日に「丘みどりリサイタル15周年+1~演魅Vol.3~」と銘打った復帰コンサートを成功させた丘みどり。第一子出産後わずか2カ月でステージに戻り、歌うことへの並々ならぬ意欲は健在だ。そして、2022年の幕開け早々、新たな新曲をリリース。古来より日本に伝わる伝説「雪女」をモチーフに、業を背負った女性の愛のはかなさを描いた作品「雪陽炎(ゆきかげろう)」で妖艶さを見せる。
雪女の切ない思いがぎゅぎゅぎゅっと!
「演魅(えんび)」と題し、演じて魅せる「幽玄組曲」をコンサートの後半に必ず入れています。復帰コンサートを行うにあたりそのうちの3曲はすでに決まっていたので、ラストの4曲目にもっていける壮大な曲をということで新たに作っていただいたのが「雪陽炎(ゆきかげろう)」でした。
雪女というと、怖い、冷たいという印象が強いかと思いますが、今回は丘みどりが紡ぐ新しい物語として雪女をイメージしてほしいですね。熱く、煮えたぎるような情念で人間の男性に恋をする。でも、本当に伝えたいことを伝えられず、何もかもさらけ出したいのにそれができない悲しさ、寂しさ。そんな苦しい胸の内を抱えた女性が主人公です。
冒頭の歌詞、「愛していても 知られたくない 顔がある」には、その思いが凝縮されています。雪女のあまりに切ない思いがぎゅぎゅぎゅっと詰まっている。この出だしを歌うことで、私もこの物語の主人公の気持ちになれます。そして、サビに向けて「愛のつぐないは しあわせ手離す 事ですね」という歌詞に続きます。あ~、なんて悲しいんでしょう。心から愛しているのに、身につまされる思いです。
カラオケでは最後をどんどん熱く、力強く
曲の評判は上々です。丘みどりを知ったきっかけというのが2017年にNHK紅白歌合戦に出場したときの「佐渡の夕笛」で、この路線の曲を待っていたという方がたくさんいらしたんです。だから「待ってました!」と、とても喜んでくださって。そんな皆さんの声に応えられるようしっかりと歌っていきたいです。もちろん、この曲で紅白への返り咲きも期待しています。
カラオケで歌う場合には、サビにいくまでを丁寧に、切々と。そして思い出をたどりながら歌っていただきたいですね。曲の最後はどうしても隠し切れない思いが爆発するという内容なので、歌い方もどんどん熱く、力強く。全体にメリハリをつけて歌っていただけたらと思います。
丘みどりの「知られたくない顔」とは?
余談ですが、冒頭の「知られたくない 顔がある」という歌詞。私にもあるかしら? と考えてみたところ・・・、意外に根暗なところでしょうか。人からはいつも元気で「悩みがなさそう」なんて言われてしまうんですが、自分ではそんなことないって思っているんですよ。一つのことにぐぐぐっと悩んでしまう性格だし、家にいたらソファーの端っこからほとんど動かずボーっとしていたり。そんな顔は、確かに知られたくない、見られたくないですね(笑)。
でも、子どもが生まれ、さすがにボーっとできる時間はほとんどなくなってしまいました。何も考えないというのが無理!っていう感じですが、それはそれでとても充実した日々です。子どもが夜はしっかり寝てくれるようにもなりましたので随分と楽になり、復帰後の活動もスムーズに行えています。
「雪陽炎」の衣裳は、桂由美さんのデザインです。この打掛を着ると雪女の気持ちになれます。スイッチが入ります。雪が限りなく舞う「雪陽炎」の幻想的な世界観を、ぜひ衣裳とともに楽しんでください。
Rebirth・・・それは感謝と決意
そして、カップリングには、先の復帰コンサートの1曲目として用意された「Rebirth(リバース)」を収録。復帰後の決意など、今の気持ちが素直に表現されている。丘はこれからの日々を「丘みどり第二章」と位置付ける。笑顔&元気は相変わらずで、そこにママになってどんなプラスアルファが加わるか。想像するだけで、楽しみだ。
「はげましの声に導かれ」
Rebirth(リバース)は、今までの人生を振り返りいろいろあったけれど、ここからもう1回本気でがんばっていくんだという思いを込めて歌う楽曲です。
2コーラス目にある「はげましの声に導かれ」という部分は、私が半年間お休みしていた間に心から応援してくださったファンの皆さんそのものです。昨年7月に「みどりのケセラセラ」を発売したときも活動ができなかったのに、ファンの皆さんが「踊ってみた」動画を投稿してくれたり、SNSでこの曲を広めようとしてくれたり、本当にありがたかったです。その声に対して私が「ありがとうございます!」と投稿すると、「気持ちはわかったからちゃんと家で休んでて」とか「無事に赤ちゃんを産むことだけを考えて」などと返してくれ、どれだけ勇気づけられたかわかりません。
喜びと感動をありがとう。恩返しの1年に
復帰コンサートでは3回ほど泣いてしまいました。この「Rebirth」を歌ったときが1回目。2回目が幽玄組曲で。そして、最後の最後でまた涙が出てしまいました。緑のペンライトを一生懸命振ってくださるファンの方を前に、久しぶりにステージに立てた喜びと感動で、終わったあともしばらく興奮さめやらず、でしたね。2022年はそんなファンの皆さんに心からのお返しをしたい。恩返しの1年にしたいと思っています。
守るべき家族ができたことで、さらに強くなれた気がします。亡くなった私の母はすごく厳しい人でしたが、お互いに何でも言える間柄でした。当時は理解できなかったことも、今は何となくわかるなと思うことが多いです。母に教わったことを、今度は私がちゃんと娘に教えてあげたい。人としても一層成長していきたいと思っています。
そして、今の丘みどりだから歌える、今までの私じゃ歌えなかったものも今後歌えるようになるのではないかと楽しみにしています。歌の幅をどんどん広げられるよう、チャレンジ精神でがんばります!
(文=藤井利香)
2022年1月26日発売
丘みどり「雪陽炎」
CD+DVD盤
通常盤
Profile
丘みどり(おか・みどり)
1984年7月26日、兵庫県生まれ。2005年、20歳の時に「おけさ渡り鳥」で演歌歌手としてデビュー。2016年に活動拠点を東京に移し、2017年「佐渡の夕笛」がヒットし、同年の『NHK 紅白歌合戦』に初出場を果たす。以降、3年連続で紅白に出場。2019年にはパラオで自身初の海外コンサートを開催。パラオの文化・音楽親善大使に任命された。2020年、デビュー15周年を迎え、両A面シングル「五島恋椿/白山雪舞い」を発売。2021年、結婚を発表し、娘を授かる。同年12月、産休を経て歌手活動を再開し、復帰コンサート「丘みどりリサイタル15周年+1~演魅Vol.3~」を開催。オープニングに新曲「Rebirth」を披露し、ファンに感謝と決意を伝える。2022年1月、先のリサイタルでも披露した新曲「雪陽炎」を表題曲にシングルを発売。
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