THE MICRO HEAD 4N’SがNEW ERAツアーファイナルで最高の瞬間。2024年5月にはevolutionツアーとアルバム発売へ
5人組ヴィジュアル系ロックバンドTHE MICRO HEAD 4N’S(マイクロヘッドフォンズ)が12月15日、東京・渋谷区のライブハウス「Spotify O-WEST」でツアーファイナルを迎えた。12月9日の名古屋、同月10日の大阪、そしてこの日が「マイクロヘッドフォンズツアー2023『NEW ERA』」の最終日。暗闇の中、「Starry night」のSEに乗ってステージに登場したヴォーカルのKEKE、ギターのkazuyaとSHUN.、ベースのZERO、ヴィジュアル系演歌歌手・最上川司としても活躍するドラムスのTSUKASAの5人が過去最高の夜をつくった。
KEKEのヴォーカルによる初めてのオリジナルアルバム『NEW ERA-the beginning-』の「Life is beautiful」から“マイフォ”のパフォーマンスが始まると、エンスージアスティックなファン“マイクローン”が全身で縦に揺れる。
「さあ、ウォーミングアップは終わりだーッ!! マイクローン、やれるかあ!!!」
マイフォの血が沸き立つような演奏と、KEKEの叫びによって心臓の鼓動が爆上がりしていく。
「行くぞーーー! マイクローン!」
KEKEがマイクローンを鼓舞しながら最新アルバムから「LAST」、第4期初のアルバムとして昨年リリースしたリテイク・ベストアルバム『NEW GENERATION』にも収録された「EARNEST GAME」を披露していくと、SHUN.とZEROはヘッドバンギングで反応。KazuyaとTSUKASAも演奏に魂を込めていく。
「NEW ERAへようこそ。今日という日をメンバー一同、楽しみにしていました。皆さんも楽しみにしていてくれましたよね。普段、いろんなことがあるかと思いますけど、今日は俺たちマイクロヘッドフォンズと真剣に遊んでください」
最初のMCでKEKEが呼びかける。このライブのDVD化が決定(2024年3月発売予定)し、最高の曲を持ってきた。一緒にDVDをつくろうというのだ。
「いいか、マイクローン、声を貸してくれ!」
KEKEのシャウトでマイクローンを盛り上げながら、メンバーは「Labyrinth」「DOWN」、最新アルバムから報われない恋を歌う、エモーショナルなナンバー「UNREQUITED」などを矢継ぎ早に登場させていった。
マイクロヘッドフォンズは2011年8月24日、元FANATIC◇CRISIS(ファナティック クライシス)と元D’ESPAIRSRAY(ディスパーズレイ)のメンバーが中心となって結成された。
初代ヴォーカル・Ricky、2代目・Nimo、3代目・AMENOと、3度にわたるヴォーカル脱退によりバンド活動を第1期、第2期、第3期と呼称。昨年8月に新ヴォーカルのKEKEの加入が発表され、第4期が始動していた。
じつはリーダーのKazuyaはAMENOの脱退によりマイフォの活動を終了させることも考えていた。だが、KEKEとの出会いによって再始動を決意。2022年11月13日。東京・新宿区のライブハウス「新宿BLAZE」での第4期始動ライブ「4th NEW GENERATION」から新しい物語を紡いできた。第5期はない。第4期がマイフォの最後の旅となっている。
12月15日。この日はkazuyaの誕生日でもあった。ライブ前、彼はXにこんな投稿をしていた。
「誕生日って1年で 1番感謝を感じて謙虚になれる日 そんな理由で好きな1日 両親にも今が1番楽しいし 幸せだと伝えました。バンドメンバーがいる 音楽で食べてる 仲間がいる 応援してくれる人がいる。 これ以上の幸せはないです 最高の人生を僕に与えてくれて ありがとうございます いつでも今が1番っす」
最高の夜はまだまだ終わらない。KEKEがkazuyaに話しかける。カズ兄、どうですか?
「楽しいね。こんなにもお客さんが来てくれたんだよ」
KEKEを迎えた第4期として初のワンマンツアー。NEW ERAツアーはマイクロヘッドフォンズとしてのさらなるパワーアップと、マイクローンとの絆を強くしたいという思いから、最小限のスタッフで回ってきたとKEKEが明かす。
「スタッフがいつもはつきっきりで、とてもいい環境でライブをやらせていただいてます。でも、今回は自分たちの力で回ってみようと。もっともっと皆さんとの距離をグッと近づけたかった」
マイクロヘッドフォンズの新しい世界を切り拓く第4期オリジナルアルバム『NEW ERA-the beginning-』のリード曲でもあり、切ないメロディーで構成された「雪月華」、「サヨナラの先に」などが届けられるとマイクローンが酔いしれていった。
今回のNEW ERAツアーはKEKEにとっては人生初のワンマンツアーでもあった。名古屋、大阪とマイクローンがぶっ飛んでくれた。「マジで半端なかった」(KEKE)が、その余韻も冷めやらぬまま突入したファイナル公演。
ZEROは「やっと俺、マイクロヘッドフォンズが復活した気がする。本当の意味で復活した気がする」と打ち明けていた。
KEKEがシャウトする。
「思いっきり暴れようぜ! 東京が一番ヤバいことを見せつけようぜ!!」
第1期から歌われている「I surrender」が披露されると、マイクローンがタオルを頭上でぶん回しながらメンバーの激しい演奏に向き合っていく。
輪廻転生を意味する「REINCARNATION」ではKEKEがシャウトし、あまりの激しさにSHUN.が「うるさい!」と最高の褒め言葉で応酬。「BREAKIG & SHOUT OUT!!!!!」ではマイクローンがヘッドバンキングで共鳴していった。
「NEW ERAツアーで最強になれてるんじゃないかと思いますが、皆さん、いかがですか!」
メンバー、仲間、ファンのすべてが、“THE MICRO HEAD 4N’S”というステージでひとつになっていた。マイクローンの歓声がそれを証明していた。
「かっこよくて爽やかな曲やっていいですか? 綺麗に咲いてください」
KEKEはそう呼びかけると「WHITE SOUL」を披露し、「絆、今まで以上にぐっと深まったと思います。無謀だと言われている野音に絶対にいくぞ!」と奮い立たせていく。
日比谷公園大音楽堂。通称・野音。第4期が始まる前の2022年5月、石月努とKazuya、SHUN.がFANTASTIC◇CIRCUSとして野音で行った「TENSEISM」ライブを見たKEKEは、高ぶる感情の渦の中にいた。「俺も野音で歌いたい」。その日からマイクロヘッドフォンズとして野音のステージに立つことがメンバーの目標ともなっていた。
その思いを胸に、最新アルバムから「WITH」、そして前作のリテイク・ベストアルバム『NEW GENARATION』から「銀河鉄道の夜~STARDUST EXPRESS~」が最後に届けられると、ステージに静けさが戻った。
○
アンコールの声にせかされるように、真っ暗な会場のスクリーンに映像が映し出された。
TOUR 2024 evolution。5月5日 川崎、5月18日 名古屋、5月19日 大阪、5月25日 東京。アルバム『NEW ERA ーevolutionー』5月リリース!
『NEW ERA-evolution-』は11月23日にリリースされた第4期初のオリジナルアルバム『NEW ERA-the beginning-』のタイプ2的な存在となる。攻撃的でダークな曲など、ひと味違う楽曲が収録されたアルバムとなり、そのアルバムを引っさげて行われるのが、4都市を回るevolutionツアーとなる。
新たなインフォメーションにマイクローンから歓声が上がる中、KEKEとTSUKASAがステージに現れた。
「皆さん、感極まっているか!」
TSUKASAが叫ぶ。
「マイクロヘッドフォンズが始まって以来、一番楽しいかも。記録更新した。僕が中学生のときの校長先生が言ってた。記録は何のためにあるか。破るためにある! 今日、破られた!」
すべてのメンバーがステージに再登場すると、バースデーケーキと「Happy birthday to you」の合唱によって誕生日を祝福されたリーダー Kazuyaが胸の内を打ち明ける。
「無事、この年まで音楽をやってくることができました。ありがとうございます。二十歳のときにこのステージに立ってるのよ。でも、そのときはまさかここまでやっているとは思ってなかった。一度はやめようと思って、アルバイトもした。社会に戻れるかと。でも、“kazuya”には無理だった(苦笑)。そこから覚悟を決めて音楽に取り組んだ。こうして素晴らしい仲間と出会えたことが誇りですし、こうして応援してくれる人がいっぱいいる」
「毎回言っているけど、僕の人生いまが一番なんですよ。僕の人生いまがピークなんだ。また来年もピークなんだ。そんな人生ってあり得ないと思った。Xでも言ったけど、両親に『いまが一番幸せだ』って言ったら、妹が『うらやましい』って。僕は覚悟を持って“kazuya”という人生をフルに生きようと思っている。4期が始まったときに言ったと思うけど、たぶんマイクロヘッドフォンズはこれが最後の章だと思います」
その言葉を受けたKEKEは「大切な皆さんへ」とささやき、「声なきスマイルと」「深海」の2曲をしっとりと届けると、SHUN.がその静寂を打ち砕くように、「さぼんじゃないぞ。揺らずぞ! さあ、頭振っていくぞー!」と野獣のごとく咆える。
「REVARBRATION」の演奏が始まった。激しいヘッドバンキングに、マイクローンの髪の毛が振り乱れ、荒波となっていた。かしこし波だ。
「野音に行くっていう気持ちを込めて盛り上げてくれ!」とKEKEが叫び、アンコールの最後は「Curtain Call」で締められた。
全20曲。「マイクロヘッドフォンズツアー2023『NEW ERA』」のすべてのプログラムが終了した・・・・はずだった。
「これで終わりなんですけど・・・」とKEKE。
KEKEの意図をくみ取ったSHUN.が「お前、滅茶苦茶言うなあ」と応じる。ザワザワする会場。
まだ終わりたくない。まだ歌いたい。そんな思いがKEKEの中に強烈に生まれた。
「みんなで一緒に歌いたいというか、気持ちをもっとひとつにして終わりたい」
演出でもなんでもなかった。KEKEのワガママとも言えた。だが、そんな胸の内を吐露できるほどに、KEKEはマイクロヘッドフォンズに溶け込んでいた。
「俺がこのバンドにやって来て、一番最初に歌った曲を歌いたい」
KEKEのリクエストに応じて、「HELLO MY CLONE」が最後の最後に披露された。2024年のツアー NEW ERA evolutionに向けた始まりの終わりだった。
2023年11月23日リリース
THE MICRO HEAD 4N’S
『NEW ERA -the beginning-』
収録曲
1. Life is beautiful
2. LAST
3. UNREQUITED
4. 深海
5. サヨナラの先に
6. 雪月華
7. WITH