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【ライブレポート】蘭華が母の水墨画に囲まれてバースデーライブを開催。天国の父への想いと有言実行で叶えた3つの夢

シンガーソングライターの蘭華が自身の誕生日を翌日に控えた9月27日、東京・広尾の百年匠人ギャラリーにてバースデーライブを開催した。

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今年のライブはいつものステージとは異なり、蘭華自身が企画・プロデュースを手がけた母・幸美さんの初の個展「魅惑の水墨画展」の会場がその舞台となった。2フロアにわたって約100点の水墨画が展示される中、人物画が並ぶ2階の特設スペースに集まったのは限定30名のファンたち。壁一面に飾られたお母様の力作に見守られるように、温かく親密な空間での特別なトーク&ライブが幕を開けた。

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ライブは、予定にはなかったという『子守唄~娘へ~』のサプライズなアカペラ歌唱からスタート。透き通るような蘭華の歌声がギャラリーに響き渡ると、観客は一瞬でその世界に引き込まれた。

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「本日は『母・幸美の魅惑の水墨画展』並びに私のバースデーライブにお越しいただき、本当にありがとうございます! 毎年バースデーライブは東京で100〜150人規模でやることが多いんですけれど、昨年がデビュー10周年で、地元大分の中津、東京、観光大使を務めている出雲で記念コンサートをやらせていただいたんですね。それで今年はマネージャーに『今年はライブをしたくありません! 自分のやりたいことをさせてください』って年始に宣言したんです(苦笑)。今回は企画をガラッと変えて、30名様限定というアットホームな規模で、私のライブというよりは“母の水墨画展”をメインに、私はそこに寄り添うような形でお届けしたいと思います」

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そう語りかけた後、彼女の音楽の原点ともいえる「家族」への深い思いが明かされた。

「2011年3月、東日本大震災のあった月に父が末期がんの宣告を受けて、わずか2カ月ほどで旅立ってしまいました。上京して小さなライブハウスで歌っていた頃、父に『毎回来るのはお金がかかるから来なくていいよ』って言ったら、翌月から片道15時間もかかる安い高速バスに乗って駆けつけてくれて。そんな父に、生前晴れ姿を見せられなかった悔しさや感謝を込めて作ったのが『花時』という曲です。父が生きている間には1番までしかできておらず、完成した曲を父は聴くことなく逝ってしまいました。でも今日は、きっと天国からこのライブを観に来て、喜んでくれていると思います」

尽きせぬ思いを込めて「花時」を披露すると、蘭華の目には光るものが浮かんでいた。

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想像以上に水墨画展の準備に時間が割かれ、「まるで画廊の人になったかのようだった」というほど。いくつかの額縁は会期初日の朝、ギリギリに間に合ったほど多忙だった。

そんな中で、ライブ当日の朝5時までかかって考えたというセットリストだったが、この日、彼女は何度も涙をこらえて歌うことになる。

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歌声だけでなく、飾らない等身大のトークも蘭華のライブの大きな魅力だ。この日は、今年「やりたいこと」として掲げていた3つの目標についても語られた。

1つ目の夢は「お茶を作ること」。春に出雲で畑を借りてハーブの苗を植え、夏に収穫したというハーブティーが、この日来場したファンにも振る舞われた。

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2つ目は「母の水墨画の個展を開くこと」。「父が亡くなってから母が絵を描き始めまして、今年のお正月にタンスの中に数百点も作品があるのを知ったんです。母も若くはないので、生きているうちにたくさんの人に見てもらいたいなと思って奔走し、ようやく企画することができました」と、親子の強い絆から生まれた個展の背景を語った。

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そして、和とオリエンタルの世界観で日本レコード大賞企画賞を受賞したアルバムのリード曲「東京恋文」、出雲観光大使を務める彼女が、大陸から出雲にやってきた祖母への想いを綴った「愛の遺産」などを歌い上げたあと、3つ目の夢についてのうれしい報告をファンに直接届けた。

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「作家としての夢ですが、2020年に芸能事務所と作家契約をしていたこともありますが、コンペに何十曲出しても全く採用されませんでした。ポップス系では楽曲を提供させていただいたこともありますが、諦めずに10年間書き続けて、今年、念願の演歌・歌謡曲ジャンルでの楽曲提供が決まりました! 丘みどりさんに、秋元康先生が作詞され、私が作曲した『丁稚羊羹』(7月にリリースされた『まだ半ば』のカップリング曲)を提供させていただいたんです。さらに10月21日には、羽山みずきさんに(作曲)提供した『蜃気楼ホテル』がリリースされます。最初に提出した作品は手直しすることになったのですが、手直しした作品とは別に、提出日前日に1時間で千本ノックのように作った15曲の中の1曲が選ばれました(笑)。作家人生で初めての『A面(表題曲)』が決まりました!」

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昨年のバースデーライブでも「生きている間にヒット曲を作りたい。それは素晴らしいアーティストの方々への楽曲提供も含まれています。皆さんも一緒に祈ってください」と語っていた蘭華。長年挑戦し続けてきたジャンルで、アーティストへの楽曲提供というひとつの夢が花開いた喜びを分かち合い、自身が作曲した「丁稚羊羹」をセルフカバーで披露すると、会場からは祝福の拍手が送られた。

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ライブの後半では、親友の死や自身への心ない誹謗中傷という深い苦悩の中で生み出されたアルバム『遺書』のリード曲「遺書」を歌唱。「アルバム『遺書』は大切な人を救えなかった苦しみや、その後に自分が受けた誹謗中傷への葛藤など、死に物狂いの精神状態の中で生まれた10曲を詰め込んだ作品です。それでも前を向いて生きてほしいというメッセージを込めています」と語り、魂を削るようにして紡がれた歌声で聴く者の心を強く揺さぶった。

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本編の最後には、インディーズ時代から大切にしている母への秘蔵曲「maama(マーマ:中国語で母の意)」にまつわる切ないエピソードも。「生前の父に、この曲を聴かせたんです。そうしたら『いい曲だな』と言いつつ、少し切なそうな顔をしていて……。きっと自分の曲も作ってほしかったんだと思います。父が最後に聴いてくれた私の曲も、その母への曲でした」。

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同曲を歌い終えると、客席で見守っていた母・幸美さんをステージに呼び込み、「最初は『恥ずかしいから個展なんてやめて!』って大反対していたんですよね」と笑いかける。幸美さんは「本当に嫌だったんですよ(笑)」と本音をこぼしつつ、ファンに向けてこう語りかけた。

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蘭華カバーアルバム『昭和を詠う〜大切なものへ』ジャケット。「素心」と題された幸美さんの作品。「どこにいても、その心の白さを失わずにいてね!」との思いが込められた。

「でも、個展で皆さんとお話させていただく中で、東京で一人で大変な思いをしながらも、温かい方たちに支えられているんだなと分かりました。娘がCDのジャケットに使ってくれた、私が最初に描いた絵は、『東京に出て傷つくこともあるだろうけれど、純潔であってほしい、汚れないでほしい』という想いを込めて描いたものでした。普段は遠く離れていますが、今回、皆様と出会えて、娘の頑張りも知ることができました。個展を開催して本当によかったなと思っています」

母の愛に満ちた言葉に、会場は温かな拍手と深い感動に包まれた。

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本編終了後、アンコールを待つステージにサプライズでバースデーケーキが運び込まれると、ファン全員で「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー」の大合唱。温かな祝福を受けた蘭華は、満面の笑みで応えた。

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「曲数を減らしても、たくさん話してしまって、結局2時間やっちゃうんですね(笑)。お尻も痛くなったと思うんですけど、最後まで帰らずに聴いてくださって、本当にありがとうございました。それでは、私の一番大切にしている曲を最後にお届けしてお別れしたいと思います。デビュー曲の『ねがいうた』です。これは恩師に捧げた曲であり、そして亡き父を思って書いた曲でもあります。私が地道に歌い続けること、頑張り続けることで、いつの日か花開く。そんな姿を天国の父にも喜んでほしいな、喜ぶ顔が見たいなと思って書きました。2015年にデビュー曲としてリリースしましたが、5年後にまだまだ日本全国に届けたいという思いで、もう一度歌い直して『ねがいうた/愛を耕す人』というシングルをリリースしました。おかげさまで、オリコンの歌謡曲ランキングで1位を取ることもできました。それでは聴いてください」

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最後に披露された「ねがいうた」は、これまでの苦労と喜び、そして未来への決意が込められた力強い歌声となった。

シンガーソングライターとして、そして一人の表現者として深みを増し続ける蘭華。母の墨色が描く世界と、娘の歌声が描く世界が優しく溶け合ったこの日は、集まったファンにとっても、天国のお父様にとっても、そして蘭華自身にとっても、生涯忘れられない特別なバースデーとなった。

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なお、2019年10月、当時、102歳の祖母が暮らす出雲市より出雲観光大使を委嘱された蘭華。この日は、島根県から親善大使「遣島使(けんとうし)」にも任命されたことを報告、届いたばかりの名刺を配った。

また、年内に行う東京でのソロライブはこの日が最後となったが、11月23日には観光大使を務める島根県出雲市で5年連続となるコンサートを、そして12月20日には故郷・大分県中津市の教会でライブを開催する予定だ。

『魅惑の水墨画展』会期延長決定

9月28日に終了した『魅惑の水墨画展』。好評につき会期延長が決まった。9月30日(水)~10月2日(金)の4日間、延長開催される。

【開催概要】
蘭華プロデュース 幸美『魅惑の水墨画展』
日程:2026年9月30日(水)~10月2日(金)
時間:11:00~20:00
入場料:無料
会場:百年匠人ギャラリー(HYAKUNEN SHOJIN GALLERY)
住所:東京都港区南麻布5-1-2 クラウディア2F/3F
アクセス:東京メトロ日比谷線「広尾駅」4番出口下車 徒歩5分