
なおみあき、ミッドナイト歌謡「好きだから…」で禁断の領域へ。作詩家・久仁京介の世界で大輪の花よ、咲け!
新潟を拠点に活躍してきた、なおみあき。今年、デビュー10周年という大きな節目を迎えた彼女が記念曲「好きだから…」をリリースした。これまでの穏やかなイメージを鮮やかに裏切る、情熱的な“ミッドナイト歌謡”だ。恩師である作詩家・久仁京介の導きにより、表現者として自らの殻を破る一曲となった。
宮本隆治も絶賛した“歌手としての進化”
「後ろ姿も歌手らしくなってきた。歌っている時だけじゃなく、移動している時も絵になってきた。しかもお客様に対して、語りかけるように歌ってたじゃない。そんなの昔できなかったでしょ? 歌うことが精一杯なんじゃなくて、お客様と一緒に楽しむという余裕ができてきた。変わりました。なおみあきは、進化しております」

左から作曲家・山田ゆうすけ、作詞家・久仁京介、なおみあき、担当ディレクター・塩入二郎、宮本隆治(司会/歌手)
9月18日、新曲のリリースに合わせて行われた3DAYSキャンペーンの最終日。東京・小岩の音曲堂(会場:カフェ ブルーオレンジ)で司会を務めた元NHKアナウンサーの宮本隆治は、ステージ上のなおみをそう絶賛した。昨年、夢レコードへの移籍第一弾としてリリースされたデュエット曲「雨上がりのビギン」で共演した宮本だからこその、温かくも的確な言葉だ。

作詞家・久仁京介との出会いと“陽の当たる場所”
新潟県五泉市出身の彼女は、4歳のころにテレビで見たちあきなおみの「喝采」に感銘を受け、歌に熱中した。だが、兄を交通事故で失うという悲劇に見舞われ、一時期は歌うことができなくなってしまう。それでも、様々な出会いに導かれ地元・新潟で夢を追いかける活動を再開。2010年に「歌謡アーティスト連盟全国歌の甲子園新潟大会」で優勝、翌2011年には「日本大衆音楽祭全国大会」で文部科学大臣賞を受賞するなど、確かな実力を示してきた。
そして2016年、心にじんわりと沁みる中低音、通称“シルキーヴォイス”を武器に、ブルース歌謡「流れ星」でメジャーデビューを果たす。新潟在住の歌手として、真摯に、そして穏やかに歩みを進めてきた。
そんな彼女の運命が大きく動いたのは3年前。「津軽恋女」や「南部蝉しぐれ」などの作詩で知られ、竹島宏を見出した久仁京介との出会いだった。
「彼女は誰が見ても羨むほどの才能と好感度を持ちながら、勝負どころを逃してきた。そんな言い方しかできない歌手です。現実は決して甘くありません。優れた才能を持ちながらも、花開くことができない人の数は、成功した人よりもはるかに多いはずです。『置かれた場所で咲きなさい』。私はこの言葉が好きです。しかし時には、もう少し陽の当たる場所へ移してあげれば、もっと美しい花が咲くことだってあるのです。3年前、私の高校時代の同級生が『人生は筋書きのないドラマだ。このままでいいのか』と彼女の背中を押して、東京の私のところへ連れてきたんです」

10周年の勝負曲は情熱的なミッドナイト歌謡
久仁は彼女の内に秘められたポテンシャルを見抜き、YouTubeで展開する「作詩家 久仁京介の世界」プロジェクトになおみを起用。9作品を彼女に歌わせた。そして、今回、10周年という節目にふさわしい勝負曲を用意した。それが歌手としての本格的な再出発ともなる「好きだから…」である。
作詩はもちろん、久仁京介。作曲は山田ゆうすけが担当し、アレンジは“サウンドマジック”と呼ばれる若草恵が抜擢された。ドラマチックながら哀愁を感じさせるストリングスが印象的なイントロ。そこから一気に夜の匂いを漂わせるミッドナイト歌謡の世界が広がる。行き場のない大人の情熱を、なおみの深みと艶のある中低音がなぞっていく。《咲き急ぐわたしと 散り急ぐあなた》。切なく鮮烈なフレーズも落ち着いた歌声に乗ることで、押し付けがましくないギリギリの危うさを伴って胸に迫る。
「散々暴れてやろうと思います」〜禁断の領域への挑戦
これまでの彼女のオリジナル曲は、どちらかといえば静かで穏やかなオケが多かった。だが今回は、力強いリズムが彼女の熱量をぐいぐいと引き出している。オケ録りで初めてアレンジを聴いたなおみは、そのサウンドに心を奪われた。
「本当に色っぽいメロディーで素敵だと思いました。幸せです」。これまでのしっとりとしたアプローチとは異なる楽曲に対し、彼女自身も新しいスイッチを入れた。「しっかり躍動して、散々暴れてやろうと思います」。

レコーディングに挑んだなおみあき。支えたのは久仁京介(左端)、山田ゆうすけ、若草恵(右端)。
久仁は今回の楽曲制作のテーマについて、こう明かす。
「彼女の美しい声は誰もが認める魅力です。しかし、その魅力の限界にはまだ挑戦がなされていなかった。声の音色、魅力を生み出す要素、それらをさらに追求し、これまでになかった表現に挑戦しました。力強いリズムに乗せることで、これまで穏やかに見え、どこか閉ざされていたようにも感じられた彼女の心の扉を、大胆に開いてみたいと思ったのです。ある意味で、禁断ともいえる領域へと踏み込んだ作品となりました。その結果、本人さえ気づいていなかったほどの見事な開放感が生まれました。これまでにはなかった新しい魅力が誕生したのです」
一方で、情熱的な楽曲の主人公とは裏腹に、本人は自身の性格について照れくさそうに笑う。
「行き場のない情熱を切なく描いたミッドナイト歌謡。すごく情熱的でストレートに愛を伝える女性の歌なんですが、私自身は恋愛に奥手なので……。この歌の世界で情熱的な女性を演じられたらいいなと思って歌っています」

哀愁と大人の色気をまとったカップリング「たまゆら」
カップリングに収録された「たまゆら」もまた、ジャジーでブルージーなサウンドが耳に残る一曲だ。こちらは久仁のYouTubeプロジェクトで歌われた一曲だが、大人の恋の刹那、その瞬間の哀しみと色気を、アンニュイな空気をまといながら歌い上げている。
“たまゆら”とは一瞬のこと。束の間の恋に、《バカで愚図で はかない女》とつぶやく女性。自嘲気味なその言葉の裏にある哀切を、なおみのヴォーカルが見事に表現し、表題曲とはまた違った成熟した魅力を味わうことができる。
「私に勝負させてください」〜開花宣言~
「私に勝負させてください」
なおみは久仁に懇願したという。その重い言葉に久仁は「禁断とも思える領域に踏み込んでみました」と応じ、4年ぶり、3枚目のソロシングルとなった「好きだから…/たまゆら」は、彼女の歌手生命をかけた魂の叫びであり、開花宣言だ。
宮本が「進化している」と評したように、彼女は今、歌うことに精一杯だった時期を抜け出し、楽曲の主人公を演じきりながら聴き手を巻き込んでいく余裕を手に入れた。
デビュー10周年という節目は、ただの記念日ではない。歌手・なおみあきが本当の意味で自らの殻を破り、より広いステージへと羽ばたくための第二章の幕開け。陽の当たる場所へ躍り出た彼女は今、最高に美しい大輪の花を咲かせようとしている。
文=左近俊彦
引用・参考文献
作詩家久仁京介の世界 – YouTube
【小岩音曲堂】キャンペーン3日目!(会場 ハワイアンカフェブルーオレンジ)
【なおみあき】新曲に向かい覚醒の感
2026年9月16日発売
なおみあき「好きだから…」

「好きだから…」
作詞 /久仁京介 作曲/山田ゆうすけ 編曲/若草恵
c/w「たまゆら」
作詞 /久仁京介 作曲/山田ゆうすけ 編曲/高木博音
夢レコード YZYM-15138 ¥1,000(税込)











