
Kenjiroの新曲「砂の城」は「難しいのに歌いたくなる」魔法のメロディ。 “本当の流行り歌”とは?
Kenjiroのニューシングル「砂の城」。オリジナルアルバム『K Ⅱ(ケンジロウ・ツー)』の収録曲として発表された直後から、カラオケファンを中心に「この曲を歌いたい!」と口コミで人気が広がり、異例のシングルカットに至った話題作だ。
前作「落花生~らっかせい~」での温かな家族愛から一転、今作では東京のまばゆいネオンを背景に、大人の失恋をドラマチックに歌い上げる。
思いがけない反響から生まれた「砂の城」の魅力とは? そして、“本当の流行り歌”に対するシンガー Kenjiroの信念とは? 飾らない言葉で語ってもらった。

レコーディングは「サクッと」? 予想外の大反響とシングル化の舞台裏
「砂の城」は、作詞・作曲をシンガーソングライター HANZO氏、編曲を金沢重徳氏が手掛けた、洗練された洋楽テイストの歌謡ポップスだ。担当ディレクターの近藤芳樹氏によれば、1990年代R&Bの最高傑作と言われるトニー・ブラクストンの「アンブレイク・マイ・ハート」(Un-Break My Heart)を彷彿とさせる一曲だが、この曲が誕生した当初、制作陣はここまでの反響をまったく予想していなかったという。Kenjiroが明かす。
「もともとアルバムの中に、今までとは違うテイストの新曲を入れようということで出来上がった1曲だったんです。だから最初は、作っている側としても『アルバムだし、こんな感じでいいんじゃない?』くらいの軽いノリでした(笑)。レコーディングも、エンジニアとディレクターと僕の3人だったんですが、途中でディレクターが『ちょっと用事あるから』って席を外してしまったくらい、サクッと終わったんですよ」
しかし、アルバムが発売されるやいなや、状況は一変する。ファンから「楽譜(メロ譜)が欲しい」という問い合わせが殺到し、さらには通信カラオケ「DAM」のガイドボーカルに、アルバム収録曲であるにもかかわらず「砂の城」が採用されたのだ。

極めつけは、近藤ディレクターが審査員として赴いたカラオケ大会での出来事だった。
「なんと、その大会で6人もの方が『砂の城』を歌ってくださっていたそうなんです。本当にびっくりしました」
「砂の城」は決して簡単なメロディではないが、なぜこれほどまでにカラオケで愛されるのだろうか。
「難しい歌なのに、どうして大会で歌うんですか? と聞いてみたら、『歌いこなせた時の達成感があるんです』と言われました。なるほどな、と。皆さんがそうやってご自身の勝負曲に選んでくださることが、今回のシングルカットにつながった一番の理由ですね」
近藤氏も「演歌が好きなお年寄りから、歌謡曲を歌う若い方まで、カテゴリーを全部取っ払って『歌ってみたい』と思わせる、多国籍料理のような魅力がある曲」だと分析する。

”歌いこなす快感”に溢れた「砂の城」。カラオケでは自分色に!
「砂の城」は女性目線の失恋ソングだ。コテコテの愛憎劇ではなく、東京という大都会のクールさと冷たさが漂う世界観が特徴だ。カラオケで上手に、そしてカッコよく歌いこなすためのアドバイスを求めた。
「気持ちを入れて歌おうと思えばいくらでも入れられる曲なんですが、感情を込めすぎると聴いている方が重たくなってしまいます。だから、言葉ははっきりと伝えつつ、割とさらっと、軽く歌ってもらうほうがこの曲の雰囲気には合いますね」
さらに、Kenjiroはプロならではの具体的なテクニックも明かしてくれた。
「後半の『東京 砂の城』のフレーズでは、“東京”の部分で声を張るんですが、ここが一番の難所です。皆さんやりがちなのが、高い音を出そうとして顎を上げてしまうこと。そうすると喉が締まって余計に出なくなります。顎を下げるぐらいのイメージで、首の角度を変えずに声をバーンと出す。最初は声がひっくり返るかもしれなくて怖いと思いますが、慣れると絶対にその方が楽に出せるようになりますよ」
さらに自分色の「砂の城」を目指してほしいと願う。
「最初は僕の真似でもいいんです。でも、いずれは“モデルハウスの内装を自分の好みに変えていく”ように、自分なりの世界観を作り上げていってほしいですね。それがその人のオリジナリティになりますから」

「本当の流行り歌」を残したい。年齢を重ねて表現する“わびさび”の境地へ
インタビューの終盤、話題は「現在の音楽シーンと、ヒット曲のあり方」へと及んだ。Kenjiroの言葉からは、歌手としての強い気概と美学が溢れ出ていた。
「CDが何万枚売れたとか、そういう数字も大切かもしれませんが……でも、本当のヒット曲っていうのは、みんなが知っていて、みんながカラオケで歌ってくれる歌のことだと思うんです。昔の流行り歌はみんなそうでしたよね。僕はやっぱり、そこにこだわりたい。誰かの心に残って、『この歌、歌いたいな』と思ってもらえる作品を届けていきたいんです」
Kenjiroが目指すボーカリストの理想像。それは完璧な技術だけではなく、年齢や人生経験が滲み出るような“歌の深み”だという。
「ある時、韓国の歌番組で60代になられた桂銀淑(ケイ・ウンスク)さんが歌われているのを観たんです。若い歌手と一緒に歌っておられましたが、若手とは声の存在感や質量がまったく違って圧倒されました。ピッチ(音程)が機械のようにぴったり合っているわけではありません。少しズレていましたが、そこに悲しさや寂しさが入っていました。書道でも、綺麗に書きすぎるより少し墨がかすれたほうが味になるじゃないですか。日本の“わびさび”みたいなものですよね。僕も歌い続けていく中で、いつかそういう世界に到達できたらと思っています」

最後に、発売を待ち焦がれていたファンに向けて、とびきりの笑顔でメッセージを送ってくれた。
「『砂の城』は、今までのアレンジとは一味違う、ちょっとお洒落でカッコいい曲です。皆さんの応援のおかげでこうしてシングルとしてお届けできることになりました。ぜひたくさん聴いて、そしてカラオケでたくさん歌って、自分だけの『砂の城』を完成させてください!」
ファンの熱量によって新たな命を吹き込まれた「砂の城」。Kenjiroの声とともに、これから全国のカラオケボックスや大会のステージで、多くの人々の人生を彩っていくことだろう。
2026年8月26日発売
Kenjiro「砂の城」

「砂の城」
作詞/HANZO 作曲/HANZO 編曲/金沢重徳
c/w「Last Smile」
作詞/HANZO 作曲/HANZO 編曲/金沢重徳
テイチクエンタテインメント TECA‐26043 ¥1,700(税込)
洗練された洋楽テイストの都会派ポップス「砂の城」
表題曲「砂の城」は都会的でおしゃれな一曲。これまでの伝統的な演歌・歌謡曲とは一味違う、洋楽のように洗練された滑らかなメロディラインが特徴だ。きらびやかな電子楽器の音色やしっかりとしたリズムが、“まばゆい東京のネオン”や“都会を歩く主人公の足取り”を見事に表現しており、幸せすぎた関係を自ら壊してしまった女性の後悔と未練が、Kenjiroの甘く艶やかなハスキーボイスによって切なく描き出されている。
哀愁と焦りを煽る情熱のラテンナンバー「Last Smile」
一方、カップリングに収録された「Last Smile」は、打って変わってラテンテイストな一曲。思わず体が動いてしまうようなリズミカルなメロディと、ラテン特有の打楽器が刻む軽快なリズムが、「夜の高速を走る車」のスピード感を演出している。心変わりした女性へ「サヨナラなんて言わないでくれ」と願う男性の焦りと悲しみがドラマチックに展開する、熱量MAXの失恋ソングだ。
「僕から『ラテンのリズムがある曲がいい』とリクエストしました。HANZOさんが車を運転して帰る途中、高速道路からスカイツリーが見えた時にシチュエーションを思いついたそうです。テンポが良いので、男性目線の歌ですが、女性の方もノリ良く歌っていただけると思います」(Kenjiro)




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