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田辺大蔵

【インタビュー】田辺大蔵が働くすべての人に届ける。新曲「やすらぎ酒場」はホップ・ステップ・ジャンプの応援歌

元・町役場公務員歌手 田辺大蔵がその温かな人柄を映し出すような、温もりに満ちた一曲を届けてくれた。新曲「やすらぎ酒場」は、その名の通り誰もが心の荷物をそっと下ろせる“馴染みの酒場”が舞台だ。

文=藤井利香

興奮状態!? 3作目への熱意が生んだ“風通しの良い”作品づくり

「あいつもこいつも人生の 荷物を背負った 奴ばかり」という歌い出しから、この歌が私たちの日常にどこまでも寄り添うものであることが伝わってくる。仕事の疲れ、人生の悩み、そんな悲喜こもごもを抱えた人々が集い、グラスを酌み交わす。歌詞に綴られる「ただいま、おかえり、おつかれさん」の言葉は、まるで長年の友に語りかけられているかのような安心感を覚えさせる。

楽曲制作を担うのは、2021年の徳間ジャパン移籍第1弾「いにしえの人」以来、タッグを組み続ける作詞・原文彦氏と作曲・宮下健治氏。田辺の魅力を知り尽くしたからこそ生まれる、まさしく王道の温情演歌となっている。

――「やすらぎ酒場」は、徳間ジャパンからの3作目となる新曲ですね。

田辺 今年の3月ぐらいから担当ディレクター、作家の先生方と打ち合わせを始め、いろいろな人からの意見を頂戴しながら丁寧に作品づくりをしました。これまでの2作とはまた違い、僕自身そこからずっと神経が高ぶっていて、興奮状態です(笑)。

――その2作「いにしえの人」「おとこの浪漫」とは、また違う雰囲気を感じました。

田辺 いずれもマイナー調だったので、希望したのはメジャーな曲。それも主人公のいる物語的な作品ではなく、今回は地域も人も選ばない、共感性の高い作品にしたいと考えました。それを担当ディレクターと共に作詞家の原(文彦)先生にお伝えし、そのうえで僕がこうありたいと思ったのは、日々働く人々の癒やし歌みたいなベクトルです。そのすり合わせに、先生とものすごく時間をかけました。

田辺大蔵

ホップ、ステップ、ジャンプで描かれる応援歌

――田辺さんご自身の体験がヒントになったとか。

田辺 僕が地方から東京に戻ってきたときにフラッと立ち寄るお店が渋谷にあるんですが、そこでの出来事が元になっています。昼はラーメン屋、夜はお袋のおばんざいみたいな一品料理が出てくるユニークなお店で、昼と夜の顔が違うんです。しかもそこの方が偶然にも和歌山県生まれで、同郷だったんですね。近くの会社の方が仕事帰りに立ち寄って、「今日ダメだったわ、営業」「「昇格できて部下ができました!」と口々に言っている。いろんな人が馴染みの客として集まってたわいもない話をしながらも、自然と心が安らぐような歌をつくりたいと提案させてもらいました。

――いい日もあれば、悪い日もある。一喜一憂しながら、皆さん働いています。

田辺 3連の曲ですが、1番では仕事を終え、ちょっとお疲れ気味のお客さんの姿。2番では、そんな人が周りにいる人と話をして、時に弱音を吐きながらも何とはなしに励まされる。3番になると、いろいろあるけど、明日また頑張ろうと気持ちを新たにして店を出る。ホップ、ステップ、ジャンプという道筋で、まさに働く人々に対する応援歌になっています!

――心のやすらぎを得られる酒場。そんなお店を誰もが持つことができたらいいですよね。

田辺 力んで「頑張ろうぜ!」と気合を入れる感じではないんです。詳しく話を聞くわけでもない、嫌なら離さなくていいさというようなノリで、励まし合いながら、寄り添いながら、それが自然と明日への活力となっていく。そんな力みのなさがみんなの共感を呼ぶわけで、宮下(健治)先生に曲をお願いするときは、リズムは3連で長調(メジャー)の明るい感じの曲でお願いしたいです! とお話させて頂きました。

田辺大蔵

歌唱のコツは“ムードメーカー”! 爆笑顔のジャケ写も注目

――カラオケの歌い方で意識するとしたら。

田辺 僕自身も心がけたことですが、お店のムードメーカーになりきることですね。高圧的じゃなくて「まあ、飲めや」「頑張ろうぜ」って、みんなを笑顔に引っ張っていくような。真面目に歌いすぎると面白みがないし、笑顔になれない。かといって、ずっとニヤニヤして歌うと気持ち悪いし(笑)。「いろいろあるよな、お前もな。俺もあるんだ。でもさ、明日からまた頑張っていこうよ」っていう、僕もそういう気持ちで歌うことを心がけました。ジャケ写も、そんな思いを含んだ爆笑顔となっています(笑)。

――みんなで盛り上がれそうですね。

田辺 例えば、2番のラストに「どんと行こうぜ 馴染の酒場」とありますが、「馴染の~」のあとをお店の名前に変えたりすると楽しいと思うんですよ。ママの名前にするとかね。みんなと一緒に歌ってもらい、共感度を高めてもらえたら本当にうれしいです。

――田辺さんご自身にとっての「やすらぎ酒場」とは、どんな場所ですか?

田辺 「1回家に帰る前に帰る家」みたいな感じですね。ワンクッションというか。そこに行けば誰かいるし、ホッとできる。そういう寄り道酒場ですね。

田辺大蔵

カップリングは歌謡ポップスで魅せる、切ない恋心のバラード

表題曲『やすらぎ酒場』の温かさとは対照的に、カップリング曲『いくじなし』では、田辺大蔵の新たな魅力が光る。本作は、突然の恋に戸惑う主人公の心情を綴った、切なさあふれる歌謡ポップスタイプのバラードだ。

「恋はこんなに突然に 僕の心を染めてく」――その予期せぬ出会いに心ときめかせながらも、想いを伝えられないまま改札で手を振る主人公。サビで繰り返される「やっぱり やっぱり いくじなし」というフレーズが、あと一歩が踏み出せないもどかしさ、そして自分自身への不甲斐なさをストレートに描き出す。青春時代のほろ苦さを思い出しながら聴きたい一曲でもある。

――カップリングの「いくじなし」は、またガラッと雰囲気が変わります。

田辺 これはラブソングで、ミディアムバラードをと向井(浩二)先生にお願しました。僕、ラブソングってほとんどないんですよ。人生の応援歌とか、政治家みたいな歌ばっかりで(笑)。2作目のカップリング「今夜だけはシンデレラ」も向井先生ですが、ちょっと昭和っぽくて懐かしさも感じ、ノリもいいでしょう。タイトルは「いくじなし」ですが、身近な友人を突然意識して、これって恋? と素直に戸惑っている主人公の歌ですね。

――「やすらぎ酒場」とは対照的で、田辺さんの異なるカラーを楽しめます。

田辺 今回の3作目は、(カップリングも含め)制作過程がすごくよかったなと感じているんです。担当ディレクターアイデアをみんなが出し合っていい曲づくりができました。「やすらぎ酒場の」のジャケ写やMV撮影の現場もそうで、まさに共同作業、チームワークでできた作品だと感じています。MVには、僕の親しい飲み友達数人にも参加してもらっています。

田辺大蔵

20周年には「やすらぎ酒場」を人情芝居に!

――今後の活動について教えてください。

田辺 まずは来年の春をめどに、昨年行ったようなコンサートを、新曲発売の集大成となるステージとしてやりたいなと計画しています。そして、もう一つ大きな目標があります。徳間ジャパンに来てからは5年目ですが、歌手としては今18年目。2年後の20周年の節目に、特別公演をやりたいんです。

――特別公演!

田辺 はい。この「やすらぎ酒場」という人情芝居を創作して、第一部はお芝居、第二部は「田辺大蔵 歌謡ステージ」の二部構成で。こうした公演を行うのが、僕が演歌歌謡歌手としてずっと目標に掲げてきた夢なんです。今回アレンジをしてくださった猪股(義周)先生は劇作家出身の方で、お芝居の音楽も書かれています。なので、この曲のアレンジも幕が開いていくようなイントロだったり、暗転していくようなエンディングだったり、どこか舞台を連想させるつくりになっているんですよ。その話も先生させていただいて、「ホームドラマみたいなイメージですね」なんて、アレンジの打合せの際、芝居のお話で盛り上がりました。なんとかこの夢を実現させたいですね。そのために、日々できることを精いっぱいと思っています!

 


2025年8月6日発売
田辺大蔵「やすらぎ酒場」
田辺大蔵

「やすらぎ酒場」
作詞/原文彦 作曲/宮下健治 編曲/猪股義周
c/w「いくじなし」
作詞/向井浩二 作曲/向井浩二 編曲/猪股義周
徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-91638 ¥1,500(税込)

【Amazon】田辺大蔵「やすらぎ酒場」

 


田辺大蔵

profile
田辺大蔵(たなべ・たいぞう)
12月9日、和歌山県田辺市生まれ。世界遺産・熊野古道で知られる和歌山県田辺市(旧・中辺路町)の自然豊かな環境で育つ。高校卒業後、中辺路町役場(現・田辺市役所中辺路行政局)に10年間勤務する。しかし、幼い頃から抱いていた歌手への夢を追い求め、公務員を退職し上京。働きながら数々のカラオケ大会に出場して歌唱力を磨く。
2007年9月、シングル「今宵も想い酒~京都~」でCDデビュー。2021年、徳間ジャパンコミュニケーションズより「いにしえの人」でメジャーデビュー。同曲はオリコン週間 演歌・歌謡シングルランキングで初登場7位を記録する。2023年には第2弾シングル「おとこの浪漫」、そして2024年8月には第3弾シングル「やすらぎ酒場」をリリース。
本格演歌から、ポップス調のバラード、さらには三波春夫の長編歌謡浪曲まで歌いこなす幅広い表現力を持つ。また、ドラム演奏やギターの弾き語りも得意とし、コンサートでは多彩な音楽性を披露している。キャッチフレーズは「庶民の心に寄り添い、地域に貢献する 元・町役場公務員歌手」。

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