加門亮の再来! 氷室一哉が“令和の裕次郎”よろしく男の浪漫を歌う
長身でクール。ダブルのツースを着こなし、両手をポケットに入れ、少し斜に構える。“平成の裕次郎”と言われた加門亮のスピリットを受け継いだ歌手・氷室一哉の決めポーズだ。昨年5月25日、ムード歌謡曲「アカシア物語」でデビューし、まもなく1年が経とうとしているが、“令和の裕次郎”として注目度が急上昇している。
加門亮が縁をつなぐ。歌手・氷室一哉、誕生。
「これまでも歌の世界にいましたが、41歳になった時、今後、どんな歌を歌っていきたいのかを考えるようになっていました」
そんな時に氷室が出会ったのが、ホリデージャパンの佐々木友子会長だった。同社は晩年の加門亮が所属していたレコード会社。高校を卒業後、板前修業をしながら歌のレッスンを続けた加門は、作曲家・中村泰士氏の門下生として1988年、「海峡物語」でデビューを果たすと、1995年にリリースした「男の慕情」が大ヒット。『NHK紅白歌合戦』にも初出場した。男を感じさせるムード歌謡で人気を博し、石原裕次郎の十三回忌には「赤いハンカチ」を歌唱。その後も裕次郎の作品を多く歌い、“平成の裕次郎”とも呼ばれた。だが、2020年、61歳の若さでこの世を去ってしまった。
「ご縁というのは一瞬だな、と思いました。そんなふうに感じたのは初めてでした。たくさんの話をさせていただいたのですが、レコード会社と僕の考えがぴったり一致したというか。ムード歌謡を歌いたいという思いはずっと持っていたんですが、ホリデージャパンからのデビューが決まりました」
加門亮が亡くなって三回忌。加門の再来を熱望していた佐々木会長と、ムード歌謡を、それも男を歌うムード歌謡を歌いたいと思っていた氷室一哉。
「新しい挑戦をしてみたいと思っていましたが、このご縁をつないでくださったのは加門亮さんのような気がします。残念ながらお会いしたことはありませんが、20歳ぐらいの時に『霧情のブルース』を聴いて惹かれました。遠い存在でしたが、ずっと尊敬する方でした」
誰のものでもない。氷室一哉の「アカシア物語」
トントン拍子でデビューが決まった氷室一哉に届けられた作品は「アカシア物語」。加門亮に多くの作品を提供した百音(MONE)氏が作詞し、加門亮のヒット曲「男の慕情」や「霧情のブルース」を手がけた徳久広司氏が作曲を担当した。
「加門さんも『アカシア物語』という作品を歌っておられますが、それとはまったく違う作品です。加門亮さんが新しく歌われるならどんな作品になるだろうか? そんなリクエストで徳久先生につくっていただきました。ギターの弾き語りで歌われたデモを聴かせていただいた時は、『理想の作品ができあがった。ああ、これが絶対に表題曲になる!』と、うれしかったですね」
たが、レコーディングは少々苦戦した。
「低音の使い方、歌い方が難しかった。どうしても低音を出そうとしてしまう歌い方になっていたんです。徳久先生からもアドバイスはいただきましたが、いちばんのヒントは加門さんでした。『アカシア物語』は大人の歌。色気や優しさをどう表現するのかがポイントでした。加門さんの歌を改めて聴き直すことで、『聴こえないぐらいの声でも聴こえるから』という教えをいただいたような気がしました」
低音を無理に出そうとするのではなく、息を混ぜるように、声に色気を乗せることで氷室一哉の「アカシア物語」が完成した。
佐々木会長は言う。
「もし氷室が20代、30代だったらすごく背伸びして歌わなければならなかったでしょうね。今の氷室だからこそ、こういう歌が歌えるのだと思います」
加門亮や石原裕次郎を追いかけて
サックスの前奏から始まる「アカシア物語」は、昭和のムード歌謡を感じる懐かしさと、令和に届けられる新しいムードが融合した、これぞ氷室一哉の代表曲になった。
5月に発売されると、ほどなくUSENリクエストランキングで1位を獲得する。
「もう2年も3年も歌っているような気がするんですけど、まだ1年経っていないんですよね。でも、すごく評判がいい。僕がすごいんじゃなく、作品に力があるんだと思います。カラオケで歌ってくださる方も多いようです」
デビューして半年が過ぎた昨年11月にはファーストアルバム『男の浪漫』をリリースした氷室。加門亮や石原裕次郎の作品をカバーした作品集は、「氷室一哉のすべてがわかるような、自己紹介的なアルバム」に仕上がっているという。
ムード歌謡の第一人者になる! という大きな決断をして1年。「よかったという思いしかない。マイナスの要素はない」と力を込める氷室。今年に入り音楽番組『ミュージック・シャワー』のMCにも抜擢され、知名度を上げている。デビュー2年目、そして今後はどんな活躍を見せてくれるのか。
「加門亮さんの作品を全曲歌いたいし、カバーとして作品を残していきたいと思っています。“氷室一哉”という歌手を生んでいただいたわけですから。“平成の裕次郎”と呼ばれた加門さんを目指して、勝手に“令和の裕次郎”って言っています(笑)。加門さんや裕次郎さんを見習いながら、追いかけながら“氷室一哉”というブランドを確立したいと思っています」
元来、お酒が好きだったが、“氷室一哉”となってからは、「日本の少し高価なウイスキーを買って味を覚えたり、飲み方を勉強したり」と氷室。「石原裕次郎さんには“ブランデー”や“ヨット”のイメージがありましたよね。ですから、『氷室一哉ってこうだよな』っていうスタイルを、今、ちゃっかりつくっています(笑)。バーに行って、ウイスキーの銘柄で悩むようなら氷室一哉として失格です!」
INFORMATION
氷室一哉レギュラー番組
『ミュージック・シャワー』
MC:山崎ていじ、谷ちえ子、氷室一哉
千葉テレビ
毎週月曜日 8:30~9:00
KBS京都
毎週月曜日 8:00~8:30
岐阜放送
毎週水曜日 7:00~7:30
毎週木曜日 4:30~5:00
再放送(局の編成上、O.A出来ない場合があります)
とちぎテレビ
毎週木曜日 8:00~ 8:30
CS 歌謡ポップスチャンネル
毎週金曜日 7:00~ 7:30
2022年5月25日発売
氷室一哉「アカシア物語」
氷室一哉のデビュー曲「アカシア物語」は北の大地を舞台にかつて愛した女性の面影を想うムード歌謡。カップリング曲「忘れないで」は、氷室が歌うムード歌謡の世界をイメージして制作された作品。もう一曲のカップリング曲「霧情のブルース」は加門亮の大ヒット曲のカバー。
2022年11月30日発売
ファーストアルバム
氷室一哉『男の浪漫』
昭和を歌う・男のロマン・・・ 氷室一哉 歌の翼は 今・・・大空へ!
収録曲(全10曲)
神戸北クラブ
麗子
秋冬
恋の町札幌
ブランデーグラス
最後にもう一度
粋な別れ
カサブランカ
夜霧よ今夜もありがとう
或る男のバラード
profile
氷室一哉(ひむろ・かずや)
1981年4月27日、石川県生まれ。2022年5月25日、ホリデージャパンより「アカシア物語」でデビュー。ムード歌謡の第一人者、加門亮のスピリットを継承する。歌手名の”氷室”は故郷・石川県にゆかりのある名称。江戸時代に加賀、能登、越中の3国の大半を領地とした加賀藩・前田家は、冬の間に蓄えていた雪氷を江戸の将軍家へ献上していたが、雪氷の貯蔵場所を氷室と呼んだ。「冬に貯えた雪氷を7月1日に献上する習わしがあって、金沢では7月1日を『氷室の日』と言うんです。その日を僕も活かしたいと思っています」(氷室)。”一哉”は本名(漢字は異なる)。石川県の「かほく市ふるさと大使」。身長186センチ。特技はスポーツと書道。書道は3段の実力。ファーストアルバム『男の浪漫』の題字は氷室自身が書いた。
氷室一哉 公式HP
氷室一哉 公式Twitter
ホリデージャパン 氷室一哉ページ