みつき愛、生きているかぎり歌とともに

昨年12月25日、「さよならも言わずに/愛という名の記憶」で念願だったメジャーデビューを果たしたみつき愛。結婚、子育て、会社経営、ボランティア活動……。
「時間が足りない」ほど、自分のことを後回しにして人生を歩んできたみつきへの、それはまさにクリスマスプレゼントだった。
「これからは、自分のために生きていきたい」
今が、みつきが歌手になる “適齢期”。今だから歌える歌を、支えてくれるすべての人へ感謝を込めて歌う。

 
 

◎どんな形でも、歌と接していたかった

 

――まずは、みつきさんの音楽や歌との出合いについて教えてください。

みつき 両親がカラオケ好きで、(美空)ひばりさんの歌とか演歌・歌謡曲が、物心ついた時から家の中で常にかかっている環境で育ったことでしょうか。実家にはカラオケもあって、学校から帰ってくると歌合戦スタート(笑)。ずっと歌っていましたね。小学生くらいからは、両親と参加したロータリークラブなどのパーティーで、ドレスを着て大勢の人の前でよく歌いました。「歌手になりたいな」と思い始めた中学生の頃に、近所のあるお店に作曲家の猪股公章先生がいらしたことがあって、両親が「いつもみたいに歌ってみたら」と言うので、テレサ・テンさんの「空港」を歌ったんですよ。そしたら「君、なかなかいいね。歌やってみる気はない?」って。私はもう、うれしくてうれしくて! でも両親の反対があって、そこで一度歌手になるという夢は諦めました。

――まだ中学生ということでご両親も心配されたんですね。その後は音楽とは距離を置かれたんですか?

みつき 地元にバレーボールが強い高校がありまして、入学したらバレーボールをやろうと思っていたんですが……、そこに軽音楽部があって! 迷わずバレーボールはやめて軽音楽部に入りました(笑)。

――軽音楽部といえば、バンドですか?

みつき そうです。当時はバンドブームで、女の子だけのバンドが流行っていたんです。女の子5人で作ったバンドで、三年間チケットを売ってライブをしたり、浜田麻里さんに憧れて真似をしてコピーしたり、ちょっと過激なヘビメタロックをたしなみました(笑)。楽しかったですね。

――みつきさんはもちろんボーカル担当で?

みつき ボーカルオンリーでした。浜田さんがとにかく好きで、今でも尊敬しています。それで、3年生の時に浜田さんの事務所が開催したオーディションを受けたんです。

――もう一度、歌手を目指そうと?

みつき そうです。第三次まで合格してあと一歩というところで、そこからまた歌手を目指そうと思ったんですが、また両親の反対があって結局だめになりました。結局、高校を卒業してからは一般企業でOLとして働きました。ただ、歌は好きだったので大会などに出場して、優勝やグランプリはありがたいことにたくさんいただいたんですけどね。

――歌手になることは諦めた?

みつき その時はもう歌手を目指すというよりは仕事に一生懸命でしたね。そんなOL時代を経て結婚して、子ども三人に恵まれました。その間には起業もして、仕事に子育てにPTA活動とかママさんバレーもやってて(笑)、本当に時間が足りない!って感じでした。だから、“歌手になる”という夢にはピリオドをつけていました。子どもは私にとって宝物。子育ては楽しかったですしね。

――5足くらいのわらじを履いていたんですね(笑)。それでも、歌への情熱は消えることはなかった。

みつき 歌に接していたい、という気持ちは消えたことはありません。でも心の中では、その間もどこかで歌を歌うことはできないかなと考えたりはしていて、どうせなら社会貢献になることはできないかなと。考えた末、祖父母が介護施設でお世話になっていたので、そこでボランティアで歌わせていただけないかとお願いに行きました。短パン姿で、カセットテープとマイク代わりのボールペンを持って「歌わせていただけませんか」とノックをしたんです。

――アクティブですね。

みつき 今思うとですけれど、いつかはプロの歌手になりたいっていう気持ちは、ずっと胸の中にあったような気がしますね。でも、それを言葉に出すと、まただめになるかもと思っていたから、口に出すことはありませんでした。かたちはどうであれ、歌っていたかった。ボランティアを始めた最初はね、拍手とかなんの反応もなくて、私の方から無理矢理押しかけて行っちゃったから喜んでいただいていないんじゃないか、って思ったんです。だけど、よく見たら皆さん足でリズムを取ったり、泣かれたりされていて……。自分の思うように体は動かせないけれど心で聴いてくれていたんだ、と気づきました。私も涙がこぼれてきて、泣きながら歌いました。その時に、私はこのボランティアは絶対に続けていこうと心に決めたんです。それから1カ月に1回、雨の日も風の日もよっぽどじゃないかぎりはキャンセルせずに続けています。

 


2019年12月25日発売
みつき愛「愛という名の記憶/さよならも言わずに」

「愛という名の記憶」 
作詞/内藤綾子 作・編曲/水谷高志  
「さよならも言わずに」  
作詞・作曲/ゆう 編曲/周防泰臣  
日本クラウン CRCN-2844 ¥1,227+税

 

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