H A N Z Oが今、伝えたいこと

言葉の奥底にある、言霊みたいなものが自然に降りてくる

 

――歌詞というのは、HANZOさんの場合はどのような感じで浮かんでくるんですか?

HANZO 僕の場合ですが、両方一気に出てくるんですよね。信じてもらえないんですけど、本当に無意識なんです。曲を作る時っていうのは詞だけ書くということはあまりなくて、詞を書いている時にもうメロディーができているんです。言葉の奥底にある、言霊みたいなものが体にグッとくることがあって、それがポンと降りてきていつまでも離れないみたいな。

――生みの苦しみみたいなものは……。

HANZO ないですね。ただ、書かなきゃって思っていると全然ダメ。ふっと油断している時とか、作るぞと思っていない時に、本当に自然と浮かんできて、言葉の持っていき方にすでにメロディーが入っているんです。

――「Treasure of life〜人生の宝物〜」の歌詞の中でとくにHANZOさんがこだわられた箇所はありますか?

HANZO あのね、2番の頭の「君の言葉が 薄らぎ始めた 僅かな力で 誰に語るの?」の歌詞が、僕はこの曲の中で一番好きです。これはすぐ出てきましたね。当然、“君”と私は深い関係であったにもかかわらず、人が亡くなっていく寸前、本当に力がなくなっていく寸前で「誰に語るの?」。誰に語っているか、“君”がわからない状況になっているんです。このひと言で、僕自身は完全に満足しましたね。

――ちなみに、ご自身のエピソードもあったりするんでしょうか。

君はあの夜 電話で泣いた
どうして私が?と 運命恨んだ
(「Treasure of life〜人生の宝物〜」より)

HANZO 1番の頭、ここはぼくの言葉そのものです。昨年舌がんを告知された時、ほとんどの人に言わないでいたんです。でもかなり不安で、悪いほうにばかり考えちゃってね。「人生の晩歌」でうまくいっている今、しかもよりによって舌だと。歌うことを生業にしている俺に、これはないだろうという運命……。なんで俺がこんな目に合わなきゃいけないんだと、その思いや体験を“君”がしたようなていにして、こういう言葉に変わっていったんです。

 


2020年9月16日発売
HANZOが人生の大切さを歌にして伝える
「Treasure of life〜人生の宝物〜」

「Treasure of life~人生の宝物~」 
作詞・作曲/HANZO 編曲/金沢重徳  
c/w「HEY! HONEY」 
作詞・作曲/HANZO 編曲/金沢重徳  
テイチクエンタテインメント TECA-20052 ¥1,227+税

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