新曲「望郷ながれ歌/明日咲く」をリリース。松村和子、40年目の原点回帰

40th Anniversary, Kazuko Matsumura

「望郷ながれ歌/明日咲く」に感じた思い

 

――新曲も披露されたとか。

松村 あの時点では、発売までまだ2カ月もあったのでどうしようかと思ったのですが、一日でも早くみなさんの耳に届けて、判断してもらいたいなと思って「望郷ながれ歌」と「明日咲く」の2曲を歌いました。

――40周年記念の新曲を聴いた観客の反応はいかがでしたか?

松村 思っていた以上の反応でした。新曲を初披露した時のお客様の反応にはいろいろありますし、生で聴いていただいて響く歌や、雰囲気で盛り上がれる歌、CDなどでじっくりと聴いていただくのがいい歌などがありますが、反応がすごくよかった。とくに「望郷ながれ歌」は、デビュー曲「帰ってこいよ」に近いイメージです。

――「望郷ながれ歌」は、地吹雪が吹き荒れる寒さなの中、町々で太棹(津軽三味線)を弾きながら旅を続ける主人公が描かれています。親を亡くして25年が経った今も、心のふるさとを求めて、津軽から北海道へと旅を続けます。曲調はマイナーですが、三味線の迫力ある音色が特徴的で、ビートが効いています。

松村 「望郷ながれ歌」は去年の12月ごろに元歌が出来上がっていたんですが、その後、試行錯誤があって、タイトルも歌詞の内容も変わったと聞きました。40周年記念曲ということで、たきのえいじ先生も、歌詞の中に“帰ってこいよ”というフレーズを入れてくださいました。でも、私が最初に仮歌を聴いた時には、ピンと来なかったんですよね。

――お客様の評判がよかった「望郷ながれ歌」ですが、最初はイメージが違った?

松村 「帰ってこいよ」の時と同じでした。あの時も、デモテープを聴いた時には、これが私のデビュー曲!? と思って。10代だったので、失礼にも内心最悪!って。“きっと帰って くるんだと お岩木山で 手を振れば あの娘(こ)は小さくうなずいた”という出だしの歌詞も、いつの時代の歌詞!? 設定いつ!?って(笑)。若かったので、もう最悪と思いました。でも、アレンジが加わって、オケ(伴奏)ができてきたら、180度イメージが変わって、これは売れる!って(笑)。

――作品というのは、作詞・作曲・編曲、そして歌唱によって、またその時代によって評価が変わりますね。

松村 その意味で「望郷ながれ歌」には、デビュー曲の時に思ったのと近い感覚があります。アレンジで大きく変わりました。(歌詞の中の主人公の旅も)青森・津軽から始まって、私の故郷・北海道へ入っていきます。だから、私的には故郷に帰っていくようなイメージでなんですよね。

――もう一曲の「明日咲く」はいかがですか?

松村 「望郷ながれ歌」が切ない歌なので、希望の持てる応援歌を歌いたいと、ディレクターさんにお願いしました。昨年末のことです。私はこの「明日咲く」、好きです。かず翼先生の歌詞も素敵で、歌うなら今じゃん!って。

明日咲く
きっと咲く
花は咲く
(「明日咲く」歌詞より)

――コロナ禍で大変な思いをしている人も多いと思いますが、そういう方にも勇気を与える歌ですね。

松村 タイトルもいいし、「望郷ながれ歌」と同様、お客様の反応がよかったです。歌詞の内容を納得した感じで聴いてくださっていました。私も歌いながら、今、この歌にすごく励まされています。この40年、いろんなことがあって、我慢しながら乗り越えてきてきたり、もう歌えないというぐらい追い込まれたりした時もありました。信じること、諦めないことですよね。すべては前向きに、やっぱり継続は力なり、だと思います。

 


2020年8月26日発売
松村和子、40周年記念作品
「望郷ながれ歌/明日咲く」

「望郷ながれ歌」
作詞/たきのえいじ 作曲/岡 千秋 編曲/竹内弘一
「明日咲く」
作詞/かず翼 作曲/岡 千秋 編曲/竹内弘一
徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-91280 ¥1,227+税