福田こうへい 股旅宣言

福田こうへい、待望の股旅演歌ができた!
新曲「筑波の寛太郎/あれが沓掛時次郎」

待ちに待った股旅演歌だった。「南部蝉しぐれ」で演歌歌手としてデビューして以降、福田こうへいは望郷や母への思い、男の生きざまを歌ってきたが、2020年は股旅の世界で勝負する。世の中には歌い継がれる、名曲となった股旅演歌も多い。福田は誓う。そんな名曲に自身初の股旅演歌を育てたい! 

全力で走る!

昨秋、股旅の世界を舞台にした楽曲のカバーアルバム「粋」をリリースした福田こうへいが、独自の股旅演歌「筑波の寛太郎」と「あれが沓掛時次郎(くつかけときじろう)」で、2020年を勝負する。ファン待望の2曲は、身振り手振りを交えた若々しい歌いっぷりが見どころだ。

やっと来ました、股旅もの。私のオリジナルの楽曲としていつかほしいと思っていました。舞台はこれまで多かった東北から関東へ。筑波に関係したヒット曲というのは過去にほとんどないそうなので、「筑波の寛太郎」をぜひヒットさせたいと思っています。

今回、初めて水森英夫先生が曲を提供してくださいました。レコーディングでは緊張感ありありでしたが、先生とやり取りをしながら数種類の歌い方をしていくうちに、先生が求めているのは、これなんだなとわかっていく過程がとても楽しく、印象に残っています。
聴きどころは、やはりサビです。

 ツンツン筑波の寛太郎
 エエー 忍び泣き(1番歌詞)

とくに「ツンツン筑波の寛太郎」と歌うところの“ツンツン”です。主人公の寛太郎はまだ怖さしらずの二十代。若くとがった部分を、ステージでは大きな振り付けとともに表現したいですね。

そして、「エエー」と続く部分もとても気に入っています。歌い方としては「すぐに落とす」のではなく「もうひと回しして、かまして落とす」感じです。よく北島三郎さんが使われる歌い方で、それをちょっと真似してと言いますか、模範にして歌い納めています。全体として、巻き舌を巧みに使って啖呵を切り、得意の節でぐいぐいと力強く歌っていきたいと思っています。

▼福田こうへいが歌う“ツンツン”を聴くことができます。

 
もう一曲の「あれが沓掛時次郎」は、股旅小説で一世を風靡した長谷川伸の代表作(戯曲)がモチーフです。義理や人情とともに、見え隠れする人の弱さや悲哀を、主人公になりきって歌います。生きていれば自分の祖父母に聴いてもらいたい楽曲です。七十代、八十代の方がよく知っているお話なので、そういった方々に「よし!」と言っていただけるように歌唱したいと思います。

大先輩の三波春夫さんらが歌った股旅ものが歌い継がれていますよね。私にとって、初めての股旅演歌となるこの2曲も、名曲に育てたいと思っています。大先輩に少しでも近づけるよう第一歩を踏み出します。そして、股旅演歌の第2弾、第3弾を発表していけるようがんばりたいですね。

新型コロナウイルスの影響を受け、3月には自宅のある岩手に戻っていたという福田。自宅周辺は田んぼ、畑、そして山菜採りができる山で、生まれた時間を、かつて精を出した農作業に費やした。手首から先は見事に日焼けして真っ黒に。しかし片時も「歌」を忘れず、大自然の中でふと立ち止まっては熱唱し、耳にしたご近所さんがおおいに喜んだとか。

岩手の自宅では、演歌歌手としてデビューする以前のような生活を送っているという福田。昼間は農作業に出かけたり、山で山菜を採ったり。写真は自宅玄関前で、愛犬のピピ(写真上)とマロをかわいがる福田。(写真は福田こうへい氏提供)

外で歌うほうが大きな声が出るでしょ。田んぼで作業の手を休め、気持ちよくアカペラで歌うんですが、時々歌詞を間違えて! でも、そこへ聴いていたご近所さんが飛んできて、「もっと続きを歌え」って言うんです。仕方なく、無料コンサート(笑)。じゃあ、山なら人がいないからいいべと思って歌うと、どうやらこだまするらしいんだな。別のご近所さんから「あんたの声が聴こえてきたよ」って言われて大笑いです。

自宅では時間があると、のんびりとテレビ鑑賞をしています。時代劇が大好物で、昔から「桃太郎侍」「遠山の金さん」「水戸黄門」と何でもござれ。最後に勝って丸く収める。悪い人間もまっとうな人間になり更生するというのがいいですね。私自身も10月に時代劇に初挑戦します。コンサートとの二部構成となる座長公演を控えています。期待に応え、ぜひいい舞台にしたいです。

今回、岩手で長く過ごしてあらためて気づきました。田舎の多くの方は、連日農作業に追われながら時間をつくり、コンサートに足を運んできてくれる。私との時間を楽しみに日々がんばっておられるんですから、その思いに今まで以上に応えなければと思いました。コロナ禍の影響が収束したら、気持ち新たに全力で走ります!
(文=藤井利香)

 

2020年6月10日発売
「筑波の寛太郎/あれが沓掛時次郎」

「筑波の寛太郎
作詞/松岡弘一 作曲/水森英夫 編曲/伊戸のりお
「あれが沓掛時次郎」
作詞/松岡弘一 作曲/水森英夫 編曲/伊戸のりお
キングレコード KICM-30982 ¥1,273+税

2019年の日本作詩大賞に輝いた松岡弘一氏と、「箱根八里の半次郎」など渡世人の世界を舞台にした楽曲で名高い水森英夫氏による2曲。両氏と福田とは初タッグとなる。昔から時代劇が大好きだったという福田にとって、待望の股旅演歌であり新境地を目指す。


profile
福田こうへい(ふくだ・こうへい)
1976年9月21日、岩手県生まれ。民謡歌手として活躍したあと、2012年10月、キングレコードから「南部蝉しぐれ」で演歌歌手としてデビュー。同曲は2010年に発表されていたが、メジャーデビューをきっかけにロングヒットし、2013年、「輝く! 日本レコード大賞」新人賞を受賞。また2014年には第35回松尾芸能賞 新人賞を受賞。北島三郎に「あの歌声は歌謡界の宝だ」と言わしめる歌唱で、多くの熱心なファンを持つ。2020年の秋には劇場での座長公演を計画。お芝居では時代劇の主人公を演じる。

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