パク・ジュニョン、配信コンサートでファンと夏の思い出づくり
パク・ジュニョン(ジュニー)が8月24日、都内のスタジオから「ネット配信コンサート オレンマ二ムダ!~お久しぶりです~」を開催し、ファンと夏の思い出を作った。
オープニング曲は2015年にリリースし、オリコンの演歌チャートで1位を獲得した「河口湖」と、昨年リリースした「永遠(とわ)にサランヘヨ」(Aタイプ)に収録された「海鳴り」を歌った。
歌い終えたジュニーはカメラの向こう側にいるファンに呼びかけた。
「みなさん、お元気ですか? パク・ジュニョンです。初めてのネット配信コンサートを準備しまして、ずっとずっと楽しみにしていました。このまま夏の思い出が作れず、終わっちゃうんじゃないかと心配しましたが、こうやって夏の思い出ができて幸せです」
今年2月に新曲「海に語りて」を発売し、これからという時に新型コロナウイルスの感染が拡大。自粛により多くのイベントが中止・延期となり、ファンの前で歌うことができなくなってしまった。
「とても残念でした」とジュニー。
「河口湖」をリリースしたことで、富士河口湖町観光大使を委嘱されたジュニーは、毎夏、河口湖の歌謡祭やコンサートで歌ってきた。ジュニーにとっての夏は“河口湖”だった。また、8月19日には東京・浅草公会堂でのコンサートも予定されていた。だが、大切なイベントが今年は実現できなかった。
「海鳴り」の歌詞にはこんなフレーズがある。
遠く千里の彼方から
聞こえる 俺を呼ぶ 幻の声
(「海鳴り」歌詞より)
自分の元から消えてしまった愛する人を探す主人公の心境を歌った作品。ジュニーは、ファンに会いたいという気持ちをこの歌に込めたのだろう。
「みなさん、僕の声が聞こえていますか? 僕にはみなさんの声が聞こえていますよ。掛け声をかけてくださいましたね」
この日、ジュニーが歌ったのはアンコールを含めて全13曲。そのすべてがジュニーの選曲だった。
初披露となる新しいジャケットを着たジュニーは、1曲1曲、気持ち込めて歌う。
「東京…愛愁」や「夕霧挽歌」(新曲Aタイプのカップリング)を歌うと、タブレットに表示されたファンからのコメントに目を通しながら、とてもうれしそうだった。
多くの人が、遠く離れた大切な人を思うことがあるだろう。ジュニーにとっては、母国・韓国にいる家族、なかでもオモニ(母)への思いが募っている。
「自由に帰れ(移動でき)なくなったので、母とはメッセージや電話でやりとりしていますが心配です」
そんな母への思いを2曲歌った。1曲は小金沢昇司の「オモニ~母へ~」。もう1曲は「人間の証明のテーマ」。Mama Do you remember…の歌詞で始まる、映画『人間の証明』のテーマ曲だった。
ふるさと釜山に帰ると、食卓いっぱいの料理で迎えてくれる母へ。ジュニーの優しさが感じられる選曲だった。
配信コンサートでは、熱帯魚を飼っており、水槽を見ているだけで癒されることなど、プライベートな一面も紹介した。またチャットを通じて、ファンの質問にも答えていた。
「僕の夏バテ防止策は楽しい歌を歌うことと、旬の果物を食べること」
「ステージへ向かう前のルーティーンは、上着を着て、メイクをして、ヘアを整えて、そのあと残りの衣装を着て、水を一口飲んでステージに上がります」
夏の韓国語講座コーナーでは、夏休みの苦い思い出も。「夏休みの宿題はためてためてやらなかったので、日記が大変でした。あの日は雨だったかな?(笑)」。
ダンサブルな「チャラ」「ゴンドゥレ マンドゥレ」、デビュー曲の「愛・ケセラセラ」や「嘆きの雨」、新曲Bタイプのカップリング曲「昼も夜も真夜中も」を歌うと、あっという間に最後の曲となっていた。
今回のコンサートのために組まれたバンドのメンバーは3人。パーカッションの石川洋氏、ギターの向井謙一郎氏、そして、ピアノとアレンジを担当した杉山ユカリ氏。「愛・ケセラセラ」では、杉山氏がアップテンポ・バージョンへ編曲し、ジュニーも「素晴らしいアレンジです。機会があれば、また歌いたい」と、お気に入りの様子だった。
「新しい形で歌を届けられるのはうれしいですね。みなさんの中には今回初めて、ネット環境を整えてくださった方もいて大変だったと思いますが、こうやって、壁を一緒に乗り越えました。みなさんは画面の向こうにいらっしゃるけれど、目の前にいらっしゃると感じながら楽しくやっていきたいですね」
コンサートの冒頭、ジュニーこんなふうに語っていたが、「歌いたくてたまらなかった」とも吐露。「思いを込めて歌わせていただきます」と、新曲「海に語りて」を披露した。
シンガーソングライターのHANZOが手がけた新曲には、闇夜にとける鈍色(にびいろ)の海に、どうすることもできない、やるせない思いを叫ぶ主人公の哀愁が表現されている。
「レコーディングでは、繊細な感情を表現することに気をつけて歌いました」
まさに今のジュニーの心情にも重なるところが大きい歌詞の内容で、YouTubeにアップされているミュージック・ビデオの再生回数は、前作では1年かかった10万回を3カ月で超え、現在12万回を超えている。
新曲を歌い終え、ステージを降りると、コメント欄にはアンコールのリクエストがかかる。
ジュニーがアンコールとして選んだ曲は2017年のデビュー5周年記念曲「涙の流星」。デビューから切ない歌を歌ってきたが、5作目にして初めてもらったラブソングだ。
「ファンのみなさんに早く会いたいです。それまでお大事に。気持ちを込めて歌います」
遠く離れたファンへ、カメラの向こうのファンに、ジュニーの愛は届いただろうか。
「楽しかった。あっという間でした」
コンサート終了後の短い言葉の中に、ジュニーの“やって良かった”という思いが込められていた。
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パク・ジュニョン、海に語りて
2020年2月26日発売
パク・ジュニョン「海に語りて」
パク・ジュニョン10枚目となるシングル。2タイプ同時発売。3曲とも、カラオケユーザーを中心に人気のシンガーソングライター、HANZOが作曲を務めた。カップリングの「夕霧挽歌」は北海道を舞台にした切ない恋の歌。「昼も夜も真夜中も」はノリのいいリズムに乗って、愛を告白する。