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水森かおり

水森かおりの“歌”で旅するアルバム『歌謡紀行21~九十九里浜~』~心の中にやさしい風を届けたい~

水森かおりの人気シリーズが“歌”で旅するアルバム『歌謡紀行』だ。2002年に発売された『歌謡紀行~東尋坊~』から毎年一枚ずつ、大切に積み重ねられてきた。そして、同シリーズとして20周年となる今年、第21弾『歌謡紀行21~九十九里浜~』が誕生した。

一枚一枚積み重ねて20周年

“歌”で旅するアルバム『歌謡紀行』シリーズは、水森かおりの分身と言ってもいい。2002年に第1弾『歌謡紀行~東尋坊~』がリリースされると人気となり、以降、毎年一枚がリリースされている。

「毎年、新曲を出させていただくことすら当たり前ではない時代に、今年も『歌謡紀行』を出させていただけるんだという喜びを積み重ねながら、ここまで来た感じですね」

第21弾となる『歌謡紀行21~九十九里浜~』(2022年9月21日発売)には、“ご当地ソングの⼥王”と呼ばれる水森が自身初の千葉県を舞台にした最新シングル「九十九里浜」を含む全14曲を収録。前作『歌謡紀行20~鳴子峡~』同様、シングルとして過去にリリースした人気曲7曲に、このアルバムのために制作されたオリジナル曲が7曲収められている。

「皆様のおかげで『歌謡紀行』はアルバムシリーズとして20周年となりました。アルバムのオリジナル曲を楽しみに待っていてくださり、オリジナル曲を覚えて歌いたいという方も多いので、それも励みになっています」

カラオケで誰かがアルバムのオリジナル曲を歌っているのを聴いた人が、水森かおりの歌だと知って、興味を持ってくれることもあるという。

「水森かおりの新曲(シングル)だ、と勘違いされる方もいるようですが(苦笑)。ぜひ、お気に入りの一曲を見つけて歌っていただければうれしく思います」

水森かおり

「完成度の高いオリジナル曲です」

ここでアルバムの収録曲・構成を見てみよう。

これまでにリリースしたシングル曲からセレクトされたのは、「九十九里浜」(2022年)、「松島紀行」(2010年)、「越後水原」(2016年)、「輪島朝市」(2008年)、「瀬戸内 小豆島」(2020年)、「島根恋旅」(2014年)、「鳥取砂丘」(2003年)の7曲だ。

リード曲として収録される「九十九里浜」は、別れた人に対する切ない思いを3連符のメロディに乗せて綴る今年の勝負曲。2月に発売されると、オリコン総合ランキングで初登場8位を記録する話題曲となった。

その他6曲も水森の代表するシングル曲がラインナップされており、アルバムのトリとして収録される「鳥取砂丘」は、水森ファンには説明不要の代表曲。2003年4月に通算11作目として発売され、一年以上にわたるロングセラーを記録。「第45回日本レコード大賞金賞」を始め数々の賞に輝き、水森はこの年の『NHK紅白歌合戦』に初出場を果たしている。

アルバムのためのオリジナル曲は青森が舞台の「ふたり舞い~鶴の舞橋~」、冬の東北地方をひとり旅する女性が描かれた「冬の雷鳴」、ノスタルジックな描写が心地いい「柴又暮色」、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でも話題の鎌倉で描かれる「化粧坂(けわいざか)」。古くから温泉街として有名な和歌山県白浜の名所が歌詞にちりばめられた「南紀白浜」、九州本島最南端の半島を訪れる傷心の女性の思いが悲しい「大隅半島」、そしてスペイン領マヨルカ島でのバーカウンターで交わされる男女の会話から始まる「マルガリータ」の7曲だ。

水森は収録されるオリジナル新曲の7曲について、「アルバムにはもったいないような完成度の高いオリジナル曲です」と力を込める。

水森かおり

日本全国の美しい風景を歌謡紀行で!

王道演歌からフォークタッチの作品まで幅広い楽曲が収められた『歌謡紀行21~九十九里浜~』は、水森かおりの歌声を存分に楽しめる一枚だ。水森ファンだけではなく、演歌・歌謡曲ファンならぜひ、聴いてほしい一枚。水森自身は「あまり自分の声は好きじゃないんですけど」と笑っていたが、「どうすれば気持ちよく聴いていただけるかとか、どうすれば切なく聴こえるかなどはいろいろ研究しています!」と、プロ歌手としての顔ものぞかせる。

「昨年、一昨年に比べるとコロナ禍も落ち着いてきましたが、まだまだ自由気ままに旅行へ行って、きれいな景色を見ることが難しいですよね。ですから、日本全国の美しい風景をお届けできたらいいなという想いでレコーディングさせていただきました。少しでも皆さんの心の中に、新しい風を、やさしい風を吹かせられたらいいなという想いで一曲一曲歌わせていただいています。完成度の高いアルバムになったと思います! ぜひ、皆さんの日常に届くアルバムになってほしいですね」

 

水森かおりがオリジナル新曲を全解説

水森かおり

21枚目となる“歌”で旅するアルバムシリーズ『歌謡紀行21~九十九里浜~』。全14曲中7曲がオリジナル曲であり、アルバムならではの作品が楽しめる。

水森かおりが「アルバム曲にしておくのはもったいない」というほど自信作が集まった『歌謡紀行21~九十九里浜~』のオリジナル楽曲。全14曲中、半分の7曲がこのアルバムのために新しく準備された。水森自身に紹介してもらった。

「ふたり舞い~鶴の舞橋~」
作詩/みろく 作曲/西島三重子 編曲/若草恵

リード曲「九十九里浜」に続くアルバムの2曲目に収録されるのが、「ふたり舞い~鶴の舞橋~」。青森県鶴田町にある“鶴の舞橋”は、岩木山の山影を湖面に映す津軽富士見湖に架かる日本一長い木造三連太鼓橋だが、この美しい橋をモチーフにシンガーソングライターの西島三重子氏がフォークタッチの作品として書き下ろした。

「西島三重子さんには、これまでに何度もお世話になっていて、アルバムでも何作か書いていただいていています。歌手として大先輩の西島さんですが、私の中では作曲の先生。細かなフレーズの歌い方などを本当に厳しく指導してくださいます。アレンジは若草恵先生にお願いしました。演歌出身の先生にはない、独特の世界観が好きです」

軽やかなメロディにもの哀しいストーリーが乗せられた「ふたり舞い~鶴の舞橋~」。水森の歌声に一段とマッチしていてとても切なく聴こえる。

「冬の雷鳴」
作詩/さくらちさと 作曲/岡千秋 編曲/伊戸のりお

「冬の雷鳴」は、冬の東北地方のひとり旅で、失った恋を忘れようとする女性を描いた作品。主人公は越後線から羽越線へと、新潟から山形を経て秋田に至る過程で、何度も電車を乗り継いでいく。岡千秋氏による豪快でスピード感のあるサウンドに、水森の力強い歌唱が光っている。

「新潟、山形、秋田の風景は『越後水原』や『五能線』でも歌っているので、馴染みがあります。絵が浮かびやすい作品でした。冬の刺すような冷たい風など、この地方ならではの厳しい自然なども、歌っていて思い出しましたね」

「柴又暮色」
作詩/小野塚清一 作曲/桧原さとし 編曲/竹内弘一

映画『男はつらいよ』でお馴染みの東京・葛飾区柴又が舞台の「柴又暮色」。ノスタルジックな描写の中で、かつての幸せな日々に想いを馳せる女性が描かれている。東京・北区出身の水森だが、意外にも柴又には一度も行ったことがないという。

「都内の名所なのに、柴又には行ったことがないんですよ。日本でも有名な観光地なのに・・・。でも、寅さんの映画(『男はつらいよ』シリーズ)で柴又のことはよく知っているので、情景は浮かびやすかったですね」

「柴又暮色」には“柴又帝釈天”や“矢切の渡し”などの名所が盛り込まれつつ、下町の夕暮れの風情がメジャーのメロディに乗せて歌われている。

「最初に舞台が柴又とうかがった時にはどんな歌なのだろうと想像できませんでしたが、とてもノスタルジックな、セピア色の風景が描かれていました。作詞の小野塚先生が柴又にお住まいで、いつもお散歩している風景だとおっしゃっていましたが、いい意味で裏切られた歌でした」

切ない歌でありながら、水森の歌唱が明るく響いて、じつに心地よさを感じさせてくれる一曲となっている。

「化粧坂(けわいざか)」
作詩/麻こよみ 作曲/永井龍雲 編曲/佐藤和豊

化粧坂とは鎌倉七口のひとつ。鎌倉市扇ガ谷から源氏山公園を結ぶ切通し道で、身だしなみを整えるという意味で、“けわいざか”と読む。シンガーソングライター・永井龍雲による「化粧坂」は、三年前にこの地で見送った恋人のことを、今でも慕い続ける女性が描かれている。

「永井龍雲さんの歌が好きで、去年、『夜明駅』(アルバム『歌謡紀行20~鳴子峡~』に収録)という永井さん作曲の歌を初めて歌わせていただいた時はうれしかったですね。沖縄にお住まいで、まだ一度もお目にかかれていないのが残念ですが、『化粧坂』はサビがすごく印象的です。今回のアルバムに収録されたオリジナル曲は、それぞれに印象深いところがあり全部が好きですが、この歌はとくに好き。永井さんからデモテープをいただいた時は、歌の世界を想像しにくく、不思議な歌にも聴こえて、“この歌を私が歌うのか”と少し不安にもなりましたが、アレンジができあがると、また印象が変わって、すごく大好きな歌になりました。作品の出来としても、よくできています」

フォークタッチのメロディに水森の歌声がとても切なく響く「化粧坂」。楠をゆらし吹き抜ける風を感じるような作品だ。

「南紀白浜」
作詩/麻こよみ 作曲/水森英夫 編曲/伊戸のりお

「南紀白浜」の舞台は和歌山県南西部の白浜町。古くから温泉街として知られる同地の“三段壁”や“千畳敷”、“円月島(えんげつどう)”などの観光名所が歌詞の中にちりばめられている。恋の涙を捨てに来た女性が描かれている。

「これぞ水森英夫先生の世界だ! と思える作品で、歌っていて楽しかったですね。あまり深く考えず、ストレートに歌の世界が表現できました。水森先生の作品の心地よさに乗せていただきました」

「南紀白浜」は演歌調のメジャー作品となっており、三連のメロディに乗る水森の歌声が、また一段とその切なさをひしひしと感じさせてくれる。

「大隅半島」
作詩/伊藤薫 作曲/伊藤薫 編曲/竹内弘一

「大隅半島」は傷心の女性が九州本島最南端に位置する大隅半島を訪れる、伊藤薫の作詞・作曲作品。日南線の終点・志布志駅で途切れた線路の描写などと相まってもの悲しい。

「レコーディングには伊藤薰先生も来てくださったのですが、いつものように楽しくて。先生がいらっしゃるだけでその場が明るくなりますし、とっても癒やし系の先生なんですよ。『大隅半島』は作詞・作曲とも同じ先生なので、歌詞とメロディがすごくかみ合っていて、歌っていても滑らかだなと感じましたね」

心情を吐露する前半から、サビに向けて一気に海に思いをぶつけるかのような、緩急のある水森の歌唱法が秀逸な作品となっている。

「マルガリータ」
作詩/円香乃 作曲/木村竜蔵 編曲/西村真吾

「マルガリータ」は水森かおりの新しい世界が感じられる作品だ。地中海に浮かぶスペイン領のマヨルカ島のバーカウンターで男女が交わす会話から始まる作品で、題名は“マルガリータ”と呼ばれるカクテルからつけられた。

「海外を舞台にした作品は過去に『地中海』(アルバム『歌謡紀行14~大和路の恋~』に収録)がありますが、お酒の名前がタイトルの曲は珍しいですよね。マジョルカ島に来た女性を歌っていて、ご当地ソングではありますが、場所を選ばない作品だと思います。オシャレでストーリー性のある物語。いただいた時は洒落た歌だなって思いました」

円香乃氏が作詞し、作曲は木村竜蔵。木村は鳥羽一郎の長男で、シンガーソングライターとして活動。弟の木村徹二と「竜徹日記」というユニットも組む。

ひとり思いを馳せる女性像を、3拍子のメロディに乗せて歌う「マルガリータ」。水森の歌唱が新鮮で印象に残る作品に仕上がっている。

 

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2022年9月21日発売
“歌”で旅するアルバム 第21弾
水森かおり『歌謡紀行21~九十九里浜~』
初回限定盤(CD+DVD)
水森かおり

徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-75100 ¥3,600(税込)

通常盤(CD)
水森かおり

徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-75101 ¥3,200(税込)

収録曲
1.「九十九里浜」
作詩/麻こよみ 作曲/弦哲也 編曲/伊戸のりお
2.「ふたり舞い~鶴の舞橋~」※
作詩/みろく 作曲/西島三重子 編曲/若草恵
3.「松島紀行」
作詩/たかたかし 作曲/弦哲也 編曲/伊戸のりお
4.「冬の雷鳴」※
作詩/さくらちさと 作曲/岡千秋 編曲/伊戸のりお
5.「越後水原」
作詩:伊藤薫 作曲/弦哲也 編曲/前田俊明
6.「輪島朝市」
作詩/木下龍太郎 作曲/弦哲也 編曲/前田俊明
7.「柴又暮色」※
作詩:小野塚清一 作曲/桧原さとし 編曲/竹内弘一
8.「化粧坂(けわいざか)」※
作詩/麻こよみ 作曲/永井龍雲 編曲/佐藤和豊
9.「南紀白浜」※
作詩/麻こよみ 作曲/水森英夫 編曲/伊戸のりお
10.「瀬戸内 小豆島」
作詩/たきのえいじ 作曲/弦哲也 編曲/伊戸のりお
11.「島根恋旅」
作詩/仁井谷俊也 作曲/弦哲也/編曲/伊戸のりお
12.「大隅半島」※
作詩/伊藤薫/作曲/伊藤薫/編曲/竹内弘一
13. 「マルガリータ」※
作詩/円香乃 作曲/木村竜蔵 編曲/西村真吾
14. 「鳥取砂丘」
作詩/木下龍太郎 作曲/弦哲也 編曲/前田俊明

※はオリジナル新曲

初回限定盤DVD収録内容
①「九十九里浜」ミュージックビデオ
②「九十九里浜」字幕入りカラオケ

 

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